乳酸菌サプリメントと整腸剤の正しい選び方

乳酸菌サプリメントと整腸剤

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善玉菌を増やし、弱った腸を元気にするなら、整腸剤や乳酸菌サプリメントがおすすめ。アトピー完治を強力に支えます。ビオフェルミンやラクトーン、ミヤリサンほか整腸剤と、アシドフィルス菌90億個や、乳酸菌16種を使った乳酸菌サプリメントなどを比較します。

乳酸菌サプリのイメージ

乳酸菌サプリや整腸剤を利用する目的

1.整腸と排泄

乳酸菌は善玉菌を増やし、悪玉菌を減らして、腸内細菌のバランスを整えてくれます。

そうして便通がよくなると、古い便が体内に溜まらないようになります。さらに腸内が善玉菌優性に変化すれば、弱ったの修復も早まります。

2.消化

乳酸菌に消化を手助けをしてもらい、アレルギーの原因となるたんぱく質をしっかりと分解。そうすることで、体内への異物侵入をシャットアウトできるようになります。

3.免疫力アップ

乳酸菌には腸粘膜を刺激し、免疫細胞の働きを強める作用があります。過剰な免疫反応――アレルギー反応がやわらぐことが期待できます。

アトピーに直接働きかけるものではない

乳酸菌はアトピーの肌荒れやかゆみを直接癒やすものではありません。

乳酸菌が身体の内側から湿疹や肌荒れを治してくれるわけではなく、腸内環境が整うことで腸粘膜の修復が進み、皮膚の炎症の原因となっている異物が体内に侵入しなくなるという文脈です。

整腸剤にもサプリにも、症状の即時改善を期待してはダメ。当ブログの読者の方も口をそろえてそういいます。

「夜眠れないかゆみに」というサプリ会社のキャッチコピーや、「サプリでかゆみが消えた」というブログなどをたまに見かけますが、たんなる宣伝です。エビデンスがあるとしても、それはプラシーボ効果(精神的なもの)でしょう。

乳酸菌を摂ったからといって、すぐにかゆみがなくなるわけがないですからね。自然の摂理、人間の生理に反します。

便通がよくなったとか、時間をかけて腸内の細菌バランスが変わっていったというのなら、理解できますけれど、何年あるいは十数年かけてバランスの崩れた細菌バランスや免疫システムが、錠剤やカプセルひとつで簡単にもとに戻るはずがない。

アトピーの治癒には長い目と根気が必要だということをお忘れなく。

乳酸菌サプリと整腸剤を選ぶポイント

乳酸菌サプリメントや整腸剤を選ぶときは、次のようなことを念頭に置きます。

1.菌が強い(生きたまま腸まで届く)

死んだ菌でもそれなりに整腸作用があることがわかっています。が、やはり生きたまま腸まで届けたいのが人情。胃酸に負けず腸へ届く強い菌をチョイスします。

2.菌の数が多い(1日分60億以上)

菌の数については、ヨーグルトを基準にしました。

わたしは以前、ヨーグルトを昼と晩にそれぞれ300gほど摂取していました。菌数換算すると、60億以上となります。

3.アシドフィルス菌とビフィズス菌を含有

アシドフィルス菌には、アレルギーを抑制する効果があります。カルピス社の実験でも、アシドフィルス菌を長期間摂取すると、アトピーの症状が軽くなることがわかっています。

ほかにも、アレルギー症状を緩和させる乳酸菌として、LGG乳酸菌やL-55乳酸菌、KW3110、クレモリス菌(カスピ海ヨーグルトの菌)などが有名です。

とはいえ、乳酸菌全般に免疫力を高める働きがありますから、こうした菌はたまたま研究が進んでいるだけ、とわたしは考えています。

ただし、アシドフィルス菌やビフィズス菌はカンジダを食べてくれます。カンジダ治療にもよく用いられます。という理由から、アシドフィルス菌とビフィズス菌が入っていることを条件に加えました。

ビフィズス菌ついでにいうと、以前はビオチンを消費するビフィズス菌やフェカリス菌を避けていました。

ビオチンは皮膚の炎症を防いだり、皮膚や爪、毛髪の健康に関わっているビタミンで、「アトピーの人の半数近くがビオチン不足」とか「ビオチン不足がアトピーの原因」といった話をよくネットで見かけたからです。

しかしよく考えてみると、アトピーである以上、腸内環境はぼろぼろ、肌もぼろぼろ。ビオチンだけでなく、ほかのビタミンやミネラルも不足しがちです(ビタミンをつくりだす善玉菌も腸にあまりいない)。

それに、ビオチンはもともと腸内の善玉菌がつくりだしたり使ったりしているものです。本来、必要な量は自分でまかなえるのです。腸内細菌のバランスが崩れ、一時的にビオチンをつくる乳酸菌(アシドフィルス菌など)が減っていても、腸内環境を改善すれば一挙に問題解決。

ビオチン不足がアトピーを悪化させるのではなく、アトピーが悪化するとビオチンが足りなくなる、というのが妥当な見方だと思います。

というわけで、ビオチンについては現在はまったく気にかけていません。気にするならむしろ、煙草やお酒、不規則な生活、食べすぎ。このほうがずっと、ビオチンを減らします。

そういえば脱ステ中、ビオチン療法(ビオチンのサプリを飲む)を試してもなにも変わらず、反対にフェカリス菌が入ったサプリを飲みつづけてもなんの問題もなかったですね。

以上のようなことを踏まえ、ここからアトピーに向いた乳酸菌サプリや整腸剤それぞれについて、乳酸菌の種類と量、1日あたりの価格などをチェックしていきます。

整腸剤

新ビオフェルミンS錠 540錠

新ビオフェルミンS錠ビフィズス菌18mg、フェカリス菌18mgのほか、腸内でビオチンを産生してくれるアシドフィルス菌18mgを含有(1日服用量中、以下同)。それぞれ18mgと菌数はかなり少ない様子。2100円前後。1日服用量9錠。1日あたり約36円。

