乳酸菌の威力

乳酸菌

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アトピーの方は腸が病んでいることが多く、腸の健全化は完治に不可欠です。腸内環境を整え、善玉菌を増やす必要があるのです。そこで役立つのが乳酸菌。乳酸菌サプリや整腸剤、ヨーグルト、発酵食品の上手な活用法、おすすめの乳酸菌などを解説します。

整腸剤(ビオフェルミン)で、腸内フローラを整える

小腸の終わりから大腸にかけては腸内細菌の巣です。これを腸内フローラといいます。

この腸内フローラが悪玉菌の巣と化していると、腐敗ガスや毒素を大量発生させ、それが血流に乗って全身を駆けめぐり、アトピーが悪化します。腸内フローラは善玉菌の楽園でなければなりません。

そこで、わたしがとった手はこの3つ。

  1. ビオフェルミンを1日3回計9錠
  2. ヨーグルトを昼食と夕食後にそれぞれ300cc以上
  3. 毎食、発酵食品を摂る

どれも腸内の善玉菌を増やすのが狙いです。乳酸菌は種類がいろいろあり、ヒトの腸内フローラも千差万別であることから、乳酸菌とヒトには相性があります。たとえば、A氏に効いた乳酸菌を、B女史が飲んだら便秘になった、こんなこともよくありますので、①②③の合わせ技でいくことにしたのです。

整腸剤を飲んで、アトピーがよくなったという話をよく耳にします。ビオフェルミンは、それだけで完治したという話を聞いたことがあったので、まっ先に試しました。

ビオフェルミン

ビオフェルミンは歯周病に効く、と友人から聞きました。乳酸菌が歯周病菌を食べてくれるとか。

わたしはビオフェルミンを飲んで便秘になりましたもので、1か月で服用をやめました。整腸剤はほかにもいろいろありますので、試してみて損はないですね。新ラクトーンA、ミヤリサン、スーパビール酵母Z、エビオス錠などが有名です。

なお、後述しますが、ヨーグルトで十分な整腸効果を得られましたので、わたしは完治への100日間において、ほかの整腸剤に手を出すことはありませんでした。けれど、じつはいま、ワケあってヨーグルトから整腸剤乳酸菌サプリメントへの切り替えを考えています。

そういうわけで、アトピーの改善や再発予防に役立ちそうな整腸剤と乳酸菌サプリを比較してみました。よろしければ参考にしてください。

アトピーに効果のあるヨーグルトで便通が改善

ビオフェルミンで便秘になったので、つづいてヨーグルトを食べはじめました。ヨーグルトの乳酸菌もいろいろです。腸内環境だけでなく、アトピーにもよいと宣伝しているものもあります。

ヨーグルトと自分のの適不適は、1週間くらい毎日200gを食べてみて、身体の変化を観察するといいそうです。以下はアトピーに効きそうな市販ヨーグルトです。

メーカー 商品 乳酸菌 健康機能
明治 R-1 R-1乳酸菌 インフル、風邪、整腸
明治 ブルガリア LB81乳酸菌 美肌、整腸
タカナシ おなかへGO! LGG乳酸菌 アレルギー、整腸
オハヨー L-55 L-55乳酸菌 アレルギー、整腸
小岩井 KW乳酸菌 KW3110 アレルギー、整腸
雪印 ガゼリ菌SP株 メタボ、抗酸化、整腸
セブンプレミアム 北海道ヨーグルト LA-2乳酸菌 整腸
フジッコ カスピ海 クレモリス菌FC株 免疫、整腸、美肌
※2013年作成。最新のデータはこちら

最初に試したのは、セブンプレミアムの「北海道ヨーグルト」(450g)です。安いし、入手しやすいからです。イトーヨーカドーでいつも128円で売っています。これを毎日ワンパック、10日ほど食べつづけましたが、便秘がよけいひどくなりました。

セブンプレミアムの「北海道ヨーグルト」

次に試したのは、フジッコの「カスピ海ヨーグルト」(400g)。量を増やし、昼夕食時にそれぞれ300gずつ。一発で効きました。夜食べたら、放屁がさかんになって、なんとその日の深夜にもう排便。それからは快便つづきの毎日です。というわけで、上に挙げた商品のほとんどを試していませんが、ヨーグルトを試してみようと思われる方はあちこち浮気して、相性バツグンの相手を見つけてください。

ヨーグルトをいただくのは食事の直前がベター。満腹感が得られますから、自然と過食せずにすみます。ヨーグルトにはかならず生蜂蜜かオリゴ糖をかけました。乳酸菌の餌になるからです。

