腸が壊れている

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アトピー最大の原因は、弱って傷ついた腸粘膜です。腸が壊れていると、アレルギーの原因となるたんぱく質がきちんと分解されないまま体内へ侵入してきます。それ以外の有害物質や有毒ガスも体内へ入りこみます。アトピー完治の第一歩は、腸を元気にすることです。

腸が弱るとどうなるか?

話自体はとてもシンプルなのです。

アレルギーなどの免疫反応を起こすのは、(おもに)たんぱく質です。胃や腸などの消化器が弱り、腸内環境が悪化していると、食べ物に含まれるたんぱく質が十分に分解できません。すると弱った腸壁から未消化のたんぱく質が体内にそのまま入りこんでしまいます。

たんぱく質は、身体をつくるうえで欠かせない栄養素です。ただし、アミノ酸のサイズまでこまかく分解されていないと身体は利用できません。利用できないだけでなく、身体にとっては「異物」です。だから免疫システムは、その食べ物を細菌やウイルスと同じように敵だとみなし、次から次に抗体をつくっては攻撃を仕掛けるわけです。

たんぱく質

たんぱく質は、身体の主成分です。血も肉もたんぱく質からできています。20種類以上のアミノ酸で構成されていて、口から入ったたんぱく質は、消化酵素で小さなアミノ酸へと分解され、小腸で吸収される。このアミノ酸は、体内の組織で再度、おのおのが必要とするたんぱく質につくりかえられます。

この段階で、よく耳にする「過剰な免疫反応」というものが生じます。抗体が増えるため、アレルギー検査でよく見る「総IgE」などの数値があがりはじめます。

これをほったらかしにしていると、そのうちいろいろな食べ物に対する抗体が体内にあふれかえってきます。

次にそれぞれの「特異的IgE」があがりだします。

総IgE、特異的IgEとは?

抗体は、免疫細胞が敵と戦うためにつくる武器。

「総IgE」というのは、この抗体のひとつのIgE抗体が体内にどれくらいあるかを示しています。一人ひとりのアレルギーレベルを測る指標として使われます。

「特異的IgE」も、アレルギー検査でおなじみ。こちらは、特定の抗原(いろんな食べ物や花粉、カビなど)に対する抗体の量をあらわしています。

IgEアレルギー検査の結果

「非特異的IgE」と書かれているのが「総IgE」。その下の「アレルゲン名」の部分が「特異的IgE」です。

アトピーになったのは、腸が壊れたから

そうなのです。腸が壊れていたのです。

これこそまさに、アトピーの人びとがさまざまなアレルギーを抱え、医師から「アレルギー体質」のレッテルを貼られる原因だったのです。

ここまで知り、わたしは、「ヤバイ、いますぐ手を打たないといけない」という強い焦りと確信を抱きました。

どうしてか?

このまま放置していたら、食物アレルギーがますます増えていくことは容易に察しがつくからです。食べられるものがどんどん減ってしまう。

アレルギーの炎症が起きるのは、皮膚だけではない。腸でも起きています。すると弱った腸がますます傷ついていく。壊れていく。この間も、炎症性物質が全身の細胞にダメージを与えている。看過していていいわけがない。

弱った腸から侵入した異物が、皮膚から排泄されている

ここまでの話がちょっと難しい、ピンとこない、という方はまず、このイラストをご覧ください。

消化のしくみと小腸の役割

外の世界と自分の身体との境目を口や鼻、おしりだと思っている方が多いのですが、じつはそうではありません。ヒトの身体は、まんなかに1本の空洞のある、ドーナツ型の袋のようなものなのです。口からおしりまではひと続きの管。外から入ってきたものは通常、ここを素通りして外へ出ていきます。食べ物などの役に立つものだけを、腸がふるいにかけて吸収しているのです。外界から体内への入り口は、生理学的には腸(主に小腸)なのです。

