ひまし油はアトピーの方が注目すべき万能オイル
ひまし油というのは、ひまし植物の種子からとれる油。原産地はおもにアフリカとインドです。
高い抗炎症性と抗菌性があることから、じつは世界では何千年も前から病に使われています。漢方でも用いられる、有名な在宅療法用のオイルなのです。
日本ではおもに工業用に用いられます。だから、わたしたちにはなじみがありませんが(昔は下剤として知られていたとか)、海外ではおばあちゃんの知恵袋によく登場します。
どの家庭にもひと瓶置いてあって、けがや捻挫といった外傷をはじめ、関節炎や湿疹などの皮膚疾患、薄毛や脱毛などに用いています。さらに便秘や脱毛のケアとしても用いられるなど、用途はじつに多彩。
手元の百科事典を引いてみました。
【ヒマシ油】当ゴマの種子に含まれる脂肪油。特異臭のある無色~淡黄色の透明な粘性液体。主成分はリシノレイン。下剤として内服。普通、加香されたものを常習便秘、食中毒、疫痢などに服用。また減摩油、印刷用インキ、ポマード、セッケンなどの原料。(『マイペディア』から)
覚えておきたいのは、ひまし油は次の部分にいちばん強みを発揮するということ。
- 肌
- 髪
だからいろんな化粧品や石けん、医薬品に使用されたり、肌や頭皮のマッサージオイルとしてよく使われているのですね。
ひまし油のことを知るにつれ、わたしはアトピーの方が着目し、積極的に活用すべきオイルと考えるようになっていきました。
では、どんな症状にどんなふうに使っていけばいいのか。簡単に解説していきます。
ひまし油の働き、使い方
1.炎症を癒やす
ひまし油には、あらゆる種類の皮膚の炎症をしずめる働きがあります。ニキビ肌にオイルはよくないといいますが、ひまし油は例外。主成分の脂肪酸(リシノール酸という)が、アクネ菌をやっつけてくれます。だから、ニキビを減らすのにも役立つ。
使い方
脱脂綿にひたすか、直接手にとって、炎症部位に塗布。炎症を過度に刺激しないよう1時間後に洗いながす。
2.乾燥肌の保湿
ひまし油を肌につけると、深くしみこんでいき、コラーゲンの生成を活発にするそうです。皮膚をやわらかくして、うるおいを与えてくれるわけです。かさかさして粉を吹いたような冬場の肌が、ひまし油ですべすべになったなんて方も少なくない。最高の保湿剤なのです。
使ってみるとわかりますが、とろとろしていて、かなり粘り気があります。この高濃度の脂肪酸はもっとも皮膚に浸透しやすいオイルのひとつ。だからスキンケア用品によく使われているのです。
ということは、もちろん乾燥したアトピー肌のケアにも使える。が、ほんとうにどろっとしていますから、わたしはココナッツオイルで保湿するほうがいいですね(笑)。
使い方
お風呂から出たあと、ゆっくりと円を描くようにマッサージ。
3.傷跡や色素沈着、シミを消す
傷やシミを消すのにもよく用いられます。ひまし油の脂肪酸の働きによるものです。傷跡やシミのある皮膚組織の深部まで浸透し、そのまわりの組織を正しい成長を助けます。同様の働きで、色素沈着をきれいにするのにも役立つのです。
外国では、皮膚科医が色素沈着や、皮膚の斑点の治療にひまし油をすすめることもよくあるそうです。オメガ3系脂肪酸が含まれていて、これが余計な水分を吸収しながら、健康な組織の形成をうながすからです。アトピー完治後、なかなか消えない色素沈着への対策として、わたしもひまし油を使ったことがあります。日焼けによるシミを消すために使う方も多いとか。
使い方
傷跡やシミのある部分一帯に塗布。ただし、一朝一夕では結果はあらわれない。毎日、根気よく塗つづける必要あり。
4.抜け毛と頭皮感染への対処
育毛にも使われることでも知られています。ひまし油で頭皮をマッサージすると、太くて強い髪になるといわれています。おもに、ひまし油に含まれているオメガ3系脂肪酸の働きです。毛根への血液循環を促進し、髪の成長がスピードアップするわけです。
