お風呂はデトックス&リラックス効果満点
最近はお風呂断ちをされている方も少なくないようです。でも、お風呂は毎日しっかり入るべきです。シャワーだけですませるなんてもったいない。お風呂は運動とならぶ、最高のデトックスチャンス。ゆっくり湯船に浸かって、汗をたっぷりかく。老廃物や有害物質、身体の中に残っているステロイド残留物などが汗とともにどんどん押しだされてきます。
リラックス効果が高いのも大きなメリット。心の健康は身体の健康と表裏一体です。
一時的な症状の改善をめざすなら、お風呂断ちも有効かもしれません。でもアトピーを治そうというのなら、バスタイムはデトックスの時間として有効活用すべき。
入浴のガイドライン
まずは一般的なガイドライン。といっても、日本のものではありません。2016年版の日本皮膚科学会ガイドラインをチェックしましたが、入浴方法に関する記述はありませんでした。米国カリフォルニア大学付属の子ども病院推奨のものです。
- 1.どのくらいの頻度と時間がよい?
- アトピーの方の入浴の最適な頻度と時間をあきらかにする比較研究はありません。一般には、1日に最低1回、短時間(5~10分)の入浴が推奨されています。
- 2.お風呂の水温はどのくらいがよい?
- ぬるま湯がベストです。極端に熱いとか冷たいのはNGです。
- 3.洗い方はどうすればよい?
- やさしく洗いましょう。ゴシゴシ洗ってはいけません。
- 4.ボディタオルは使ってよい?
- タオルは使わないほうがよいです。ナインタオルなんてもってのほか。
- 5.どんな石けんやシャンプーを使えばよい?
- 香料や着色料を含まない、やさしいもの。人間の肌は弱酸性(pH4.0~5.5)です。それよりpH値の低い(5.5未満)洗浄剤がおすすめ。石けんはおおむね9.0~10.5ですので、皮膚を刺激することがあります。
- 6.身体を洗うメリットは?
- 皮脂、環境毒素、アレルゲン、刺激物を除去できます。死んだ皮膚も除去できます。肌に使用している保湿剤やスキンケア用品を落とせます。
- 7.水は肌にどんな影響を与える?
- 外から水分を補給し、肌をやわらかく、きれいにします。ただし入浴後に保湿をしないと、かえって皮膚を刺激して乾燥することがあります。
- 8.お風呂から出たらなにをすればよい?
- 皮膚を完全に乾燥させないよう、タオルで軽く叩きます。肌をこすったりしないこと。それから、かかりつけ医の推奨する局所薬を塗布してください。水分を維持するため、肌に保湿を行なってください。
- 9.おすすめの入浴法は?
- ひとつはブリーチバスです。液体漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム6%)を浴槽に60ミリリットル入れ、10分間浸かります。それから水ですすいでください。もうひとつは塩浴です。入浴時の刺激や不快感を軽減するのに役立ちます。が、皮膚には非常に刺激が強く炎症を起こします。
ブリーチバス(漂白剤風呂)は海外ではわりとよく利用されているようですね。漂白剤と聞くと恐ろしいですが、温水プールに浸かるようなものらしいです。絶対に入りたくないですが。
わたしはお風呂を発汗の場だと考えていましたから、肌が水分を吸収しているなんて想像したこともありませんでした。でも、そういう効果もあるのでしょうね。7番目の「(お風呂は)外から水分を補給し、肌をやわらかく、きれいにします。ただし入浴後に保湿をしないと、かえって皮膚を刺激して乾燥することがあります」というのは、なるほど腑に落ちます。たしかにそういうことはありました。
さて、ここからはわたしが実践していた方法です。
アトピーを悪化させないお風呂の入り方(入浴方法)
お風呂に入ると痛い、かゆい、あとで乾燥する場合
お風呂に入るとアトピーが悪化するからいやだ、という場合、入浴方法に問題があるケースが多い。ぜひこの2つをお試しください。痛み対策、かゆみ対策の基本です。
- お風呂やシャワーの塩素除去
- 無添加石けんの使用
1.ビタミンCで塩素除去
水道水の塩素は、アトピー肌の天敵です。湯船に浸かるだけで痛い、かゆみが増す、肌が腫れる、こんなケースは塩素が原因であることがとても多い。肌が傷ついていると、水道水の塩素は強烈な刺激となります。炎症が悪化します。傷がひりひり痛んだり、かゆみが強くなったりします。
ビタミンCをほんの少し浴槽に投入するだけで、塩素は簡単にとりのぞけます。ビタミンCが塩素と結びついて化学変化を起こし、消滅してしまうのです。
脱ステ期、わたしもお風呂が大嫌いでした。肌がまっ赤になるし、痛くてかゆい。風呂あがりには毎回、蕁麻疹が出る。塩素を除去するようにしたら、そういうことはウソのようになくなりました。
2.無添加石けん(合成界面活性剤は避ける)
石けんや洗剤に入っている合成界面活性剤の危険性は、昔からたくさんの研究で指摘されています。合成界面活性剤は皮膚バリアを破壊し、皮下組織や血管壁をくぐり抜けて血流に侵入。身体にさまざまなダメージを与えるといいます。塩素除去と同じく、合成界面活性剤をやめただけで子どものアトピーが治った、という話もよく聞きます。塩素同様、アトピーの肌を傷つけているのです。
洗濯洗剤にも合成界面活性剤が使われています。洗って干しても、洗濯物には残留物がしっかり付着しています。ふつうの洗剤で洗濯していたころは、洗い立ての下着やTシャツを着ると、肌がチクチクしました。汗をかくと肌がまっ赤になりました。無添加の洗剤に変えたら、そういうことがなくなりました。
