野菜やお米の力で素肌をやさしく癒やす9つの方法

野菜やお米でスキンケア ~伝統的な9つの自然療法

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からだの外側から血液を浄化する方法――痛んだ皮ふをやさしく手当てする方法をご紹介。生姜や豆腐、里芋、きゅうり、大根、どくだみ、梅、お米のとぎ汁などを使った、古式ゆかしき日本の自然療法です。薬で症状を抑えつけるのでなく、自然治癒力をひきだすものばかり。

東洋医学は、病気の原因を血液の汚れと考えます。

がん、糖尿病、肝臓病、湿疹、肌荒れ、頭痛、肩こり、関節炎……。病名は異なっていても、原因はすべて同じ。汚れてどろどろした血(悪血や酸化血とも)が万病のもと。それがその人の弱い部分に影響をおよぼすとみているのです。

では、どうして血液が汚れると病気になるのか。

酸素や栄養素の運搬能力が落ちて、食べ物から摂取した栄養や、肺から吸いこんだ新鮮な酸素が細胞の一つひとつにきちんといきわたらなくなるからです。細胞の働きがわるくなると、余分なものや老廃物、毒素などを外へ排泄できなくなります。すると病気がやってくる。

アトピーもそのひとつ。

アトピーの方は腸壁がすかすか。抗原たんぱくや化学物質、食毒などが体内へ侵入しほうだい。このとき血液が汚れて、排泄能力が落ちていたらどうなるか。悪いものが体内に蓄積するばかりです。しかもこうして溜まったものが、さらに血液を汚していく。

ひとの身体は37兆個の細胞でできています。これら一つひとつがいつも元気で、しっかり役目を果たしていれば、病気になどならないのは道理です。

シンプルで、とてもわかりやすい話ですね。

自然治癒力を生かす、古きよき民間療法

江戸時代に花開いた、日本古来の伝統的医療もこうした考え方がベースです。戦後、西洋医学に主役の座を奪われてしまいましたが、それまでの日本の医学というのは、食養生などで自然治癒力を高め、自分の身体に病気を治させようとするものだったのです。

西洋医学は「戦場の医学」。ルーツは野戦病院です。もともと、兵士のケガや感染症の応急処置を目的に発展してきた医学なのです。外科や救命救急医療、重篤な感染症対策などではとても役立ちますが、病気の根治でなく、目に見える症状を抑えることに主眼を置きますから、慢性病の治療には本来向きません。

現代の自然療法家も、アトピーは食源病だと口をそろえています。血液が汚れて、身体のなかは毒素や老廃物だらけ。通常の排泄ではとても間に合わず、毛穴から吹きだしてきた状態だといいます。

だから、アトピーを治すには血液をきれいにすることがなにより大切。そのために必要なのはやはり正しい食事、というわけなのです。

食事の話はこのブログに書きつくしていますから、今回は身体の外側から血液を浄化する方法――痛んだ皮膚をやさしく手当てする方法を紹介しようと思います。

いずれも古式ゆかしき日本の自然療法です。

薬でむりに症状を抑えつけるのでなく、自然治癒力をひきだすものばかり。いくつかは、わたしも症状がひどかったころお世話になりました。

自然療法といえど、人によっては適不適があるかもしれません。合わないと感じたら、すぐに中止してください。

生姜温湿布
老廃物や毒素をとりのぞく

ショウガ温湿布、ショウガ湿布

生姜温湿布は、毒素や老廃物、疲労素などを吸いだしてくれるといわれています。内臓の痛みからさまざまな炎症、神経痛、リウマチ、ねんざ、打ち身、肩こりとありとあらゆる病気に使えます。

とくに炎症に効く。

血液の流れもよくなります。生姜の薬効と、温湿布の温熱作用の相乗効果です。リンパの流れもよくなります。自然治癒力があがります。

生姜温湿布のやりかた

①生姜100グラムをおろし金で皮ごとすりおろします。

②すりおろした生姜を木綿の袋に入れ、口をしばります。わたしは茶葉用のパックを使っていました。

③鍋に2リットルの水を入れ、火にかけます。沸騰したら70~80℃まで冷まし、おろし生姜の袋を投入。生姜の汁をしぼりだします。

④鍋にタオルをひたし、よくしぼったら、患部にあてます。しぼるときは熱いです。わたしはゴム手袋を利用していました。

⑤タオルがぬるくなったら、再度④へ。鍋のお湯が冷めてきたら、とろ火にかけて温めなおします。このとき80℃を超えないように注意が必要。生姜の酵素が死にますから。

⑥これを20~30分つづけます(子どもは10~15分)。

アトピーの方のなかには、冷え性の向きも多いはず。生姜温湿布は、冷えとりにも威力バツグン。おなかに使えば、身体の芯からぽかぽかと温まるのです。

生姜温湿布のタオルで患部を拭くだけでも、かゆみ対策になるといいます。強いアルカリが表皮の酸化を中和させるからだそうです。頭皮にも使えます。

使用上の注意が2つあります。

  1. 空腹時を狙っておこなうこと。
  2. 施術前後1時間は入浴をひかえること。

里芋湿布
炎症や痛みの万能薬

里芋湿布

患部が熱をもっている場合、生姜湿布とならんでおすすめなのが里芋湿布(里芋パスタ―)。ねんざやリウマチ、がんなどの特効薬としても昔から知られています。

再発時のいちばんひどかったころに毎日おこなっていました。胸や首のうしろ、二の腕などが中心でしたね。皮ふの下にある毒素や老廃物、炎症性物質などをとにかく強力に吸いだしてくれるように感じたのものです。

