アトピーの本当の原因は、遺伝でも体質でもない

遺伝と体質

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現代医学は、アトピーの原因を遺伝や体質と説明します。病院でも、判で押したようにこの説明が繰りかえされる。しかしアトピーの多くは遺伝や体質ではないのです。真相はもっと単純。腸にトラブルが起きているのです。

アトピーやアレルギーの体質は遺伝する?

アトピーは現状、遺伝や体質で片づけられています。いくつもの病院で聞いたけれど、どこでも同じことをいわれました。

アトピーは遺伝だ。あなたには「アトピー体質」「アレルギー体質」「アトピー素因」がある。一生治らない。上手にステロイドを使ってコントロールするしかない。

まるで天罰あるいは神に課された試練だといわれている気がしました。でも、わたしはどうしても納得がいかなかった。よく知られた事実ですが、この国にアトピーが増えたのはこの半世紀のことだからです。

アレルギー性疾患の有病率の推移

NPO日本健康増進支援機構の橋本雅夫さんが作成したグラフをもとに当ブログが作成。このグラフは一般社団法人児童環境育成協会のホームページ医師会の会報などでも引用されているものですから、信頼性は担保されています。

論より証拠です。このとおり、日本では1960年代半ばまでアレルギー疾患はほとんどなかった。ところが以降50年で急増しています。

なにが変わったのか。

遺伝ではありません。この半世紀でわたしたち日本人の遺伝的な形質が大きく変化したという裏づけはありません。いちばん変わったのは食生活です。そして医療(新薬が続々登場し、薬剤の使用頻度が飛躍的に高まった)。ほかにもいろいろあります。

そもそもわたしの親兄弟にアレルギー持ちはいないのです。2代遡った爺ちゃん婆ちゃんにもアレルギー持ちはいない。かりに隔世遺伝だとしても、それならどうして20代の後半まで発病しなかったのか。どう考えても、遺伝やアレルギー体質とは思えないわけです。

アトピーのメカニズムは原因ではない

そういうと、医学書片手に小難しい医学用語をふりかざし、アトピーの作用機序(メカニズム)を説明しだした先生もいました。

T細胞、NKT細胞、肥満細胞、ヒスタミン、アレルゲンなど、アレルギーのメカニズム

免疫とアレルゲンの話、肥満細胞やヒスタミンの働き、ヘルパーT細胞(Th1、Th2)、NKT細胞の話……健康本にもネットにも、アトピーというか、アレルギーのメカニズムに関するこうした情報はあふれています。アトピーに悩む人なら、一度は目にしたり聞いたりしたことのある言葉ばかり。多少難しい話でも、自分の身体になにが起きているか気になるものだから、必死で理解しようと努めます。

しかしあるときわたしは気がついてしまった。免疫やアレルギーの作用機序を知ったところで、アトピーが治るわけではないということに。

アレルギーのメカニズムなどでなく、アトピーの原因が知りたい。そうすれば手が打てる。でも残念ながら、それを教えてくれた医師はいませんでした。

その時点でわたしは、遺伝や体質という言葉が、アトピーの原因がわからないことをはぐらかす方便なのではないかと疑いはじめてしました。要するに、医師にはなぜ目の前の患者がアトピーなのか見当がつかないのではないか。

アトピーの正体を見極めるには、身体全体を見る

学問はいま専門化、細分化されていて、なんでも分業するのがならわしです。医学もその例に違わない。骨のことは外科に、胃腸のことは内科に、皮膚のことは皮膚科に……こんなふうにこまかく分類されていて、医師は自分の専門分野には精通しているけれど、専門外のことはほとんど知らない。

合理性を追求した結果なのか、医学の進歩が医師に専門化の道を強制したのかは知りませんが、専門化や細分化が不合理になることがあります。わたしたちの身体は全部がつながっているのです。たがいに影響しあっているのです。

人体を、腑分け(解剖)することはできます。でも病気を、器官ごとに線引きすることはできない、わたしはそう思う。

それぞれの器官は、全体のひとつだからです。

それひとつで人体はなりたたないからです。

わたしたちの身体は、一つひとつの器官の集合体だからです。

そう考えると、ほかの器官を損なわずに、別の器官が壊れることなどありえません。どこかが病気になったら、ほかの器官や、身体全体とのかかわりを考えないで、その病気を理解することなど不可能なはずです。

アトピーの原因は、やはり遺伝や体質ではない

皮膚科の医師に聞いても、いつまでたっても埒(らち)があかないから、自分で調べました。必死でした。

ほかの記事にも書きましたが、古今東西の研究者らの発見、業績にじっくり耳を傾けました。東洋医学や伝統医学、自然療法にも眼を向けました。西洋医学と異なり、病を全身の不調和から捉えて癒やそうとするものだからです。

