副腎疲労とブドウ糖代謝障害を疑う

副腎疲労、ブドウ糖代謝障害

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現代人は炭水化物の過剰過多によって、糖質の代謝に異常をきたしていたり(ブドウ糖代謝異常、耐糖能異常)、副腎のホルモン産生能が低下していたり(副腎疲労)するケースが少なくありません。これらはアトピーの悪化要因です。くわしく解説します。

白米

白米や精白小麦などの精製炭水化物は、混じりっけなしの糖質です。未精製の状態とくらべると、格段に吸収効率がいいため、食べたらすぐ力が湧いてきます。

とくに「スーパー糖質」の異名をとる小麦でんぷんは、体内に入るとどんな炭水化物よりも早く消化吸収されることがわかっています。にわかには信じがたい話ですが、砂糖よりもずっと血糖値をあげます。

小麦や精製炭水化物のこの吸収効率のよさが、わたしたちの身体をじわじわとむしばんでいるというのです。生活習慣病や肥満の最大の原因はこれ。アトピーの症状悪化の原因のひとつにもなっています。

糖質が、アトピーの症状を悪化させる

糖質というのは、炭水化物のこと。糖質と聞くと、チョコレートや砂糖を思い浮かべるかもしれませんが、精白されたお米(白米)や小麦粉のパン、麺類もすべて糖質です。砂糖のように甘くはありませんが、食べると砂糖と同じように体内でブドウ糖に変わり、血糖値を上昇させます。

問題は、精製された糖質の、血糖値の上昇のさせ方がすさまじいということです。血糖値が急上昇することで、わたしたちの身体はさまざまなダメージを受けます。この「さまざま」を数えあげるとキリがないのでやめておきますが、アトピーに関係のあるものだけは以下へ抜き書きしておきます。

  • 炎症の悪化
  • 副腎の疲労

どうしてそうなるかを、糖質の代謝のしくみをまじえて説明します。少しややこしいですが、なるべくわかりやすく書きます。大事な話です。理解してください。

  1. 精製された糖質を食べると血糖値が急上昇する(食後高血糖)。
  2. すい臓がインスリンを大量に分泌し、血糖値をさげようとする。
  3. インスリンは、血糖を内臓脂肪に変えて、肝臓の近くに貯蔵。
  4. 1~3を繰り返すうちに、インスリンに対する反応が鈍くなる。
  5. 血糖値をさげるため、さらに多くのインスリンが必要となる。
  6. すい臓がやがて疲れ果て、インスリンがつくれなくなる。

この結果、糖尿病やメタボになるのは、糖尿病やメタボの方ならよくご存知です。ただし、このプロセスが引き起こすのは、糖尿病や肥満だけではありません。

食後高血糖は、血管の内壁を傷つけて、動脈硬化を引き起こします。内臓脂肪は、体内のあちこちで炎症を引き起こし悪化させます。肝臓病や腎臓病、関節炎、自己免疫疾患、皮膚疾患などの直接的あるいは間接的な原因になっています。もちろん、アトピーもそのひとつ。

アトピーの方にとってそれ以上に注目すべきなのは、②のインスリン分泌によって血糖値が急激にさがると、副腎が血糖値をあげるためのホルモンを分泌するということです。このホルモンこそ、なじみ深いグルココルチコイド。すなわち、ステロイドホルモンなのです。

つまり、精製された糖質を食べるたび、副腎に負担がかかっていたのです。こんなことを四六時中繰り返していたら、オーバーワークに耐えかねた副腎が、いつか職務放棄するのは目に見えています。ステロイドホルモンが体内でつくられなくなると、アレルギーの炎症をしずめることができません。

副腎疲労の自己チェック

副腎疲労のチェック方法、セルジャンの副腎ホワイトライン

副腎の疲れ具合をチェックする、お手軽な方法があります。指でおなかをひっかいて反応をみるのです。

健康な人はひっかいた部分が10~15秒以内に赤くなります。が、副腎皮質ホルモンの分泌能が極端に低下していると、その時間が経過しても白いまま。

「セルジャンの副腎ホワイトライン」という試験で、アジソン病(副腎機能減退による内分泌疾患)の検査に利用されているそうです。副腎の疲弊度がさほどでもない場合、反応があらわれないケースもあるようです。

やってみたら、わたしはちょうど10秒で赤くなりました。

ブドウ糖代謝障害(耐糖能異常とも)が生じている場合、事態はより深刻です。ブドウ糖代謝障害というのは、④のインスリンに対する反応が鈍くなる(インスリン抵抗性といいます)1歩手前です。入ってきた糖質を体がうまく処理できなくなった状態のことです。

この状態になると、どんな糖質を食べても血糖値が跳ねあがります。精製されていようがいまいがもう関係ありません。玄米ごはんでも黒パンでも十割そばでも血糖値が異常に上昇します。すると、内臓脂肪はどんどん増え、副腎疲労もますます進むというわけです。