アトピーの炎症は、頭皮のフケや脱毛の原因になるばかりか、ひどいときは円形脱毛症のように部分的にごっそり髪が抜け落ちることもある(わたしがそうでした)。そういう症状の対策にも役立ってくれます。
繰りかえしになりますが、ひまし油には抗真菌性と抗菌性があります。ブドウ球菌などの細菌と戦うことができるのです。頭髪を強くするのと同時に、感染症の対策にもなるということです。
使い方
洗髪後によく頭皮をマッサージしてから、しっかり洗いながす。高粘度の油であるため、なかなか落ちないが、重曹を溶かしてお湯ですすぐとうまくいく。
5.便秘解消
下剤として使えることは百科事典にも書いてあったとおり。民間療法ではわりとポピュラーな使用法です。ひまし油のリシノール酸に、便秘を解消する働きがあるからです。研究によって、腸の筋肉を収縮させ、詰まった便を押しだしてくれることがたしかめられています。海外では浣腸に用いるケースもあるようです。
抗炎症作用もあります。アトピーの原因である腸の炎症を抑え、腸内環境を改善する働きにも期待が持てる。抗真菌&抗菌作用によって、腸内に繁殖した有害な菌(悪玉菌やカンジダなど)の除菌にも役立ちます。
使い方
小さじ1杯のひまし油を空腹時、経口摂取。飲みづらい場合、コップ1杯の白湯で割ってやると、わりと飲みやすくなる。注意点は、(1)週3回以上は飲まないこと、(2)吐き気や腹痛を生じたら、病院ですぐに診てもらうこと、(3)食用グレートのひまし油を使うこと――この3つ。
6.免疫力アップ
ひまし油には、免疫力を高める働きがあるとわかっているそうです。部分的に使用することで、体内の免疫システムの増減を示す「T-11細胞」(病原体や毒素に対する抗体を増やす細胞)が活性化します。
使い方
首筋や脇の下、股関節といったリンパ節によくすりこむ。
7.肝臓や腸の解毒作用を高める(デトックス)
アトピーの方の肝臓や腸は、体内に大量に蓄積した毒素の処理に追われてパンク寸前(パンクしているケースも)。こうしたケースには、ひまし油による温湿布がうってつけ。肝臓や腸を温めるだけでも、解毒や体内浄化――デトックスが活性化します。ひまし油を使えば、これがさらに促進。温湿布を行なった部分の血行が改善するからです。
使い方
清潔な布にひまし油を十分に吸わせてから、体幹部の右半分(肝臓から腸まで)をおおう。このときラップをまいておくと、オイルが漏れるのを防げる。布ずれ防止にもなる。その上から家庭用温熱器をあて、1時間ほど温める。寝るまえにセットして、朝までそのままにしておいてもかまわない。
ひまし油の成分(栄養価)
ひまし油に含まれる脂肪酸の平均的な組成はこのとおり。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、ひまし油を「一般的に安全かつ有効である」としています。ただし、副作用があらわれることもあるため、慎重に使う必要があります。
使用上の注意
(1)ひまし油を使いはじめる前には、かならずパッチテスト(アレルギー検査)を行なう。腕に数滴垂らしてひと晩そのままに。翌日、異常(発疹や赤み、かゆみなど)があらわれた場合は、アレルギーの可能性があるため、使用を中止する。
(2)パッチテストに問題がなくても、傾向摂取で吐き気や腹痛、下痢などが起こることがある。こうした症状があらわれたら、すぐに医師に相談。
(3)早期陣痛を引きおこすことが知られている。妊娠中の女性は使わないこと。
(4)ほかの薬と同時に使用すると、それぞれの副作用が強まるリスクがある。薬を使用中の場合は、事前に医師に相談。
さいごに
ひまし油の使い道をいろいろと書いてきました。ココナッツオイルとならんで役に立つオイルです。
なかでもひまし油の温湿布は、アトピーの完治をめざす方にイチオシです。わたしもかなり助けられました。