そうしてたどりついた答えは、じつにシンプルなものでした。

アトピーの原因 = 弱った腸

腸粘膜と腸壁がアレルゲンから体内を守る

多くの人は、消化管を体内だと考えていますが、生理学的には体外です。口と肛門は外界に向かって開かれています。ほんとうの「体内」というのは、胃腸の外側、皮膚の内側です。つまりわたしたちの「体内」への入り口は「腸」なのです。だからこそ腸にはきわめて堅固なバリア(腸粘膜)が築かれているのです。その奥ではさらに、屈強の兵隊たち(免疫細胞)が敵の侵入を阻んでいる。腸が弱ると、これが全部ダメになるのです。

が弱るとどうしてアトピーになるのかについては次の記事できちんと説明します。このまま読み進めてください。

遺伝や体質でないなら闘える

それまで聞かされてきた遺伝や体質の話は、どうにも腑に落ちませんでしたが、この話はストンと胸に落ちてきました。

いまはテレビの健康番組でも取りあげられるようになりましたが、数年前までアトピーと腸の話はまったく知られていませんでした。書籍も健康事典もネットも「アトピー体質」「アレルギー体質」「アトピー素因」の説明であふれかえっていました。もちろん医師の書く本にも病院のサイトにもそうした記述は一切ありませんでした。

遺伝や体質のケースがゼロとは思いません。腸粘膜に先天的な異常があるとか、母胎から受け継いだ腸内細菌のバランスが悪いといった方もおられると思います。これは体質といえなくもない。乳幼児のアトピーの原因の多くは、母親の腸内細菌のバトンをうまく受けとれなかったことにあるとわたしは疑っています。

とにかくほとんどのアトピーは、遺伝子の欠陥によって生じているのではない。わたしはそう確信したのです。

事実、ヒトゲノム(人間のDNA)の全配列が解読されたら、医療はめざましい進歩を遂げると期待されていましたが、2000年にそれが実現してもほとんど何も変わっていません。

特定の遺伝疾患のいくつかについては治療法が改善されましたが、日常耳にすることの多い一般的な病気の正体はいまだ霧のなか。DNAのスペルの違いから、病気の原因を明快に説明できるというような、医学的技術革新は起きなかったのです。

同じ病気の人たちのDNAを調べてみても、関連性の弱いスペル違いはたくさん見つかるのですが、この遺伝子を持っていたらこの病気を発症する確率が高い、というようなケースはほとんどなかったそうです。

病気は遺伝子では説明がつかないのです。

DNAの変異によって、特定の病気を発症する可能性のある遺伝子というものは見つかっています。遺伝子変異のなかには病気との因果関係がはっきりしたものもあるようです。たとえばいくつかの特定の遺伝子にスペルミスがあると、乳がんを発症する確率は80%になるそうです。

でも、現代病の増加の原因がすべて遺伝子にあるはずがありません。アトピーになりやすい遺伝子があったとしても、その遺伝子がたった半世紀で日本人全体に広まることなんてありえません。動物はそんな短い時間では進化しません。だいいち自然選択で集団内に特定の遺伝子が広まるのは、それが有益だからです。無益あるいは有害なら広まらないのです。

ちなみに肉体的な形質については、やはり遺伝子の影響をもろに受けるようです。たとえば薄毛。禿げるか禿げないかは9割方、遺伝子で決定されてしまいます。

祖父や父親から「薄毛遺伝子」を受け継いだ人は、本人がいくら努力しても遅かれ早かれ禿げてしまう。「意志あるところに道は開ける」とリンカーンは言いましたが、こと抜け毛に関してはほとんど通用しないわけですね。遺伝子があるとき「さあ、そろそろ出番だ」とか思って腰をあげたら、髪はただはらはらと抜けていくしかないのです。

世の女性たちはこと薄毛には手厳しい眼を向けられますが、そんな次第ですから薄毛にもっと温かい眼を注いでいただきたいものです。

爺ちゃん若禿の、秋になると抜け毛が気になる男のひとりごとでした。

まとめ

アトピーが自分の手の届かない運命のようなものでないなら、きっと闘う方法がある。壊れた腸を蘇らせる方法はいろいろとありそうです。

【結論】アトピーは遺伝ではない。「アトピー体質」「アレルギー体質」など存在しない。

ここからが本題です。

わたしは医師でも研究者でもありませんから、話は医学的な見地でなく、あくまで実体験がベース。いろんな書物や論文などからヒントを得ましたが、自分で実践し真偽をたしかめています。最終的に納得したものだけを再構成しています。むずかしい部分はなるべく噛みくだいて、簡単に書くように心がけました。それでも、ちょっと難しいところはあるかもしれない。

でも――。

アトピーを完治させるうえでいちばん大切なのは、背景にある理由をきちんと理解しておくことです。そうすれば、やるべきことを信念を持って実行し、いまどうしてそれが必要なのかを確信しつづけることができるからです。

次の記事は、腰を据えて読んでください。