現代人は多かれ少なかれ、みんなブドウ糖代謝障害におちいっていると指摘する専門家がいます。内臓脂肪や副腎疲労だけでアトピーが発症しているとは考えにくいですが、糖質の摂取をひかえることで、症状がぐんと楽になるケースは少なくないようです。食事療法によって、アトピーがあと1歩というところまでよくなっていた知人は、糖質の量を制限することでみごとに完治にいたりました。

糖質をひかえ、アトピーや生活習慣病を予防、改善

わたしが精製糖質の摂取量をうんと減らしているのは、こうした理由からです。糖質オフ(この場合は全糖質)の生活は、生活習慣病の最高の予防法になる、と複数の医師や専門家が指摘しています。もちろん、アトピーの再発防止にも役立ちます。

もっとも、現代社会の食糧事情を考えると、完璧に糖質をやめるのは難しいですし、そこまでする必要もないと思います。ふだんは未精製の糖質を利用するようにしておけば、たまに外食したり、甘味やお菓子を食べたところで、さしたる影響はないでしょう。白米やめん類、果物、甘味を一生食べない生活というのはさすがに味気がなさすぎます。

が、なにをしてもアトピーが治らない、改善しない、というなら、ブドウ糖代謝障害がかなり進行している可能性大。その場合、まずやるべきは、自分がどの程度のブドウ糖代謝障害なのかを知ること。試験的に糖質制限食を1~2週間おこなうとOK。身体の反応を見るのです。

それで、しつこいアトピーが治まってきた、というなら、糖質は「減らす」のではなく、「ほぼやめる」のが正解かもしれません。

ほぼ、と書いたのは、糖質を血液中に放出するまえに、肝臓と筋肉がその一部をたくわえるからです。つまり、肝臓と筋肉に貯蔵される量くらいなら、食べても血糖への影響はない可能性があります。その量がどの程度なのかは、個人差がありますから、みずから探るほかありません。

ブドウ糖代謝障害の自己診断方法(糖質制限食)

一般的な糖質制限食の基本ルールはこんな感じです。糖質制限食を用いた生活習慣病(おもに糖尿病)の治療において、国内屈指の実績を誇る高雄病院のガイドラインです。

糖質制限食10カ条
  1. 乳製品(チーズ)・肉類・魚介類・大豆食品(豆腐や納豆)などたんぱく質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
  2. 糖質とくに白パン・白米・めん類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
  3. やむをえず主食を摂るときは未精製の穀物を少量(玄米、全粒粉のパンなど)摂る。
  4. 飲料は・番茶・麦茶めほうじ茶などカロリーのないものを摂る。牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳は適量OK。
  5. 糖質含有量の少ない野菜・海藻・きのこ類は適量OK。果物は少量にとどめる。
  6. オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす
  7. マヨネーズ(砂糖なしのもの)やバターもOK。
  8. お酒は蒸留酒(焼酎、ウイスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒など)は控える。
  9. 間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
  10. できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

(『主食をやめると健康になる 糖質制限食で体質が変わる!』ダイヤモンド社から)

なお、糖質制限のやり方については諸説ふんぷん、怪情報も乱れとんでいます。たとえばこんなふう。

  • 「おなかが減ったら食事の時間。深夜でも食べよう」
  • お酒(アルコール)は好きなだけ飲もう」
  • 「野菜は食べなくていい」
  • 「食物繊維を摂ると便秘になる」
  • 運動はしなくていい
  • 「卵は1日10個ぐらい食べてもらいたい」

なにぶん新しい食事療法であり、もともとは糖尿病を対象としてチューンアップされてきたものです。アトピーの方のデリケートな身体に合うよう吟味、調整する必要があるぞ、とわたしは思いました。そこで、アトピー持ちの友人Kに話をもちかけました。

Kは非常にクレバーな男です。自分なりの食生活改善にとりくみ、重症のアトピーを半年ほどで克服しました。ただ、完治はしていませんでした。テレビ局勤め。仕事が不規則。外食も多い。「やもめ暮らしには、おまえみたいな完璧な食事コントロールは無理だ」といっていました。

「ダメでもともと。効き目があったら儲けものだよ」
「白米や麺類が食えないのはちょっとなあ。俺、ラーメン党だし」
「それで治るなら楽なもんじゃないか。1回完全に抑えこんで、それからちょっとずつ様子見ながら食べていけばいい」
「…………」
「わかった。おれもいっしょにやる」

いま思うといささか強引でしたが、このときのわたしは、糖質制限食の効果を確かめたい、という気持ちがかなり強かったのです。そんなこととはつゆ知らず、Kは驚いた顔をしました。がさつなナリをしていますが、根は感動屋なのです。

「ありがとう。おまえ、いいヤツだな」

一瞬、後ろめたさが胸をよぎりましたが(笑)、本当にKが完治すればいいと願う気持ちももちろん強かったのです。かくして、Kとわたしが実践し、できあがったのが、この食事スタイルです。

「炭水化物(糖質)を減らす」とありますが、ブドウ糖代謝障害の自己診断をおこなうなら、「完全にやめる」ということになります。注意が必要なのは野菜。ニンジンなどの根菜には、かなりの量の糖質が含まれます。

なお、糖質制限中にあると便利な食品をこちらにまとめましたので、ご一読ください。

Kとわたしがどうなったか?

