知らないと悪化! たんぱく質(肉、魚、大豆)の食べ方

肉、魚、大豆(たんぱく質)

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アトピーを悪化させたくないなら、食事内容への気配りは欠かせません。とくにたんぱく質は、アレルギーの最大の原因。良質のたんぱく質を厳選して適量を食べる、ということはとても大切なのです。アトピーによいたんぱく補給源、摂取量の目安などをきちんとお話しします。

たんぱく質(肉、魚、大豆)とアトピー

たんぱく質は大切な栄養素。身体の材料です。体液や筋肉、臓器など、人体の主要部位をつくるのに不可欠です。皮膚の再生にも使われます。しかし同時に、アレルギーのいちばんの原因でもあります。

たんぱく質の食べ方で大切なのは、良質の、つまり消化しやすいたんぱく源を厳選する、ということです。

一つひとつの穀類、野菜が身体に与える影響が異なるように、たんぱく質も種類によって毒にも薬にもなる。免疫と解毒のシステム、炎症レベル、肉体維持に異なる影響をもたらします。

たんぱく質は血肉の材料である、という大義名分のもと、昨今は低品質のたんぱく質があふれかえっています。プロテインなんてその最たる例ですね。

プロテインはおすすめしません。乳製品に食物アレルギーがなかったころ、ホエイプロテインで蕁麻疹が出ました。大豆アレルギーではありませんが、特定の大豆プロテインでやはり蕁麻疹が出ました。繰りかえし試して確認しましたので、蕁麻疹がプロテイン由来であることはたしかです。原料や製造方法に問題があるのかもしれません。栄養素はやはり食べ物から摂取するのが望ましいようです。

たんぱく質は「質」にこだわる必要があります。炎症性が低く、身体が利用しやすい、良質の材料をわたしたちの身体は求めているのです。

お肉ではなく、魚か大豆を食べる

アトピーによいたんぱく質系食品

たんぱく補給源は、魚か大豆がベストです。

お肉や乳製品は消化にとても時間がかかります。数日かかることもあります。すると、おなかのなかで腐敗が進むのです(便がくさくなるのはそのため)。腐敗するというのはつまり、悪玉菌が繁殖していることを意味します。悪玉菌が出す悪臭成分(有毒ガス)は血液を汚します。

これが全身をかけめぐり、アトピーが悪化するのです。そして有毒ガスが、腸壁をさらに痛めつけていきます。

狩猟民族の腸は、動物の肉を消化する酵素をたくさん持っているそうです。腸に長くとどまらないよう、腸も短い。それで胴短長足になったといわれています。

ところが農耕民族には、お肉の分解酵素が少ない。胴長短足ですから、腐敗した肉がいつまでも腸内にとどまりつづける。腸壁へのダメージも大きいのです。

わたしのご先祖は農耕民族です。

狩猟採集を行なっていた時代(縄文以前)もありますが、そのころだって動物の肉が主食だったわけではない。でんぷん質や野草、果物が食事の中心で、たんぱく質に関しては豆類や魚などのほか、たまに小動物の肉を口にする程度だったようです。糖質制限の本などを読むと、人間は肉食動物だとよく書いてありますが、わたしは違うと思います。

わたしがたんぱく質を魚と大豆から摂ることにしたのは、こうした理由からです。

近海で獲れる、新鮮な天然の青魚

アジの塩焼き

日本近海で獲れる青魚を中心にいただきました。

最近は放射性物質のこともありますから、西日本か日本海側で獲れたものにしています。

青魚は、アトピーの改善を促すをたっぷり含んでいるからです。DHAとEPAはオメガ3系のなかでもとくに、人間の身体が吸収、利用しやすい脂肪酸です。

青魚ってどんな魚?

鯵

アジ、イワシ、サンマ、サバなどです。

マグロもDHAやEPAを多く含みます。けれど、マグロやカツオといった大型魚は水銀など重金属の濃度が高いのです(食物連鎖の上位にいるため、有毒物質の濃縮が進んでいる)。水銀はもちろん人体にとても有害。しかも魚中心の食生活を送っていると、水銀の過剰摂取の懸念があります。

さらに水銀はカンジダ(ヒトの腸内にいるカビ)の増殖を後押ししています。カンジダは水銀をとりこんで増えるからです。

別の角度から見ると、わたしたちの肉体が水銀から受けるダメージをカンジダが減らしてくれている、ともいえます。が、いずれにしろ大型魚は避けるのが正解。ブリやサバ、タイも水銀濃度がわりと高いそうですので、あまり食べないほうがよいと思います。

