スキンケア(皮膚バリア機能の回復)の中心的方法
まず、お風呂の入り方を変えました。入浴するたびに肌が赤くなり、かゆみがひどくなっていたからです。原因は石けんやシャンプー、それと塩素でした。
保湿のために実践したのは、オリーブオイルやココナッツオイルを用いた全身マッサージ、ひまし油による患部マッサージ、さらには日本の伝統的な自然療法(生姜や里芋、豆腐、どくだみ、お米のとぎ汁などを用いる方法)です。
実施スケジュールの目安
お風呂の塩素除去、無添加の石けんと洗剤の使用、塩浴などは、ずっと以前から行なっていましたし、いまも続けています。明日からでも試してみれば、その効果がかならず実感できるはず。
保湿は、必要なときだけ行なっていました。いま振りかえると、頭皮のケアなども含めて、保湿は毎日しっかりやるべきだったと感じます。いまだに黒ずみが消えない部分がありますから。外界から壊れた皮膚をすり抜けて侵入するアレルゲンが症状を増悪させていた可能性もやはり高かったことでしょう。
スキンケアの補助的方法
かゆみがひどいときの対策方法は、こちらにまとめています。いくつかの手当てがあります。わたしは蒸しタオルをよく利用しました。
アトピーの症状がピークを迎えたころ、大量のフケは悩みの種でした。朝丁寧に取り除いても、職場に着いて昼に化粧室でチェックするとまたフケがたくさん頭髪に浮いている。頭皮のかゆみもひどく、やがて脱毛が始まり、あちこちにハゲができました。周囲は円形脱毛症と勘違いして「ストレス? 働きすぎなんじゃない?」などといっていました。
スキンケアの重要性
- 湿疹がひどい。
- 浸出液が出ている。
- くさいにおいがする。
- 肌があちこち赤く腫れている。
- ただれている。
- 全身がカサカサ、ガサガサしている。
- 粉を吹いている。
- 落屑がはげしい。
- 色素沈着で首筋などの目立つ部位が黒ずんでいる。
こんな人目につく症状があったとき、職場や公共の場では気になって仕方がありませんでした。実際、第一印象の大きなマイナス要素となっていたはず。世の中、心ある人ばかりではない。心ない言葉を投げつけてくる、冷淡な、残酷な人も大勢います。
アトピーは感染しません。けれども皮膚の病気はうつるものと警戒し、避けようとする人もいます。赤の他人ならなおさらです。仕方ないと思うものの、そのたび自己嫌悪におちいるのも人情。せめて「少しでも目立たぬようにしよう」と、いろんなスキンケア商品や保湿剤をかたっぱしから試したものです。
皮膚の役割とは?
さて、皮膚が果たしている役割でとくに重要なのは、
- 体内の水分や栄養素や大切な元素などが失われるのを防いでいる。
- 身体がバラバラにならないよう、ひとつにまとめている。
- 紫外線、温度や湿度の変化といった外部の影響からわたしたちを守る。
- 細菌やウイルス、カビなどの外敵から、わたしたちを守る。
このほかにも数え切れない働きが皮膚にはあります。たとえば、
- 快感を伝えてくれる。
- 手入れすることで、若々しさや美貌を与えてくれる。
こうした仕事をきちんとこなすため、目には見えませんが、皮膚は常に動き、変化し、この瞬間もどんどん生まれ変わっています。真皮と表皮の境目で生まれた皮膚細胞は、28日後には表皮の表面に押しあげられ、アカとしてはがれ落ちます。たえず再生することに、じつはとても重要な意味があるのです。
この再生速度が、アトピーでは異様に加速します。
落屑がひどくなると、毎日のようなまっ白な皮膚片が山積みになります。いくら掃除しても追いつかない(フローリングや敷き布団を見ては、毎日ため息をついていました)。分厚い皮をはがしたら、次の日にはもう新しいのができている。それをはがすと、翌日にはまた……その繰りかえし。毎日、皮膚がごっそりと入れ替わっているのじゃないかと思うくらいでした。
これだけみても、どこかが確実に変です。表皮はまっ赤になって腫れあがり、異常に過敏。湿疹が噴出。やがて健康な皮膚の何倍も厚くなってくる。見るに耐えないだけでなく、不健康きわまりない。皮膚の正常な働きが失われ、内外から身体を危険にさらしているのですから。
アトピー肌は日々、きちんと手入れする
この章で網羅している手当ては、つらい症状、とくにかゆみを軽くするのに役立つ可能性があります。完治に向けて身体の内部の原因を矯正しているあいだに、外の症状をやわらげてくれるものです。
ひどい肌荒れや、つらいかゆみをやわらげてくれるものがあるなら利用すべきです。ただし、きちんと目利きしたうえで。常識的に考えて高額すぎる商品などを使う必要はありません。ほとんどが(詐欺とまでいわないまでも)たんなる商売です。
ただし、スキンケアは症状の軽減に役立つにすぎないということ。ただれた皮膚を改善することはできても、アトピーの原因にまで働きかける力はありません。いうまでもなく、腸の健全化、食事の改善などにきちんと取り組んで、アトピーの原因にアプローチすることがなによりも大切です。