想像をはるかに超える力があったのだなあ――これが、ビタミンCについて今回真剣に調べてみた感想です。
以前から、皮膚のバリア機能を低下させる活性酸素を除去したり、副腎皮質ホルモンの分泌を手助けしてくれたりといった利点があることは知っていましたし、お風呂の塩素除去にも長らく使用してきました。
それにしても、いやはや驚きました。
その馬鹿力がどんなものかというと――。
- 風邪、インフルエンザに効く。
- 動脈硬化や脳血管障害に効く。
- がんに効く。
- アトピー、アレルギーに効く。
- 病気や老化を蹴散らす。
解説していきます。
ビタミンCの健康効果
1.風邪、インフルエンザに効く
細菌は抗生物質で殺せますが、ウイルスの特効薬はいまのところみつかっていません。ビタミンCをのぞいては。
ビタミンCは、すべてのウイルスを殺します。また、細菌が放出する毒素を中和する働きもあるのです。
2.動脈硬化や脳血管障害に効く
心筋梗塞や脳梗塞の原因となるのが動脈硬化や脳血管障害。最近よく耳にするフリーラジカル(活性酸素)がコレステロールを酸化させ、血管壁にへばりつくのが原因。ビタミンCはこれを防いでくれます。
ビタミンCで血液サラサラになるというのは、こんな理由なのです。
3.がんに効く
高濃度のビタミンCは、体内で過酸化水素を発生させます。これが血流に乗ってがん細胞にたどりつくと、がん細胞を殺すといいます。でも、健康な細胞はダメージを受けない。米国立衛生研究所の、ヒトやマウスのがん細胞を使った実験で証明されています。
ビタミンCをがんの代替治療として用いている医師も少なからずおり、なかには「痛みが劇的に減り、モルヒネがいらなくなった」「完治に近い状態になった」といった報告もあるそうです。
4.アトピー、アレルギーに効く
アトピーの方はここに注目。アトピーやアレルギーになると、体内で活性酸素が大量につくられます。これが炎症を引き起こしている。が、炎症というのは、じつは身体が自分自身を守るために起こすもの。免疫細胞は活性酸素を武器に外敵と戦うのです。
問題は、活性酸素は自分の細胞をも傷つけること。
ここで、ビタミンCの出番。ビタミンCが必要なだけ体内にあれば、免疫細胞はそれを使ってたくみに活性酸素から体細胞を守ることができるしくみなのです。
5.病気や老化を蹴散らす
人間が病気になる裏側には、かならず酸化があります。老化などは酸化そのもの。身体がさびていくわけです。ビタミンCはこれを食いとめます。
酸化によってできる活性酸素は、体細胞をいちじるしく傷つけます。このことは、老化や発がん、免疫などと深くかかわっているのですが、ビタミンCはさきほども書いたとおり、活性酸素を無害化してくれます。
ビタミンCが完全に充足していれば、大方の病気を予防できる、といわれる所以(ゆえん)です。
1日複数回の大量摂取でないと意味なし
このような効果を期待するなら、「500mgを1日2回」といった、サプリメントのラベルに書いてあるような摂取方法ではダメ。血中濃度をつねにマックスに近づけなければいけない。
ポイントは、
- 大量摂取(1日数グラム~数十グラム)
- 1日に複数回摂取
ビタミンCは体外に排泄されるのがとにかく早い。脳科学やサプリメント関連の著書を多数上梓している薬学博士の生田哲さんによると、大量に摂取すると、血中濃度は一時的に急上昇するが、30分で半分に、数時間で平常値に戻ってしまうとのこと。だから、日に何度も繰り返し飲むのです。
たくさんとってもほとんどが排泄されてしまうから無意味、という人がいますが、排泄されやすいからこそ、大量に何度もとることが重要。そうすることで、血中濃度を常時マックスに保て、最大限に健康効果を享受できる濃度をキープできるといいます。
過剰摂取は有害でないのか?
