完治とはどういう状態か?
わたしはアトピー(健康体へと戻ろうとする、一連の生理的なプロセス)を、現代医学では原因が特定不可能な、
- 湿疹、蕁麻疹、赤みや腫れなどの皮膚炎
- 強烈なかゆみ(かいても消えず、ますます強くなる)
と考えています。
したがってこの2つが消滅すれば、それは完治ということになります。
では、完治すれば発症前のようになんでも食べられるようになるのかですが、残念ながらそう甘くはありません。
腸が壊れているあいだに発症した食物過敏症(遅延型食物アレルギー)は、半年やそこらでは収束しないからです。先天的なものではありませんから、数年単位で原因食物を除去していればスコアが低下する可能性はあります。でもそれまでは、抗原を知らずに口にするとなんらかの症状があらわれる可能性があります。
わたしの場合、卵と乳製品に過敏症があるのですけれど、これらは思いもよらない食べ物(お蕎麦とか)に使われていることがあるため、知らずに食べるとにきびや吹き出物ができたり、頭が重くなったりします。アレルギーの原因食物が多く、スコアが高い人ほど、治ってからも食生活上の制約が多くつきまとうということです。
つまり、大人アトピーを放置していた期間が長ければ長いほど、そのツケを完治後も長く払いつづける必要があるということです。
だからこそアトピーは、1日も早く克服しなければいけないのです。
アトピーが完治しない理由
一方、正しい食事を実践し、生活習慣もがらりと変えているのにまるで治らない、むしろ悪化したなどという場合ですが、わたしは次のような可能性があるように思います。
1.心理的な問題を抱えている。
心理的な問題の最たるものは、治ることを無意識で拒絶しているというものです。
治療効果が見えだしてくると食生活の改善を放り投げてしまい、再発する方がおられます(わたしの知り合いにもいます)。他者への依存体質の方や、家族や周囲が本人の身の上に同情し、甘やかしているというケースに多いように感じます。アトピーが治ることで、これまでのような気遣いが得られなくなることを無意識下で恐れているのです。
もちろん治したいという気持ちはあるはず。けれども同時に、他者の同情や庇護という特典を失いたくないという気持ちもある。そういう心理的な板ばさみにあるのです。この自己矛盾に気づき、自分をありのままに見つめることで回復が見込めるとわたしは考えます。
このほかの心理的な問題についてはこちらの2つの記事がくわしいです。
このような心理的問題がない場合、すなわち心の底から治癒を望んでいる場合、治らない理由は次の3つのいずれかにあるように思います。
2.食べ物に対する過敏症(遅延型食物アレルギー)
いちばん可能性が高いのは、過敏症(遅延型食物アレルギー)です。即時型のアレルギーとちがい、食後すぐに反応があらわれないことが多く、特定は困難です。一度、検査してみるほか手がありません。
3.全身性の重度のカンジダ症
カンジダ症(腸カンジダや皮膚カンジダ)が長引くと、場合によっては血流に入りこみ、生きたまま体内に潜りこんで、体内のあちこちに深く根を張り、真菌症を引き起こすことがあるそうです。
さらにカビは、バイオフィルムと呼ばれる保護膜を自分たちでつくりだせます。生息環境が悪くなると、そのなかに潜伏して、反撃の機会を窺っているのです。
こうなると善玉菌も免疫細胞も彼らに手出しできません。ニンニクやオレガノオイルなど、抗真菌効果の高い食べ物でもしかり。そして食生活が乱れたり、生活リズムが狂ったり、仕事でストレスを溜めたりして、宿主の免疫力が落ちてくると、バイオフィルムから這いだしてきて活動を再開するのです。
カンジダの治療(カンジダにフォーカスした自然療法)を試す手があります。
4.腸の変形による排泄トラブル
体内の浄化に不可欠なのは、正常な排便です。少なくとも日に1回以上は便座に座るのがふつうです(わたしは2回)。排便がうまくいかない、つまり排泄トラブル(便秘)の原因でいちばん多いのは、食生活の問題です。でもこれは矯正が効く。ところが次のようなケースでは、自力ではどうにもなりません。すみやかに医療機関に相談する必要があるのです。
腸が変形しているケース
腸内に腫瘍ができていたり、腸管の一部がせまくなっていて、便秘が慢性化しているケース。大腸が伸びきっていて、通常(1.5mほど)よりずっと長くなっていることもあるそうです。「過剰結腸」と呼ばれる症状で、便の排泄を遅らせるため腸内環境が悪化するのです。そのため腐敗毒素が腸内に充満しやすく、毒素が腸壁を傷つけているのです。
腸の異常にはこんなパターンがあります。
- 部分的に肥大化し、そこへ便が溜まっていく。
- 部分的に便の通り道がせまくなり、その直前の部分に便が溜まる。
- そういう箇所が複数あり、あちこちに便が溜まっている。
- 脱腸(上部の管が下部の管を圧迫)で、便の流れが非常に悪い。
いずれも稀なケースで。が、ほかにはまったく理由が見つからないという場合、腸の変形を疑ってみるのも手。その際は内科医の判断を仰ぐ必要があります。