コラーゲン(ゼラチン)で関節痛と乱視が回復
ある日、乱視用眼鏡をかける機会がぐっと減っていることに気づきました。視力自体は悪くないのです。なにしろ右が1.5、左が1.2ですからね。乱視は、年齢のせいです。
30歳前あたりから調節力(眼球の水晶体がピントを合わせる機能)が弱まり、文字や景色が二重に見えるようになってきました。老眼鏡だけでは読書もままならないのです。とくに運転が怖い。夜のドライブなんて、もう恐怖さえ覚える。仕方なしに乱視用眼鏡というものをつくりました。これが運転中は手放せなくなっていた。
ところが――。
気づいたら、ほとんどかけなくなっていたのです。
思いあたることといえば、毎日サラダにゼラチンをふりかけて食べるようになったことくらい。ゼラチンがひざに痛みにいいと聞きつけ、本当かしら、なんて思っていたとき、台所の戸棚でゼラチンを見つけたものだから、なんとなく食べはじめた。そうしたら、ひざの痛みがひと月ほどで消えた。さらに全身の肌が妙にしっとりすべすべしてきた。
ひざが回復したこともあり、その後もなんとなく「サラダにゼラチン」をつづけていました。眼鏡をかける回数が極端に減っていると気づいたのは、それからさらにひと月後くらいのことでしょうか。でも本当にゼラチンのおかげかどうかはわからない。
そんな折、仕事帰りにぶらりと立ち寄った本屋で、ゼラチンの本を発見。読んでみるとわりあい興味深いことが書いてあったので、さらにゼラチンについて調べました。
この記事は、そのとき学んだことの備忘録ですが、アトピーの方にはぜひお伝えしたい話です。
コラーゲンとゼラチンのちがい
まず最初に知っておくべきなのが、コラーゲンとゼラチンのちがい。みんな意外に知らない。わたしも知らなかった(笑)。
コラーゲンに熱をくわえてつくるのがゼラチンです。つまり、同じものと考えてOKです。だから、ゼラチンが体内でアミノ酸に分解されて吸収されると、コラーゲンの材料になるのです。
では、コラーゲンとはなんぞや。
- 動物の体内にあるたんぱく質のひとつ
わたしたちの身体で、水分の次に多いのがたんぱく質。15~20%を占めます。うち30%ほどがコラーゲン。とくにコラーゲンが多いのは皮膚です。コラーゲン全体の40%が集中しています。残りは、軟骨や骨、血管や眼などにあります。こんな感じ(わたしのイメージです)。
たんぱく質15~20%のうちの30%がコラーゲンということは、
- 身体全体の4.5~6%がコラーゲン
ということ。これを多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれですが、わたしは「あんがい多いぞ」と思いました。
ゼラチンを食べるようになってから、皮膚がみずみずしくなったのも、ひざの痛みが氷解したのも、乱視が回復したのも全部、腑に落ちる。ゼラチン摂取は、身体に必要なコラーゲンの材料を供給することにつながっていたのです。
いったんアミノ酸に分解されるのだから、もちろん全部コラーゲンになるとはかぎりません。どのくらいコラーゲンとして再生成されるのかもわかっていません。妻がコラーゲンドリンクを飲んでいるとき、わたしもそんなことをいってからかったものですが、食べたコラーゲンが分解されずにそのまま腸から吸収される、という報告もあるようです。
引用元は、「コラーゲンの安全性と機能性」(国立健康・栄養研究所食品表示分析・規格研究部、石見佳子)。現在は記事が削除されていますが、かみ砕いてひとことでいうとこんなふう。
これがそのまま人間にあてはまるかどうかはわかりません。しかし興味深い。
コラーゲン(ゼラチン)の効果
ゼラチン、というかコラーゲンにどんな働きがあるのか、ここからくわしくみていきます。
最初の2つはアトピーの改善とはまったく関係ありませんが、知っておいて損はありません。3~5つ目は、コラーゲン(ゼラチン)がアトピーを治す手助けになる予感をビシバシ感じさせてくれます。
1.ひざや腰の痛みをやわらげる
ひざや腰の軟骨はコラーゲンでできています。ゼラチンを食べると体内でコラーゲンが製造されやすくなります。すると、軟骨の摩耗で起こるトラブル(ひざや腰の痛み)がやわらぐのです。
2.骨が丈夫になる
コラーゲンの生成がスムーズにいっていると、骨そのものが強くなることがわかっています。というのは、骨の中心部分はコラーゲンでできているから(主成分はカルシウム)。実際、いろんな実験でコラーゲンの摂取によって骨密度があがったり、強度が増すことが確認されています。骨粗しょう症の予防、改善にも役立つのです。
3.血管が強くなる
血管の全長は10万キロメートル(地球2周半!)もあります。身体のすみずみに張りめぐらされたこの血管は、健康のかなめ。血管が健康でなければ、臓器や細胞に栄養をきちんと届かない。むろん、体内に蓄積した毒素や老廃物を回収することもできない。