新ラクトーンA 1080錠

新ラクトーンAビフィズス菌40mg、フェカリス菌40mg、アシドフィルス菌40mgのほか、乳酸菌の発育をうながす乾燥ビール酵母を含有。乳酸菌の組み合わせは、ビオフェルミンと同じ。菌数はこちらが上。1700円前後。1日服用量18錠。1日あたり約28円。

スーパビール酵母Z 660粒

スーパビール酵母Z腸内環境を整えてくれるビール酵母を含有。含有量は不明。ビタミン9種とミネラル10種を添加。乳酸菌は入っていません。1400円前後。1日服用量15粒。1日あたり約31円。

ミヤリサン 630錠

ミヤリサン腸のバランスを正常に保ち、ビオチンとの相性もいいといわれる酪酸菌(宮入菌)を180mg含有。酪酸菌は乳酸菌の友人のようなバクテリア。乳酸菌の増殖を手助けします。1000円前後。1日服用量18錠。1日あたり約28円。

エビオス錠 2000錠

エビオスビタミンやミネラル、良質なたんぱく質、食物繊維などを含むビール酵母7125mgを含有。ビール酵母には、乳酸菌を増やす働きがあります。乳酸菌そのものは入っていません。1800円前後。1日服用量30錠。1日あたり約27円。

整腸剤にはロングセラーが多く、ビオフェルミンなど定評のあるものも少なくありません(わたしは便秘になりましたが)。

ただ、総じて菌数が少ないのがネック。整腸剤のなかでは比較的配合量の多いラクトーンのアシドフィルス菌でも40mg。菌数でいうと4億個。ビール酵母の整腸剤などは、はなから乳酸菌が入っていません。

しかも整腸剤は基本的に小さな錠剤タイプ。胃で溶けてしまう。乳酸菌の多くは、胃酸や胆汁酸などの消化液に殺されてしまうことでしょう。

健康な人が健康維持のために飲むなら十分ですが、ぼろぼろの腸粘膜を再建するという大役を担うには少々心もとない印象です。

そこで注目なのが、乳酸菌サプリメント。いくつかのサプリの菌数をチェックするだけで、菌の含有量が整腸剤よりぐっと多いことがわかります。ただし値段もぐっとあがる。それだけ出せば国産うなぎの特上が食べられるぞ、という高級サプリも少なくありません。

乳酸菌サプリメント

ラブレ

ラブレ京都が誇るお漬け物「すぐき漬け」に棲んでいる乳酸菌を1粒に100億子以上も配合。植物性の乳酸菌は、乳製品などの栄養豊富な環境で暮らしている乳酸菌より強く、生きたまま腸まで達し、人間の腸に定着する確率が高いことが知られています。栄養が少ない環境でも元気に生きている菌ですからね。漬け物の菌だから、日本人の腸とも相性バッチリのはず。30日分5028円。1日当たり約168円。

善玉菌のチカラ

善玉菌のチカラカスピ海ヨーグルトの乳酸菌「クレモリス菌FC株」がひと袋に1000億個入っています。ということは1日分に約32億個。クレモリスFC株には、アレルギーと関係のあるIgE抗体の血中量を減らし、さらにアトピーの症状を改善する効果があることが研究でわかっているそうです。31日分2550円。1日あたり82円。

米のしずく

米のしずく神戸は灘の老舗酒蔵である菊正宗酒造の酒蔵にいる天然の乳酸菌「LK-117」を1日分に100億個封入。この乳酸菌は、神戸大学でアトピーやアレルギーの抑制効果、整腸作用、肌をきれいにする作用などの研究が行なわれているそうです。日本酒にいる植物性乳酸菌だから、やはりわたしたちの腸とは相性がよさそうです。30日分5120円。1日あたり171円。

Acidophilus Three Billion

now-foods-acidophilus-three-billion-stabilized-180-tablets海外産のアシドフィルス菌サプリ。アシドフィルス菌を1日分に90億も詰めこんだサプリはなかなか見当たりません。アシドフィルス菌は熱や酸に強く、生きたままで腸へ到達。実際に試してみたところ、悪くない。が、肉を食べたら、うーん、出ないぞ、という日もありました。60日分16.56ドル。1日あたり約28セント。さすがはサプリ大国の製品です。コスパが抜群にいい。

乳酸菌サプリメントについてさらにくわしく

こちらの記事ではわたしが試していないものも含め、市販の乳酸菌サプリを比較しています。人気のあるものはすべてピックアップし、菌種や菌数、添加物、値段などを一覧にしました。

乳酸菌やビフィズス菌にもさまざまな株(種類)があります。それぞれどういう機能があるのか、アトピーやアレルギーの症状にはどう作用するのか、どこまで研究が進んでいるのか、このあたりはこちらの記事にくわしく書きました。興味のある方はご覧ください。

まとめ

いろんなサプリを試してみて感じるのは、商品の説明書きだけではよくわからない、ということ。乳酸菌50億個のサプリが1000億個に劣るかというと、そうそう単純なものでもない。菌の種類や組み合わせ、そして自分との相性、加工方法などにちがいがある身体と思います。乳酸菌の「生きのよさ」みたいなものにも差があるのかもしれません。

菌数1兆個だろうと10兆個だろうと(そんなのはウ○コくらいしか存在しませんが)、自分で試すまでヘタに尻尾はふらないことにしています。

なお、整腸剤や乳酸菌サプリだけでアトピーが治ることは絶対にありません。食事と生活習慣を見直す、ということが必要不可欠。それなくして現状打破は望めません。