生蜂蜜

わたしの最愛のオーガニック生蜂蜜。熱処理していないナマの蜂蜜は、有機酸が腸内の善玉菌を増やす働きをしてくれます。酵素も生きています。完全栄養食です。なによりおいしい。夏場でも常温で固まっていますが、クリーミーでくどい甘さや雑味もありません。

オリゴ糖

生蜂蜜とならんで、わが家の食卓に欠かせないのがオリゴ糖。乳酸菌の大好物で、腸内に棲む善玉菌を増やしてくれます。白砂糖のようにアトピーの悪化原因になることもありません。多めに摂ると、おなかがゆるくなりますが、「善玉菌が活発に働いているあかし」と思い、ヨーグルトや紅茶、料理に入れて、せっせと摂取していました。乳酸菌といっしょに摂ると、翌朝はかなりすっきりします。

ヨーグルトは、電子レンジで1分ほど温めれば、おなかを冷やさず、効率よく消化吸収できます。わたしは、小鍋に人肌の湯を用意して湯せんしていました。乳酸菌は50℃なら30分、70℃なら1分、100℃なら数秒で死滅します。死んだ菌でも整腸効果はあるそうですが、この子たちもこうして生きているのだから、元気なままで腸まで送り届けてあげよう、という妙な使命感が働いていました(笑)。

ヨーグルトを電子レンジに入れる

ちなみに、口から入った乳酸菌は腸で繁殖し、いい働きをしてくれるのだと想像していましたが、実情はちがうようです。乳酸菌をたくさん経口摂取することで、腸が善玉菌にとって住み心地のいい環境となり、もともといた先住善玉菌たちが繁殖していく、こんな理屈のようですね。

注)なかには定着したり、腸にながいこと居座るのもいるようです。

カスピ海ヨーグルトは自宅で手づくりできる

「カスピ海ヨーグルト」は発酵温度がほかの乳酸菌よりも低いので、ヨーグルトメーカーなしに常温で手軽に手づくりできます。この子たちを毎日いただこう、と決めてから、わたしは市販品を種に牛乳パックで自作するようになりました。

「カスピ海ヨーグルト」は少し値が張りますが、自分でつくれば大量に食べてもさして家計の負担になりません。

日本が誇る伝統的な発酵食品にも乳酸菌はいっぱい

乳製品アレルギーの方には残念ながらヨーグルトは向きません。けれども、日本にはすぐれた乳酸菌発酵食品があります。ぬか漬けや味噌、しょうゆなどです。

ぬか漬けはいつかやってみたいと思いながら、長らく妻の反対に遭ってできなかったのですが、先日ついに始めることができました。

また、納豆の納豆菌も善玉菌を元気にして、腸内の有害物質や老廃物などを排泄してくれますし、ちょっと前に話題となった塩麹にも腸内細菌バランスを改善し、消化を促進してくれる力があります。

伝統的な日本の発酵食品に含まれる植物性乳酸菌は、ヨーグルトやチーズなどの動物性乳酸菌より整腸作用が強く、アレルギー反応を抑える働きも高いそうですね。わたしはいまも毎日欠かさず味噌汁をつくり、ぬか漬けや納豆を食べています。

【追記】乳製品の遅延型食物アレルギーについて

先日、遅延型食物アレルギー検査(保険適用外の特殊なもの)をしてみたら、乳製品アレルギーがみつかりました。驚きました。治療期の100日間、一進一退を繰り返していたのは、もしかするとそのせいだったのかもしれません。たぶん、あのころの食べすぎが原因でスコアがあがっていったのでしょう。

しかし、よく考えてみると、それも当然なのです。なにしろ、当時は腸管粘膜がぼろぼろでした。日常的に抗原(乳製品のたんぱく質)にさらされることで、体内に抗体が蓄積していったのでしょう。アトピーの方が同じものを毎日食べていると食物アレルギーになるといわれるのはこのためです。

(注)アレルギーを引きおこしやすい食べ物、そうでない食べ物があります。乳製品や卵は前者。

遅延型の食物アレルギーははっきりした自覚症状があらわれないことがありますが、原因食物を食べつづけることで、抗体と抗原の複合体が体内に蓄積し、長い目で見ると、肉体は大きなダメージを受けていきます。

というわけで、ヨーグルトはアトピーの身体には不向き(食べつづけてはいけない)だというのがわたしの経験則です。ヨーグルトには恩義を感じているのですが、乳酸菌は発酵食品かサプリから摂取することをおすすめしておきます。

さいごに

第三章はこれでおしまいです。

きちんと実践していけば、腸粘膜の修復が進み、腸内の善玉菌たちもみるみる活力をとりもどしてくれることでしょう。

次章は「食生活の改善」がテーマ。これまでの不摂生で毒にまみれてしまっている身体を浄化するための食事についてお話しします。