つまり、小腸は口から入った食べ物が身体へ入るための玄関口。いわば門番。ふつうこの門番は、相手を選んで扉を開けているのですが、アトピーの方のおなかの門番たちは疲れきっています。だから務めを果たせないわけです。

しかも不審者はたんぱく質だけではない。こんな有害物質も、開けっぱなしの扉から身体のなかへ侵入してきます。

  • 食品添加物
  • 魚などに含まれる重金属
  • 食べ物の残留農薬
  • 環境毒素(ダイオキシンなど)
  • 塩素、トリハロメタン(水道水の有害物質)
  • カビ、カビ毒
  • ウイルス、細菌

これに加えて、食べたものが腸内で腐敗してできる有毒ガス(悪玉菌がつくる腸内毒素)も、体内へ染みこんできます。

たんぱく質、有害物質、有毒ガス(腸内毒素)が腸壁から体内へ侵入してくる

アトピーとは、そうやって体内に入りこんだ不審者(たんぱく質や有害物質、腸内毒素など)をなんとか体外に追いだそうと、身体がもがき苦しんでいる状態だったのです。

このとき、身体は肝臓や腎臓を助けようとして、次の2つの予備的な排泄器官も総動員します。

  • 汗腺(皮膚)
  • 呼吸(肺)

とくに、人体最大の器官である皮膚(体重の16%もある)からは、大量の毒素が排出されます。汗腺は全身にあります。たかだか1センチ四方に数百個、全身には300万個以上もあるのです。

毒素が血液にあふれかえっているこの状態を、「悪血症」といいます。肝臓や腎臓から出る老廃物も毒素です。こうした毒素が血管を埋めつくすと、血液は毒素過剰の状態「悪血症」になるのです。

アトピーの炎症の中心は、未分解の食べ物のたんぱく質によるアレルギー反応ですが、原因はそれだけではなかった、ということです。

アレルギーの原因になっているたんぱく質はあらゆる食品に含まれます。生活空間から完全に排除することなど、どうあがいても不可能。

アレルゲンの代表格と呼ばれるハウスダストやダニ、花粉なども、たんぱく質でできています。でも、医師の指示どおりに、毎朝毎晩掃除して、空気清浄機をがんがんかけて、体の外にあるこれらのたんぱく質をとりのぞいても、アトピーは治りませんね。

理由はもうおわかりのはず。毎日の食事から、もっともっと大量のたんぱく質が1日3回、身体へ入ってきているからです。

腸粘膜から毒素が体内へ逆流

腸が弱ると薄くなり、やがてあちこちに大きな穴が開いてきます。海外では「リーキーガット」(漏れている腸)と呼ばれる状態です。ここまでくると、毒素はもう体内をぐるぐる循環している、という専門家がいます。

肝臓などでつくられる毒素(老廃物)はふつう、腸を経由して便といっしょに体外へ排出されないといけないのですが、この毒素がまた破れた腸壁に染みこんで、血液やリンパに逆流していくというのです。怖ろしい話です。十分ありうる話なのが怖い。

もちろん、肝臓や腎臓はこの毒素を処理しようと懸命に働いています。でも、毒素は一向に減らない(体内を循環しているのだから)。そのうち肝臓や腎臓の処理能力は限界を迎えてしまい、悪血症はさらに重症化していくのです。

アトピーは、浄化と排泄のプロセス

医学では、アトピーは先天的過敏症と位置づけられています。

世間では皮膚病のひとつだと考えられています。

事実、わたしたちが最初に足を運んだのも皮膚科でした。

でもこうしてみてくると、そもそもこの前提そのものが変だとは感じませんか。というのは、アトピーというのは、身体が自分自身を守るため――病気にならないため――発動した浄化と排泄のプロセスにすぎないのですから。先天的な過敏症、遺伝による皮膚病とみなすのは、ちょっと本質からズレている、と感じますね。

次の記事は、いよいよ核心ともいえる部分。腸が壊れる原因についてです。