やり方はこちらの記事に書いています。

生姜温湿布と組み合わせておこなうと、効き目が倍増するといいます。わたしの場合、たしかに症状がぐっと楽になりました。

生姜温湿布と併用するときは、先に生姜温湿布で患部を温めてから里芋湿布を貼ります。でも患部が熱をもっているときは、患部を温めすぎないこと。生姜温湿布をさっと乗せて、すぐ里芋湿布を貼ります。

里芋にかぶれる体質の方は、ジャガイモで代用できます。

豆腐湿布
毒素をぐんぐん吸いだす

豆腐湿布

炎症の熱といっしょに毒素ももっていってくれるのは、豆腐湿布(豆腐パスタ―とも)。やってみたら、はずしたあとの湿布がとてもくさかった。毒素を吸着した証拠かな、と思いました。

風邪やインフルエンザにかかったら、氷枕の代わりに豆腐湿布をおでこに貼っておくといいそうです。自然の解熱剤なのです。

頭部打撲や脳卒中などで意識を失った人の後頭部に豆腐パスターを貼っておいたら、内出血がとまり、後遺症も残らずに治ってしまった、という例も多いとか。

豆腐湿布のやりかた

①水切りした豆腐をボールですりつぶします。

②ボールに小麦粉(つなぎ)と生姜のすりおろしをくわえます。生姜は豆腐の1/10の量。

③よく混ぜあわせます。

④布や和紙に厚さ2センチくらいを目安に乗せ、包みこみます。それを患部にあてる。

⑤1時間は貼ったままにします。さらにつづけるなら新しいものととりかえます。

豆腐の脂肪分と、酸を吸収するカリウムの力で美白効果も期待できるといいます。

きゅうりや大根のパッティング
あぶら性の改善、消炎

きゅうりパック、大根パック

赤味のある発疹がでているときは、大根やきゅうりの輪切りで患部をやさしくふいてあげるとグー。

大根には、強力な分解酵素があります。この力を借りて、不必要な皮脂を除去するのです。陰性の力も、患部にたまった酸化熱をとりのぞいてくれるといいます。

他方、きゅうりには炎症を抑え、肌のキメを整える働きがあります。さらに、きゅうりの輪切りには美白志向の女性にはうれしい作用が。漂白効果です。

大根&きゅうりパッティングのやりかた

①大根やきゅうりを輪切りにして、患部にぺたぺた貼りつけます。ぱたぱたと患部を叩いてもOK。

②大根やきゅうりが温かくなってきたらチェンジ。

きゅうりでパックを手づくりする手もあります。

つくり方は簡単です。

きゅうり1本をおろし金ですりおろし、小麦粉大さじ6杯をくわえてこねるだけ。市販のパックと同じように使えますが、市販品のように合成界面活性剤などが入っていませんから、安全かつ安心なのです。

生姜油
血行をよくし、炎症をしずめる

生姜油

患部がかさかさしてかゆみがある――こうしたタイプの炎症の原因は、動物性たんぱく質(肉や卵、魚)の食べすぎといわれています。かくと粉をふいたり、皮膚が裂けたりする。

こんなときは、生姜油の出番。

生姜の成分が血流を改善してくれます。ごま油の抗酸化物質が素肌に浸透し、炎症をガツンとしずめてくれます。

生姜油のつくりかた

①しょうがをすりおろして、汁をしぼります。

②同量のごま油をよく混ぜあわせたら、患部にすりこみます。

どくだみの煎じ汁
トラブル肌に効果バツグン

どくだみの煎じ汁

どくだみは殺菌効果や抗菌効果にすぐれます。昔の日本人は、生葉を蒸し焼きにしたものを化膿部位に貼ったりしていたそうです。どくだみが膿を吸いだし、跡を残さず治してくれるからです。

かさかさのアトピーのほか、にぎびなどの肌トラブルにも高い効果が期待できるそうです。血管の弾力が増して、毛細血管が強くなるという働きもあります。

わたしもどくだみにはお世話になったものです。どくだみ茶には、腸内のゴミを排泄する作用がある。いまも家族で毎日飲んでいます。関東在住ですので、放射能対策という側面もあります。

どくだみの煎じ汁のつくりかた

①鍋に乾燥したどくだみの葉を入れ、ひたるくらいの水を入れます。

②中火で30分煎じます。

③どくだみの葉をとりのぞき、残った煎じ汁で患部を洗います。

自然療法で煎じ汁としてほかに有名なのが、松の葉です。木の葉に含まれるタンニンには収斂(しゅうれん)性があります。これが皮ふを引き締めてくれる。

かぶれたり、じくじくしたりしているアトピーには、松の葉がぴったりだとか。おなかの湿疹にも適します。

ひとつかみの葉を、1リットルの水で40分煎じます。葉をとりのぞいたら、この汁で患部を洗うとOK。

松の葉なんて手に入らない、と思われるかもしれませんが、自然公園に行けばたくさん落ちています。ネットでも買えます。が、ちょっとお高い。わたしなら公園にビニール袋を持って出かけます。