過ぎたるは及ばざるがごとし、の精神が根づいている日本では、過剰摂取はそれがたとえなんであっても毒、と指摘する声があります。ビタミンもしかり。
でも、ビタミンCだけはそのかぎりでない。
一部の霊長類をのぞき、動物はみずから体内でビタミンCを合成します。生田博士によれば、たとえばヤギは1日10g以上(体重60kgあたり)をつくっており、病気になるとビタミンCの製造量はその7倍にもなるとか。
一方、日本で推奨されている、ビタミンCの1日必要摂取量はたった100mg。人間は、自分ではビタミンCをつくれないにもかかわらずです。素人目にも、まるで足りていないように感じます。実際、人間は慢性的なビタミンC欠乏、と指摘する専門家もいます。
原始人が食べ物からどのくらいビタミンCを摂っていたか試算した科学者もいます。それによれば、1日約2~10g。だとすれば、100gなんて数字はどこから導きだしたのか。じつは、この100gというのは急性壊血病の予防が目的。健康維持を見込んだ数値ではないのです。
まして、なんらかの疾患を抱えているなら、なおさら多くのビタミンCが必要なはず。ストレスがかかったり病気になったりすると、ヤギだけでなく、多くの動物の体内で、ビタミンCの合成量が飛躍的に増えることがわかっています。
わたしたち現代人の平時の必要量がかりに原始人と同じで、病気になるとヤギと同程度ビタミンCの必要量が上昇するとすれば、2~10gの7倍の14~70gが必要ということになります。アトピーの方には、ひょっとするとこのくらい必要なのかもしれない。
患者へのビタミンC大量投与で数えれないほどの治療成果をあげている、米国のロバート・カスカート医師の臨床データによると、アレルギー疾患がある場合の経口摂取可能な最大量は1日0.5~50g。これを4~8回に分けて摂ると効果的だそうです。
次の表は、カスカート医師が作成した、健康状態別の1日最大摂取可能量(『ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く』講談社α新書から。一部略。原典がみあたらず、孫引きですみません)。
ビタミンCの最大摂取可能量は、病気の深刻さに応じて増加することがわかりますね。
ただし、アトピーなどで腸の損傷が激しい方の場合、これが大幅に落ちていて、本来の必要量を摂取できないことも少なくないそうです。
ビタミンCの副作用
副作用が気になる、という人もおられると思いますが、2~3時間に200g飲んでも、なんの問題もなかったことが実験で確認されているそうです。
ビタミンCをとりすぎると腎臓結石ができるぞ、とよくいわれます。じつはこれも実例はひとつもない。疫学調査では、すでにあやまりであることが証明されているそうです。
胃が悪くなる、という説があります。が、胃はもともと胃酸(強酸)に耐えられるようにできている。弱酸のビタミンCごときではびくともしません。空腹時に飲むと、それが刺激となってからっぽの胃に塩酸が分泌されますから、これで具合が悪くなる、胃酸逆流が起こる、ということはままあるといいますが。
ほかにも「遺伝子が突然変異を起こす」「流産する」などいろいろな噂がありますが、現在ではすべてあやまりだとわかっているそうです。
唯一の副作用は「下痢」です。
しかしながら、ビタミンCが下痢を引き起こす作用を使い、わたしたちはビタミンCの最大摂取可能量を知ることができる。下痢という副作用のおかげで、身体がどのくらいのビタミンCを欲しているのか簡単にわかる、ということです。
ビタミンCフラッシュ(アスコルビン酸フラッシュ)
ビタミンCの恩恵に最大限あずかりたいなら、自分の摂取できる限界値を知ること。この最大摂取可能量をチェックする方法があります。
「ビタミンCフラッシュ」(アスコルビン酸フラッシュとも)です。
やり方は簡単。
- 起きぬけに、小さじ2杯(3g)のビタミンCを水に溶かして飲む。
- 下痢が起こるまで、15分置きにこれを繰り返す。