ちなみに化繊の下着やTシャツも肌には刺激となります。下着やTシャツ、布団カバーは綿100%を使うようにしています。
そんなわけで、わが家ではふつうの石けんは使いません。家族みんな、無添加の石けんと洗濯洗剤を使っています。健康体でもそのほうがいいからです。
無添加石けんと洗濯洗剤を使いはじめてから、明らかに入浴後の肌の状態が改善しました。それまでは牛のマークの石けんを使っていました。頭を洗ったあとのかゆみや痛みもはっきりと減りました。ついでにフケも減りました。
せっけんの化学名は「脂肪酸ナトリウム」と「脂肪酸カリウム」の2つ。
原材料に「アルキルエーテル」「ポリオキシエチレン」「ラウリルエーテル」といった難しい名前やカタカナばかりの名前が書いてあれば、合成界面活性剤が使われているということです。
原材料の欄に「石けん素地」や「カリ石けん素地」とだけ書かれているものが、無添加石けん。昔ながらの安全で安心な石けんです。
なお「ベビー用」「アトピー用」と銘打った石けんでも、合成界面活性剤が使われていることがあります。ご注意ください。
お風呂での身体と髪の毛の洗い方
わたしはナイロンタオルで身体をゴシゴシと洗っていました。もちろん痛い。が、かゆみがやわらぐのです。
もっとも肌のバリア機能をこれ以上破壊したくないなら、ナイロンタオルは厳禁です。やわらかめのタオルを使うか、手のひらで石けんを泡立てて、やさしく身体をこする程度がいいと思います。アトピーの方に一般に推奨されるのもそういう方法ですね。
ただし頭皮の洗い方には気を遣ったほうがいい。乱暴に洗髪していると、脱毛や薄毛を引き起こすことがあるからです。
アトピーの頭皮は雑菌が繁殖しやすいうえ、落屑やフケも付着しがち。刺激の少ない無添加石けんできちんと毎日洗うべきです。湯シャン(お湯ですすぐだけ)は避けるのがベター。爪を立てないようにして、頭皮をマッサージする要領で、やさしく洗髪しましょう。
面倒でなければ、(とくに女性の方は)髪全体に泡を立てたら10分ほど放置して汚れが浮いてくるのを待ち、熱めのお湯できちんとすすぐというのを2回繰りかえすといいそうです。海外の著名な皮膚専門医が推奨している方法です。くわしい手順は頭皮ケアの記事に書いています。
小さじ1杯弱のクエン酸を洗面器半分くらいのお湯に溶けば、立派な自然派リンスのできあがり(市販の無添加リンスにもこのタイプは多い)。クエン酸リンスのなかに髪の毛を入れてなじませ、お湯でよくすすぐ。これだけで、髪の毛がしっとりします。クエン酸は毛髪を本来の弱酸性に傾けてくれますから、潤い、ハリ、ツヤのある髪の毛に仕上がります。
試してみるわかりますが、クエン酸リンスにはぬめりがあります。これが頭皮に潤いを与え、乾燥を防いでくれるのです。かゆみが強いときは、リンゴ酢をリンスとして使う方法おすすめも。男性の方もぜひお試しください。こちらも上記の頭皮ケアの記事にくわしく書いています。
お風呂での半身浴は、デトックスを早める
ステロイドを長期使用した場合、皮下脂肪や血管壁、皮膚などに、体内で消費されたステロイドの残滓(酸化コレステロール)が蓄積しているそうです。脱ステ後もしつこいかゆみと炎症に悩んでいるなら、気炎物質である酸化コレステロールがしつこく居座って、悪さをしている可能性が高いそうです。
しかもこのステロイドのカスは、汗腺からしか排出されないといわれている。とくに皮下脂肪に溜まった酸化コレステロールは排出されづらいため、まず運動で脂肪を燃焼させてからでないと、なかなか外へ出ていかないようです。
そういうわけで、日々しっかりと運動して汗をかき、お風呂でもたっぷりと汗を流すようにしました。運動と半身浴を併用し、皮膚の下の老廃物、毒素、ステロイド残留物を強制的に外へ出すということをわたしは実践していたのです。
半身浴の際、入浴剤として竹酢液や木酢液、エプソムソルトを使うのもおすすめです。入浴後の肌の乾燥がぐっと抑えられます。
さいごに
アトピーの人は、体を洗うときはやさしく泡立て、手でなでるように――。こんなアドバイスをよく耳にします。アトピーの肌はデリケートで水分が枯れている。バリアー機能が衰えている。傷つけないようにしないと、いつまでたってもよくならない、そういう理屈ですね。
でもわたしは、ずっとナイロンタオルでゴシゴシ洗っていました。ソフトタッチを心掛けようが、流血しようが、治るときは治る、治らないときは治らない。なにより気持ちがいい。肌の状態が悪化することもありますから、おすすめはしませんけれど(笑)。
炎症部位には好酸球(白血球の一種)が集まっていることが知られています。彼らは皮膚を壊死させる物質を放出します。そこに溜まった毒素を外へ出すためです。身体が自分で皮膚のバリアーを破っているのです。だから炎症のある部分をひっかくと簡単に破れるのです。やはり腸の手当てが大切なのだと思います。もちろん保湿が必要なケース、というのもあると思いますが。
次の記事は保湿とスキンケアがテーマです。
Foundation for Atopic Dermatitis「Atopic Dermatitis: A Guide to Bathing」、Wikipedia「wikipedia」、American Academy of Dermatology、日本皮膚科学会ガイドライン「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016 年版」