禁酒、禁煙でアトピーは治らない
アトピーが悪化するたび、禁煙と禁酒にはまっ先に取り組んみました。それでよくなったか? 正直にいってしまうと、手応えを感じたことはありません。禁煙ではむしろ悪化する感じさえした。
もっともそれは好転反応だったのでしょう。禁煙すると毎回、数日後に一時的に肌が荒れる、ニキビができる、それがしばらく続く。煙草の有害物質が排泄されているのに違いありません。
しかし2週間経っても1か月経っても、アトピーの症状そのものが改善することはありませんでした。いつも「いや、そんなはずはない」とみずからを励まし、禁煙と禁酒を継続していたのですが、結局それで悪化がとまったり回復したことはないのです。
この経験からわたしは、アトピーとお酒、煙草は根本的な部分では無関係と考えています。根本的な解決にはやはり、毎日の食事へのアプローチ(適切な食事制限)が欠かせません。
禁酒禁煙が意味をなさない理由
完治したいま、当時を冷静に振りかえると、これは当然すぎる話。アルコールやニコチンその他の有害物質はアトピーの直接の原因ではないからです。
アトピーの原因は腸内環境の悪化にあります。腸内の細菌バランスと多様性が失われ、宿便や有毒ガスが溜まり、腸の粘膜はスカスカ(リーキーガット)。食べ物をフィルタリングする機能(栄養分だけを体内に入れ、有害なものは閉めだすしくみ)が完全に崩壊している。そのため免疫系が狂い、毒素が身体中に充満。毒素が出口を求めて、皮膚からも押しだされてきているのです。
だから禁煙や禁酒には、いったん坂を転がり落ちるように悪化を始めてしまったアトピーを食いとめる力はないのです。
禁煙禁酒は必要ないのか?
ここまで読んで、なんだそうか、煙草もお酒も関係ないのか、と胸をなでおろした方には申し訳ないのですが、それは早とちりです。だからとってお酒や煙草を好きに楽しんでいたら、いつまで経ってもアトピーはよくなっていきません。
本気で完治をめざすなら、煙草とお酒はいの一番にやめる、これは鉄則です。
どちらも身体には完全に「毒」です。解毒器官に相当の負担をかけます。ひょっとしたら禁煙、禁酒なしで完治することもあるかもしれません。けれども、禁煙と禁酒をきちんと実行した場合と比較すると、治るまでの期間はずっと長くなることでしょう。
お酒や煙草とアトピーとの関係、やめるとどういう利点があるのかは、以下の記事にまとめています。煙草の記事には副流煙のリスクの説明もありますので、煙草を吸わない方も目を通しておいてください。
アトピーの方がお酒や煙草を楽しむ際のヒント
さて、ここからはアトピーだけれども、お酒も煙草もいますぐはやめたくない、まだ本気で治そうとしていない(そういう方はこのブログを訪問されないと思いますが)、あるいは仕事のつきあいでどうしてもお酒を飲む必要がある、という方に向け、飲酒や喫煙の際のヒントをお話しします。
お酒も煙草もアトピーによくないのは間違いがありませんが、以下のようなルールを知っておけば、飲酒や喫煙から身体が受けるダメージは最小限に抑えられます。
アトピーに悪いお酒
お酒の利点はリラックス効果です。ストレスの発散にもいい。人間関係を円滑にするのにも役立ちます。循環器系を強くする利点もある。
肝臓と胃と神経が丈夫なら、適量のアルコールは健康に貢献してくれる可能性があります。でもアトピーの方は、肝臓も消化器も神経も弱っています。少量でもダメージを受け、治癒の妨げになるはず。とくにわたしたち日本人は、ほとんどがアルコール分解酵素を持っていません。解毒系に大きな負担をかけることは火を見るより明らかです。
それをよく踏まえたうえで、飲酒の際は次のようなお酒を避けるといいと思います。
- ビール
- 日本酒
- ワイン
- 甘いお酒(カクテルなど)
理由は2つ。
ビールや日本酒などは糖質が多い
糖質の多いお酒は、血糖値を急上昇させます。飲めば、体内の炎症は一気に燃えさかる。かゆみや湿疹が悪化します。症状がひどいときは、アルコールで血行がよくなると、だれでもかやみや赤味が増すものですが、じつはお酒の糖分はそこへ拍車をかけているのです。さらに血糖値の上昇は、副腎疲労の原因にもなります。