大根干葉湯
冷え性の改善、血行促進

大根干葉湯

赤い発疹がぽつぽつとでているときは、大根干葉汁のおでまし。

だいこんの葉っぱには、身体を温めてくれる硫黄分のほか、カルシウム、ビタミンDなどがたっぷり。干した葉っぱを煮だしてお風呂に入れてあげると、アトピーの症状がやわらぐといわれています。半身浴のお供によさそうです。

大根干葉湯のやりかた

①大根の干し葉を数株分、木綿の袋に詰めて口をしばります。

②沸かすまえから浴槽に入れておきます。給湯タイプのお風呂の場合、先に煮汁につくり、入浴前に投入。煮汁は、干し葉を40分ほど煮出して葉をとりのぞけばできあがります。干し葉は1/3~1/2の量でOK。

大根の干し葉はさすがに手に入りにくい。ネット通販で、大根葉は200g1200円前後で手に入ります。同じ大根を使う方法で、「第一大根湯」も有名ですね。

天然の化粧水
デリケートな素肌をやさしくケア

天然化粧水

アトピーの女性の方々は、化粧品選びにもひと苦労があることと思います。市販品は添加物まみれですからね。デリケートなお肌には負担が大きいです。

時間のあるときにでも、食べものを使った天然の化粧水づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょう。合成界面活性剤などの添加物を使わない、安全で安心な手づくり化粧品です。

ちなみに洗濯洗剤に含まれる合成界面活性剤はアトピー肌を確実に悪化させています。無添加の洗剤をおすすめします。

天然化粧水のつくりかた

①青梅をよくあらい、瓶に入れて、純米酒をひたひたになるまで入れます。

②1週間ほど待ちます。

③梅が黄色く色づいてきたら、梅をとりだします。

④梅エキスの溶けだした純米酒に10%の量のグリセリンをプラスして、かきまぜます。

⑤これで完成。洗顔後につけると、お肌がすべすべに。

米のとぎ汁の入浴剤
お米のエキスは肌本来の機能を高めてくれる

米のとぎ汁

米のとぎ汁は、美容成分たっぷり。女性にはご存知の向きも多いかと思いますが、米のとぎ汁にはセラミドやビタミン類が豊富に含まれており、天然化粧水としてもかなり使えるやつなのです。

セラミドは皮膚を守り、乾燥から肌をがっちり守ります。米のビタミン類は皮ふの新陳代謝を活発にします。これらにくわえて、米のアミノ酸にはシミができるのを防いだり、皮膚やコラーゲンの再生を手助けしたりする働きがあるのです。

米ぬかからつくる米油には、肌の血行をよくしたり、水分の蒸発を防いだり、皮脂の分泌をうながしたり、肌荒れのもとである活性酸素を除去したりと、さまざさまな作用があります。美容オイルとして利用している方もいます。

ここでは、いつも捨ててしまっている米のとぎ汁を、アトピー肌にやさしいスキンケアローションとして使用する方法を紹介しておきます。

米のとぎ汁の入浴剤のやりかた

①米をとぎます。

②とぎ汁をお風呂へ入れます。これだけ(笑)。

わたしは試したことがありません。けれど、とぎ汁をそのままピシャリピシャリと患部にふりかける、というのはやったことがあるのです。たしかに皮膚のうるおいが増すように感じました。

お米の水分保持能(皮ふがうるおいをキープする力)は、市販の保湿剤のように皮膚表面を膜で覆い、水分の蒸発をふせぐ、というものではありません。一人ひとりにもともとそなわっている水分保持能を高める点がミソ。ワセリンなどの保湿剤を使いつづけていると、皮膚本来のバリア機能や保湿力がおとろえてしまう、とわたしは考えていますが、そういう心配がない。

薬を使っていたころが、皮ふの乾燥と落屑のピークでしたが、もし当時、米のとぎ汁の力を知っていたら、毎日使っていたにちがいありません。お米のとぎ汁は、乾燥タイプのアトピーに向いています。

アトピスマイルと子ども

ご存知の方も多いと思いますが、お米の水分保持能を上手にひきだしたスキンケアクリームも市販されています。アトピーの子をもつ友人に先日プレゼントしたら喜んでもらえました。

さいごに

海外のスキンケア用品として有名なのが、ひまし油。それからエプソムソルトココナッツオイル。あわせてご覧くださいね。


『自然療法が「体」を変える』(三笠書房)東城百合子・著
『身体の自然治癒力をひきだす食事と手当て』(サンマーク出版)大森一慧・著
『関東の民間療法』(明玄書房)上野勇・著
『国史大辞典13「民間療法」』(吉川弘文館)細川いづみ・著
『病気と治療の文化人類学』(海鳴社)波平恵美子・著
『漢法薬と民間療法』(金園社)山下 弘・著