Kは徹底して糖質を制限しました。すると、なんと開始翌日に変化があらわれたそうです。かゆみがかなり減った、と弾んだ声で電話がありました。その後、2週間ほどでしつこかった脇の下とおしりの炎症が治まったそうです。

おしり

ブログで使ってくれとKが送ってくれた、糖質制限前のおしりの写真です(やっぱり削除して、と頼まれたので、現在は削除しました)。男のオケツなど見たくはないものですね(笑)。あちこち炎症がありますが、炎症のない部分はきれいです。食生活を見直す以前はどこもかしこもぼろぼろだったそうです。そのまま載せるのがはばかられましたもので、勝手にモザイクをかけました。これが2週間で治まったそうです。

糖質制限食で、Kは自分がブドウ糖代謝障害だとわかったため、いまはほとんど炭水化物を口にしていないとのことです。が、「ラーメン屋でごはんはもう2度と注文しない」といっていましたから、どの程度やれているのかははなはだ疑問です。

さて、問題はわたしのほうでした。糖質制限食を開始してしばらくのち、首筋ががさがさしてきたのです。再発かしら? ドキリとしました。もとの食生活に戻せば治ることはわかっていましたが、冷たい汗が背中を流れ落ちました。

Kとわたしはなにがちがっていたのか? この2つでした。

  • 糖質を完全にやめていない。
  • 卵とチーズを食べはじめた。

糖質はまえから摂っています。しかも以前よりは減らしています。となれば、ホシは卵かチーズです。

糖質制限がテーマの本はかならず、卵とチーズは積極的に食べましょう、といっています。卵もチーズ(牛乳)も完全栄養食だからという理屈です。Kは幼少時から卵アレルギーかつチーズ嫌いなので食べませんでしたが、わたしは100日以降、なんとなくやめていただけなので、再挑戦することにしたのです。

結論を先にいってしまうと、糖質制限による常食で、わたしは卵とチーズに強い食物アレルギーを発症してしまいました。

糖質制限食をおこなった感想ですが、ご飯(とくに好物の寿司)やお蕎麦、オートミール、甘味を口にしない暮らしというのはなかなかつろうございました。

半面、ちまたの糖質制限本が口をそろえるように、たしかに肉体的には元気になりました。やたらパワフルになります。道を歩いていたら、子どものころのように駆けだしたくなるのです。最近は本当にすぐ走りだします。筋肉量は目に見えて増えました。肌ツヤが以前にも増してよくなりました。毎食、満足するまで食べても太りません。肥満やメタボの原因は糖質ですからね。お酒が飲めるのもうれしいかぎりです。

ひとつ心配だったのは、肉食中心の生活で腸内微生物のバランスが崩れるのではないか、ということでした。杞憂でした。乳酸菌のおかげです。鉄壁のガードです。本当に頼もしいヤツらです。ヨーグルト派だったKは、これを機にサプリに切り替えました。ヨーグルトは、糖質をわりあいに含みます。

ともあれ、この結果に意を強くしたわたしとKは、糖質をひかえる生活をしばらくつづけてみよう、と決心したのでした。

なにをしてもアトピーが改善しないなら?

Kのように1~2週間、完全に糖質をやめてみると、糖質がアトピーの症状に与えている影響がわかります。なお、糖質制限食は肉類や脂肪中心の食生活ですから、腸の健康にはよくありません。糖質制限で症状が軽くなったからといって、依存するべき食事法ではありません。

アトピーの根本原因は腸内環境の悪化です。Kもわたしもそこをゆるがせにしてはならないと、いまさらながら感じています。

最後になったけれど、よかったね、K!

さいごに

以上は、この記事を書いた数年前のお話です。結局、わたしもKも2年で糖質制限を中止しました。でんぷん質の食べ物をやめて、肉類と脂肪ばかりを大量に食す、というのはやはり、きわめてアンバランスな食生活です。

精製糖質はたしかに身体には毒です。が、未精製の炭水化物は別。腸の健康にむしろ貢献してくれます。いまはそう結論づけています。


PS:どこから始めるべきかわからない? ここから始めてみては!
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管理人/イチロー

アトピー歴十数年。数年前、ずっと目をそむけてきたアトピーが仕事もできないほど悪化。否応なく病気とがっぷり四つに組み、100日かけてねじふせました。その実践術のすべてを公開します。また食生活アドバイザー(社団法人FLAネットワーク協会認定)の視点から、健康に暮らしていくための正しい食事法を提案。ひとりでも多くの方が、あの苦しみから逃れられますように。