酔っ払っていて気づかないかもしれませんが、糖質ゼロのお酒の場合、そういうことは起きていません。飲酒後の悪化がずっとゆるやかです。糖質制限を行なうと、それがよくわかります。
醸造酒の酵母がアレルギーを引きおこす
2つ目の理由は、ビールや日本酒、ワインなどの醸造酒は、醸造工程で酵母を使用することにあります。お酒に含まれる酵母に身体が敏感に反応し、食物アレルギーの反応が起きるケースが少なくないのです。これはイーストコネクション(イースト菌のアレルギー)と呼ばれるもので、体内にカンジダが繁殖しているために起きる現象です。
程度の差はあるものの、アトピーの方の多くはイーストコネクションを生じているようです。だから、醸造酒はやめたほうがいいという話になるわけです。ビールがどうしても飲みたいなら、糖質オフのタイプをせめて1日置きに。毎日飲んでいたら、イーストコネクションが進行し、ビール酵母に対するアレルギーのスコアがじわじわと上昇していきます。
アトピーを悪化させにくいお酒
アトピーの症状に直接の影響を与えないお酒はこのようなもの。
- 焼酎、泡盛
- ウイスキー、ブランデー
- スピリッツ(ジン、ウォッカ、テキーラ、ラム)
こうした蒸溜酒には、上記の欠点がありません。醸造したお酒をろ過し、糖分や酵母などの不純物を取り除いているからです。居酒屋では、ビールの代わりにハイボールを飲みましょう。
お酒を飲む際の注意点としては、
- 過度の飲酒を控える。
- 食べ物を食べながら飲む。
- 十分な水を同時に補給する(脱水症状による乾燥とかゆみを避けるため)。
- 翌日は大量の野菜を食べる(飲酒によって消費したビタミンを補うため)。
- 翌朝にビタミンCを摂取する(同)
アトピーに悪い煙草
煙草はすべからく健康にはよくありません。喫煙者たる者、そのようなことは百も承知。これ以上、無粋な話をするつもりはありませんが、以下のようなことを知っておくといいと思います。
パッケージ煙草は添加物まみれ
煙草メーカーはパッケージ煙草に、600種ほどの添加物を使用しています。体内へのニコチン摂取量を増大させたり、依存性を高めたり、喫煙による咳を抑制したり、燃焼を促進したりと、目的はいろいろですが、このうち100種はかなり有害だとわかっています。強い発がん性があり、煙草の健康被害の主犯はほんとうはニコチンやタールでなく、こうした化学物質なのではないか、と指摘する専門家もいるくらいです。
事実、食品添加物の使われていない煙草(純粋な煙草葉のみを紙で巻いたもの)のが流通している地域で、喫煙と発がんの関係を調査した研究者がいるのですが、両者には相関性がみられなかったそうです。
農薬と放射性物資に汚染されている
数ある農作物のなかでも、煙草はとくに農薬の使用量が多く(全農作物中、第3位)、アレルギーの原因になっている可能性が高い。
そして農薬以上に問題なのが、煙草葉に放射性物資「ポロニウム」が大量に含まれている点。煙草メーカーは昔からそのことに気づいていたけれど、ずっと沈黙しつづけてきたのです。ところが昨今、巷間の知るところとなり、わが国の国会でも数年前に質問書が提出されました。厚労省が現在、検証中とのことです。
喫煙者が知っておくべきなのは、ポロニウムの出す放射線にはウランの100億倍の強さがあるということです。ポロニウムの放射線は、透過力のないアルファ線ですから人体の外にあれば無害。でも、ひとたび体内に入るとウランなどとは比較にならないほどの内部被曝をもたらすのです。
このポロニウムはおもに、栽培に使われる肥料から煙草葉へと吸いあげられていきます。
放射性物質「ポロニウム210」
ポロニウム210はおもに肥料由来で煙草葉に吸収されていきます。もう一度繰りかえしますが、放射線の強さはウランのなんと100億倍。その毒性の強烈さから、要人暗殺にも使われるほど。
以下は、国会に提出された質問主意書の一部。