アトピーを治そうというのなら、血管の健康状態には意識を向ける必要があるのです。そして血管のほとんどは、コラーゲンでできている。ゼラチンを食べて、コラーゲンが体内でたくさんつくられると、血管が丈夫になっていくというしくみ。
4.善玉菌を増やす
ゼラチンは、腸内細菌(乳酸菌やビフィズス菌)を育てるそうです。すると、善玉菌が酪酸をつくる。この酪酸がまた善玉菌を増やす。腸内環境が整っていく。こんな正のサイクルが生まれるといいます。アトピーの方にはうれしい働きです。
memo
ゼラチンはカンジダ症には向かない、という説があります。ゼラチンに刺激され、糸状菌化するそうです。菌糸を伸ばして、腸壁にしがみつけるようになるということのようです。カンジダを増やすわけではありませんが、重度のカンジダ症の自覚のあるケースでは、ゼラチン摂取はやめておいたほうが無難なのかもしれません。
5.肌がうるおう
乾燥した皮膚にうるおいを与えてくれのは、みんな知ってるコラーゲンの働き。肌が乾燥してかさかさしてくると、かゆみは倍増します。コラーゲンは肌にうるおいをプラスしてくれます。傷んだ肌を、内側から保湿してくれるのです。
コラーゲン(ゼラチン)とアトピーの関係
コラーゲンの肌への働きに関して、ここからくわしく解説します。
まずはこのイラストをご覧ください。
アトピーの方が注目すべきは真皮です。真皮が弱っていると、肌の保湿力や弾力性が損なわれる。肌がかさかさしたり、ハリがなくなるのはそのため。悪化すると、肌が干からびるし、ひび割れます。ところが真皮のコラーゲンが毎日どんどんつくられていれば、活きいきとした肌がとりもどせるのです。
コラーゲンとビタミンCは同時に摂取する
知っておきたいのは、身体がコラーゲンを製造するとき、ビタミンCが欠かせないということ。ビタミンCが肌によい、といわれる理由はまさにここにあるのです。
平たくいうと、ビタミンCが十分にあれば、肌の材料であるコラーゲンがきちんと生成される。だから肌の健康が保てる、ということですね。反対にビタミンCが不足していると、コラーゲンも不足するので、肌がかさついたり荒れたりする。ビタミンCとコラーゲンは、どちらかひとつが欠けてもいけない、車の両輪なのです。
ビタミンC不足による壊血病
ビタミンは、わたしたちの身体の調整に欠かせません。ビタミンCの欠乏が原因で起きる代表的な病は壊血病です。貧血や衰弱、皮膚や歯ぐき、粘膜などからの出血をきたします。さきほど書いたように、血管はコラーゲンからできている。だからビタミンCが足りないと、血管がもろくなって、いろんな症状が生じるのですね。
コラーゲン(ゼラチン)の摂取方法
長くなりましたが、そろそろ〆といきます。
コラーゲンやゼラチンの推奨摂取量は1日1~1.5グラムです。健康機能を期待して飲む方の多くは、1日5グラムくらいを摂るようです。わたしもそのくらいを目安にしています。
コラーゲンを摂る方法
コラーゲンは、食品から摂ることができます。含有量が多いのは、牛すじや鶏の皮、なんこつ、砂肝、うなぎなど。とくに多いのは牛すじやうなぎ。1グラムあたり0.05グラム。
ただし、5グラムのコラーゲンを摂ろうとすると、1日100グラムの牛すじかうなぎを食べる必要がある。無理ですね。わたしは市販のゼラチンを利用しています。
摂りすぎはやめておいたほうが無難です。たんぱく質ですからね。毎日たくさん摂っていたら食物アレルギーを起こす可能性があります。
ゼラチンにアレルギーがある方もいます。最初は少量にして体調を観察するといいと思います。身体に合わないようなら、即刻中止しましょう。
コラーゲンサプリ、コラーゲンドリンクはNG
コラーゲン配合を謳った美容ドリンクやサプリメント――コラーゲンドリンクやコラーゲンサプリがただいま、女性中心に大人気を博しています。有名メーカーがこぞって開発にとりくみ、店頭には各社イチオシの商品がそろい踏みしています。飲むだけで身体のなかからスキンケアができるというふれこみ。
5グラム入りのものもあれば、20グラムも入ったものもある。いずれも吸収されやすい低分子コラーゲン配合というのがウリです。しかし高い。1本100~400円くらいします。しかも、老眼鏡なしではとても読めない、小さな文字で記された原材料をチェックしてみると、いろんな食品添加物が使われています。
ドリンク系に使用される添加物で目立っていたのは、アセスルファムKやスクラロースいった合成甘味料(ノンカロリー甘味料)でした。
危険だ、いやそれは過剰反応だと、世間の声はやたらかまびすしいのですが、わたしは口にしないことにしています。安全性がたしかめられていないだけでなく、次のような動物実験の結果を見て、そう判じました。
- 犬にアセスルファムKを0.3%含むエサを2年間食べさせたら、リンパ球が減った。3%含有のエサでは、さらに肝機能にトラブルが起きた(肝機能障害の際に増えるGPTが増加)。