低水銀の魚介類には、イワシ、サケ、ヒラメ、イサキ、ウナギ、サワラ、サンマ、シシャモ、キス、小型のブリ(イナダやハマチ)、アナゴ、イカ、タコ、貝類などがあります。このうち甲殻類と貝類はアレルギーを起こしやすいので治るまでは避けていました。

養殖物もできるかぎり避けました。養殖魚は抗生物質やホルモン剤を投与されて育ちます。抗生剤もホルモン剤も腸内細菌や免疫系にダメージを与えます。

アジの塩焼き、干物、刺身(たたき)は好物ですので、頻繁に食べていました。イワシの丸干し、サンマの開き、サバの味噌煮もよくいただきました。が、じつはサバはほとんどが養殖物です。サバの養殖の餌として、サバの稚魚を使うこともあると知って、買うのをやめました。

サンマ水煮缶

無添加(原材料が魚と塩のみのもの)の水煮缶もおすすめ。写真は、サンマの水煮缶。化学調味料無添加。自然な味わいです。一缶にDHA2269mg、EPA1582mgを含みます。厚労省が定めている、EPAとDHAの1日必要摂取量は計1グラム(オメガ3系脂肪酸は2グラム)。これがひと缶で摂取できてしまう。
青魚のヒスタミンアレルギーに注意

青魚にはヒスチジンというアミノ酸が多く含まれています。水揚げ後、時間の経過とともにヒスチジンはヒスタミンに変わっていきます。ヒスタミンはアレルギー症状を引きおこす物質ですね。青魚を食べた直後に蕁麻疹が出たという話をよく聞きますけれど(わたしもあります)、鮮度が落ちていたからでしょう。新鮮なものを食べることがとても大切です。干物や生魚を買うときは、目が赤くなっているものを避けましょう。

さまざまな大豆食品

大豆は日本人にとてもなじみ深い食物。それゆえにいろんな加工食品があり、飽くことがありません。

納豆、お豆腐、油揚げ、がんもどき、厚揚げ、ゆば、おから、高野豆腐、煮豆、煎り豆、きな粉……。味噌やしょうゆ、もやしなども大豆食品ですね。最近はソイミート(大豆を原料としたお肉もどき)やテンペなどを利用する方も少なくないようです。

がんもどき

がんもどき

がんもどきは生姜醤油かおろしぽん酢でいただきます。添加物不使用のものを買いますが、それでも植物油で揚げてありますから、食べるのは週1程度。

枝豆

枝豆

ニッポンの夏の風物詩。お昼はこれだけですませることも。茹でるだけだと、料理の手間がかかりませんからね。

ソイミート(大豆のお肉)

大豆ミート

大豆たんぱくでできた大豆ミートは便利です。乾燥品で、お湯で戻すと1.5~2倍になります。お肉代わりにいろんな料理に使えます。わりと美味かつヘルシー。家族にも「身体によさげ」と評判で、当時のわが家の必需品でした。本物のお肉でないのは娘も勘づいている様子ですが、おいしいね、といってくれました。調理の際は生姜を使うと、大豆特有のにおいが消えて、おいしくしあがります。

きな粉

わらび餅、自家製

甘味に飢えている方におすすめなのが、練りきな粉。きな粉を水で固めに練って、甘味料(砂糖は使いません)を混ぜると、おやつ感覚でいただけます。子どものころ駄菓子屋で買い食いした「きなこ棒」そのものです。棒寒天を使った自家製わらび餅(写真)をつくることもありました。

こうした大豆食品を献立にうまく取り入れれば、食事制限をしていてもメリハリのある食生活が送れます。納豆は腸内の乳酸菌を増やしてくれますから、わたしは毎日食べています。

イソフラボンの過剰摂取に注意

大豆に含まれるイソフラボン(フラボノイドのひとつ)の過剰摂取には注意が必要です。女性ホルモンに似た働きがあるため、子宮内膜症や乳がんのリスクが高まるといわれてるからです。ヤマトオノコであるわたしには無関係のように思えますが、厚労省が2016年に上限を決めましたので(1日70~75ミリグラム)、これに従っています。目安は納豆なら2パック、豆腐なら一丁、がんもどきや厚揚げで2個、きな粉大さじ8杯、味噌汁12杯、しょうゆ5リットル以上という感じです。

お肉を食べるときの注意点

どうしてもお肉が食べたいなら、自然に育ったものを選びましょう。安いお肉ほど、抗生物質やホルモン剤を投与されている可能性が高いからです。

いまの家畜のほとんどは、大量生産システムによって「製造」されています。1日中身動きも自由にならない畜舎に閉じこめられ、餌だけを与えられて育ちます。病気になるのは当然ですね。だから病気を予防したり、お肉の質を高めるため、餌に薬を混ぜているのです。そういう薬剤や抗生物質の耐性菌が、食肉から検出されることも少なくないようです。