- 4回飲んでも下痢しないようなら、小さじ4杯(6g)に増量する。
- 15分置きに、さらに摂取しつづける。
memo
この量は、なんらかの疾患を持つ方の場合。健康の方が健康維持を目的におこなうなら、1回分1gでOKだそうです。通院中の方、薬を服用中の方は、担当医に相談してからにしましょう。
下痢になったら終了です。ただし、軟便ではなく、完全な液状になるまで。食事はそれまであおずけです。この量が自分の身体が許容できるビタミンCの限界値となります。たいてい9~24gあたり。ちなみに、わたしは24gでした。
翌日から、その4分の3の量を1日3回以上に分けてとっていきます。わたしの場合は18gですね。半年くらいつづけるといいそうです。そのうち、体細胞の一つひとつにまでビタミンCがいきわたり、健康状態がめきめきよくなってくる、とか。
そのうち、同じ量を飲んでいても軟便になったり下痢したりします。これは、必要な量が減ってきたよ、という肉体からのシグナルですから、服用量を減らしていきます。
ビタミンCフラッシュは、最大摂取可能量が確認できるばかりでなく、デトックスの効果も高いといわれています。血液やリンパの毒素が腸壁から腸内へと染みだし、腸内に溜まっているゴミもいっしょに体外へ一気に排泄。このとき、食物アレルギーの抗原も連れていってくれる。
本当かどうかは知りません。けれど、たしかにおなかはすっきりします。いつかひどい便秘になったらまたやろう、と思いました。
定期的におこなっている人もいるようです。その多くが「不定愁訴が楽になった」と感じているそうです。
ビタミンCフラッシュは、1年に4回までならOK、とのこと。
なお、いったん下痢がはじまると、半日くらいひんぱんにもよおします。わたしも連続10回以上、トイレに駆けこむハメに。体重が減ります。便器が汚れます。おしりが痛くなります。絶対に休みの日にやるべきです。
天然物をウリにする高価なものもあります。が、先述の生田博士は著書のなかで、「天然型ビタミンCが合成ビタミンCにまさる点は一つもない。(中略)安心してサプリメントから摂取すればいい」と説明。自身、安価なアスコルビン酸を利用していることを明かされています。わたしも激安品でも安心して利用しています(笑)。
おしまい
複数の書物を読んだり、英語の論文に目を通したりして時間は食ったけれど、ビタミンCの馬鹿力を知ったことは本年最大の収穫かもしれない、そう思います。
試してみようかしら、と思う方は、ご自分でもお調べになってください。参考文献を一番下に載せておきます。
最後にひとつだけ。ここで書いたような大量摂取をおこなうようになってから、わたしは一度も風邪をひいていません。インフルエンザも。ビタミンCのおかげかどうかはわかりませんけれど。
『希望の抗がん剤点滴ビタミンC—600の症例が語る』(河出書房新社)水上治・著
『今、注目の超高濃度ビタミンC点滴療法』(日本文芸社)水野芳春・著
『ビタミンCがガン細胞を殺す』(角川書店)柳澤厚生・著
『ガンが消える!』(ベストセラーズ)西脇俊二・著
『ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く』(講談社)生田哲・著
『新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア』(共立出版)村田晃・著
「ビタミンCの多様な作用と作用機作」(2008)村田晃
「ビタミンC欠乏による動脈硬化症 短期間欠乏の影響について」(2011)藤浪隆夫、岡戸洪太ほか
「アスコルビン酸関連化合物の抗腫瘍性とデオキシリボ核酸に対する作用」(1974)大村浩久
「ビタミンCによるウイルスの不活化」(2008)村田晃、加藤富民雄
アトピーの身体に必要な栄養素:ビタミンA、ビタミンB群、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、オメガ3系脂肪酸、消化吸収のいいたんぱく質(プロテインはNG)