放射性物質ポロニウムは、暗殺にも使われる毒性の高い放射性物質であるが、日本で生産されているタバコにも含有されていることが明らかになっている。タバコによって体内に取り込まれたポロニウムは、繊毛作用によって気管支に蓄積し放射線を放出する。私どもが厚生労働省から提出を受けた資料によると、タバコを一日一箱半喫煙する人のポロニウムによる放射線の曝露量は、年間で80mSvにも及ぶことになる。男性の喫煙者の平均喫煙量である一日一箱でも年間53mSvにもなる。そして、喫煙によるポロニウム曝露に起因する健康被害は、一日一箱を15年間吸ってきた喫煙者では、喫煙によるがん死亡リスクの約1%程度にもなるとされている。そして、70年間吸ってきた喫煙者では、約4%程度にもなるとされている。現在、福島第一原発事故によって、広範囲に放射性物質が放出され、外部被曝や内部被曝が問題になっているなかで、食品安全委員会は生涯累積線量100mSvを採用し、厚生労働省は食品の規制値設定に際し年1mSvを採用している。これに比してもポロニウムによる曝露量は、とてつもなく高いものであり、放射線被曝をトータルに考えた場合、放置することは出来ない」(12年9月5日参議院議員紙智子)
添加物と農薬と放射能汚染のない煙草
ここに挙げたリスクのない煙草があります。化学物質無添加で、農薬と化学肥料を使わずに育てられた、つまりオーガニックの煙草です。煙草メーカーの手でパッケージ化されたものではありません。いわゆる、手巻き煙草です。
いうまでもなく、添加物も農薬もポロニウムも人体にはかなり有毒。この3つを減らせば、少しは身体への負担が減らせるでしょう。もっとも、パッケージ煙草に比べて、ということです。吸わないにこしたことはありません。
さいごに
世の中に嗜好品と呼ばれるものはたくさんありますが、アルコールとニコチンはもっとも毒性が強いものです。アトピーの方は治るまでは完全にやめるべきでしょう。無理だ……という方は、こちらの記事でぜひモチベーションアップををはかってください。煙草とお酒の害を、お腹いっぱいになるくらい綴っています(笑)。
第五章「デトックス」はこれで最後。次章はスキンケアがテーマです。
ASAHI BREWERIES
小牧市役所
厚生労働省 アルコール情報ページ
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
東京都福祉保健局
オックスフォード大学「HealthTalkOnline」
Smoking and Hand Dermatitis in the United States Adult Population. Yi Chun Lai and Yik Weng Yew
Environmental tobacco smoke and the risk of eczema symptoms among school children in South Africa: a cross-sectional study. Joyce Shirinde, Janine Wichmann, and Kuku Voyi
Cigarette smoking, body mass index, and stressful life events as risk factors for psoriasis: results from an Italian case-control study. Naldi L, Chatenoud L, Linder D, Belloni Fortina A, Peserico A, Virgili AR, Bruni PL, Ingordo V, Lo Scocco G, Solaroli C, Schena D, Barba A, Di Landro A, Pezzarossa E, Arcangeli F, Gianni C, Betti R, Carli P, Farris A, Barabino GF, La Vecchia C.
Smoking and psoriasis. Behnam SM, Behnam SE, Koo JY.
Effect of smoking on skin elastic fibres: morphometric and immunohistochemical analysis. Just M, Ribera M, Monso E, Lorenzo JC, Ferrandiz C.