たとえば平成28年度の横浜市食肉衛生検査所の調査では、牛の約70%、豚の約94%に異常が見られ、肉の一部が廃棄処分になりました。家畜の多くは病気なのです。病気の家畜の肉を、わたしたちは食べているということになります。

さらに餌の穀物には(飼料用は食用と異なり規制がないため)農薬がたくさん使われていることが多く、ほとんどがGMO作物(遺伝子組み換え)です。さらにカビに汚染されていることも多い。これが肉を経由して、わたしたちの体内へ入る、というリスクもあります。

むろん高級品ならOKというような単純な話ではありません。次のような点に目を光らせるといいと思います。

自然に育った動物のお肉

放牧牛

オーストラリアは土地が広大ですから、牛ものびのびと牧草を食んで育ちます。最近は米国の安い飼料が大量に出回りはじめ、オージービーフにも穀物飼育牛が増えているそうです。

広い牧場や野原で放し飼いにされ、牧草を食べながら育つ動物には、基本的に抗生剤やホルモン剤は投与されません。オーストラリアの牛(オージービーフ)などがそう(全部ではありませんが)。「グラスフェッド」を謳っているお肉は、完全な牧草飼育ですから、安心できます。

グラスフェッドビーフに含まれる酪酸は、腸内の善玉菌を増やすといわれています。穀物飼育牛よりビタミンも多いといいます。

鶏肉なら「平飼い」「自然飼料」と書かれたものが安心です。

ジビエ(獣肉)

ぼたん鍋

ぼたん鍋。野生の猪のお肉には特有のクセがありますから、味噌鍋で。冬の風物詩。わたしの大好物(家族は好きではない)。

ジビエというのは、野生の猪や鹿、熊などのお肉のこと。近ごろブームですね。人間が飼育したものではないので、薬剤を投与されている心配はありません。

ただし産地には要注意。東日本で捕獲されたものは、すでに放射性物質に汚染されているようです。

群馬県へ旅行に行ったとき、宿泊した先の旅館の主が「この界隈で獲れた獣肉はどれも放射性物質の生体濃縮が進んでいて、お客さまにお出しできなくなってしまった」と嘆いておられました。

高たんぱく食のリスク

なんでもそうですが、たんぱく質も過剰摂取は有害です。身体が必要とする量を超えると、たんぱく質もほかの栄養素と同じように体内でエネルギーに変換されるのですが、じつは非常に効率の悪い燃料なのです。分子構造の関係で、炭水化物や脂質に比べ、胃腸や肝臓への負担がずっと大きいからです。

このため、高たんぱく食は消化と代謝のために大きなエネルギーを奪われてしまい、アトピーを癒やすのに使えるエネルギーが不足することになります。

問題はほかにもあります。

たんぱく質は代謝の過程で、毒性の強い窒素残留物というものをつくりだすのです。窒素残留物は免疫系を刺激します。これを処理するため、肝臓と腎臓に大きな負担がかかります。やはりアトピーの治癒の足を引っ張ることになります。

たんぱく質の食べすぎはつつしむべきです。

たんぱく質の摂取量の目安

では、必要なたんぱく質というのはいったいどのくらいなのか。

肉体維持に必要なたんぱく質の量は、生活習慣や年齢、性別、体型によって変わります。一般には、体重1キロに対し、たんぱく質0.72~1.65グラムといわれています。が、おそらくこれは多すぎる。厚労省の「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」をチェックしてみると、

成人の1日あたりのたんぱく質の維持必要量 = 0.65g ✕ 体重(kg)

ということのようです。海外のさまざまな研究に基づいて算出されたもののようですので、一定の信頼性があります。

これに従うと、体重60キログラムの人で39グラム。

たんぱく質39グラムを含む食品の量は?
牛肉(赤身)204グラム、鶏もも肉225グラム、大豆で110グラム、しらす干し96グラム、いわし丸干し119グラム、アジ(焼き魚)142グラム 煮干し60グラム。

ここから1日の献立を考えてみると、

1日の献立の例

わたしも治るまで、だいたいこんな感じでした(いちいち計算したわけではない)。これに大盛りのサラダがつきますが。

ちなみに、この厚労省の基準でさえ栄養過剰という専門家もいます。それによれば、おおむね「たんぱく質を含む食べ物を1日あたり60グラム摂っていればよい」ということになります。

もちろん個人差があると思います。知っておきたいのは、たんぱく質は生存に必要なものですから、身体には緻密な在庫管理システムが備わっているということです。供給過剰や欠乏が起これば、そのたびに脳が教えてくれるはず。たんぱく質がほしいと思ったら食べていいし、ほしくないときは食べる必要がないのです。


厚労省の「日本人の食事摂取基準」
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