- ラットにスクラロース5%入りのエサを食べさせた実験で、リンパ組織が萎縮した。妊娠ウサギに体重1キロあたり0.7グラムのスクラロースを食べさせたら、一部で流産や死亡がみられた。
ノンカロリー甘味料は当然、カロリーを抑えるために使われているのでしょう。美容ドリンクが高カロリーでは話にならない、というのはよくわかる。けれど、それならエリスリトールなどの無害な甘味料を使用してほしいところ。美容と健康は同義です。健康に害のある(可能性のある)成分はやはり避けるべきではないか。わたしはそう思うのです。
そんなわけで、わたしはコラーゲンドリンクもコラーゲンサプリも却下。だいたい高かぎる。ゼラチンパウダーは、1キロ3000円しません。ドリンク1本(5グラム)あたり15円です。
まとめ
最後に、わたしがゼラチンを摂取しだしてから感じた変化をふりかえると――。
- 肌がつるつる&すべすべになった。
- つらい、ひざの痛みがなくなった。
- 乱視がやわらいだ。
ここまで書いてきたことを知り、わたしは全部、ゼラチンのおかげと確信しましたね。
ゼラチンは動物性のにかわです。サプリメントではなく、食べ物です。いろんなアミノ酸をわたしたちの身体が使いやすいかたちで含んでいるたんぱく質ですから、安全性は高いといえます。
動物の骨などからつくられるものですが、無味無臭です。食事にとりいれてもいいし、ジュースや味噌汁、青汁、グリーンスムージー、コーヒー、ハーブティー(どくだみ茶やルイボスティー、柿の葉茶、カモミールティー)などの飲み物に入れても、風味を損ないません。
どんな食べ方をしても違和感がないのも特徴。コーヒーゼリー(上写真はバターコーヒーのゼリー)を手づくりすることもあります。1杯の熱々のコーヒーにゼラチン2~5グラムを入れてかき混ぜ、冷蔵庫で冷やすだけ。
ただし、バターコーヒーゼリーはおすすめしません。バターだけが表面でガチガチに固まって、おいしくないったらもう……。
『コラーゲン完全バイブル』(真野博・著) 幻冬舎、『関節炎には天然2型コラーゲンがよく効く』(川西秀徳・監)ペガサス、『ゼラチンが効く!―ゼラチン=コラーゲン摂取こそが究極のアンチエイジングだった!』(藤本大三郎・著)主婦と生活社、『コラーゲンとゼラチンの科学』(和田正汎、長谷川忠男・著)建帛社、『健康に長生きしたけりゃゼラチンを食べなさい』(渡辺雄二・著)青志社、「Oral Ingestion of Collagen Hydrolysate Leads to the Transportation of Highly Concentrated Gly-Pro-Hyp and Its Hydrolyzed Form of Pro-Hyp into the Bloodstream and Skin.」(Yazaki M1,, Ito Y, Yamada M1, Goulas S, Teramoto S, Nakaya MA, Ohno S, Yamaguchi K)、「Vitamin C-enriched gelatin supplementation before intermittent activity augments collagen synthesis.」(Shaw G, Lee-Barthel A, Ross ML, Wang B, Baar K)、「The effect of oral collagen peptide supplementation on skin moisture and the dermal collagen network: evidence from an ex vivo model and randomized, placebo-controlled clinical trials.」(Asserin J, Lati E, Shioya T, Prawitt J)、「Collagen peptide supplementation in combination with resistance training improves body composition and increases muscle strength in elderly sarcopenic men: a randomised controlled trial.」(Zdzieblik D, Oesser S, Baumstark MW, Gollhofer A, Konig D)、「An overview of the beneficial effects of hydrolysed collagen intake on joint and bone health and on skin ageing.」(Figueres Juher T, Bases Perez E)