脱ステのリバウンド(離脱症状)が重症化する理由
- ステロイドによって難治化した。
- 免疫システムが破壊された。
- 使っているかぎり治らない。
- だから脱しないといけない。
- やめたら治るかもしれない。
- きっと治る。
といったコンテクスト(文脈)です。
万人に受け入れられやすい、わかりやすいイメージです。苦痛や苦悩の原因、責任をステロイド(あるいはそれを処方した医師)に転嫁させることで、当座の不安と怒りをやわらげることができる。希望も生まれます。それは別にかまわない。アトピーを治そうというモチベーションになりますから。
が今回、脱ステにまつわる記事を書いているあいだ、わたしの脳は発火し、なにかを必死に訴えかけていました。大事なことを見落としているのではないか、と。
そして次のようなことに気がついたのでした。
脱ステによるひどい悪化は、もともとのアトピーが爆発している
ステロイド依存はたしかに存在します。
でもそれは、皮膚の恒常性を維持することへの依存ではなく(ステロイドがないと皮膚が維持、再生できないというようなこと)、体内の毒素――化学物質や老廃物、食物たんぱくなどのアレルゲンによる炎症を抑えるための依存ではないか。
ずっとアトピーの根本原因を放置してきたのです。体内には、毒素が積もりに積もっている。急に薬をやめたらどうなるか。これら毒素がたちまち皮膚から噴きだしてくるでしょう。薬で抑えつけていた炎症がまたたく間に燃えさかる。
この意味で、離脱性皮膚炎もたしかに存在するといえます。
しかし、全身に拡大する赤みやむくみ、浸出液、亀裂、落屑、強烈なかゆみ、痛み……こうした離脱性皮膚炎特有の症状の多くは、体内にあるおびただしい毒素が引きおこしているのではないか。脱ステによるリバウンドはアトピー同様、身体の排泄のプロセスなのではないのか。好転反応の一種ではないのか。
ステロイドの離脱症状(脱ステの過程と症状は以下の記事を参照)の正体とは、皮膚の排泄路を遮るものがなくなり、毒素が一気に噴出、炎症が暴れ狂っている、という状態のように思います。
ステロイドに害がないといっているわけではありません。
感染症や毛包炎などいくつかの副作用は確実に存在します。医療業界も認めるところです。ステロイドの免疫抑制作用は、身体の免疫力を低下させます。副腎の機能低下を引きおこします。だからステロイドの使用を中止すると、炎症はよりいっそう激しさを増す。皮膚の再生が進まないために落屑や浸出液がとまらないのです。できることなら最初から薬など使わないにこしたことはない。
でもとどのつまり、いちばんの問題はステロイドではなく、自分自身のこれまでの不摂生にあったとわたしは考えるのです。
脱ステ前にすべきことをすれば、リバウンド(離脱症状)は軽くなる
すると、ある仮説が頭に浮かびます。
今回初めて脱ステ医の方たちの仕事ぶりに触れて感じたのは、ステロイドの脅威と離脱の必要性を説くことへの熱量がすごいということでした。ステロイドの副作用や依存症を熱心に研究なさっておられる方も多く、頭がさがる思いでした。ただそのぶん、アトピーを癒やす手当てにまでは手が回っていないという印象でした。
「何もしなければ自然に治る」という言葉もよく見かけました。「アトピーはアレルギー」(当ブログはそうは考えない)だという脱ステ医も少なくありませんでした。たしかに乳幼児や子どもの場合、ほうっておけば治る、というのはおおむね正しいと思います。腸内細菌叢(ヒトの免疫システムの要諦)がいまだ形成過程にあるからです。
でも大人アトピーは放置していたら治りません。壊れた腸内細菌叢は自己修復しないからです。手を打つ必要がある。わたし自身そうでしたし、当ブログの読者の方を見渡してもそう。アトピーの原因はバランスを失った腸内細菌叢であり、壊れた腸粘膜であり、治すには正しく手当てすることが必要です。そこへの認識が不足していたから、わたしは脱ステに3年もかかったのだと気づいたのでした。
離脱症状がひどくなったのはどうしてか。
- 腸内細菌のバランスと多様性を回復することに目を向けなかった。
- 腸管を修復するための手当てを行なわなかった。
- 身体を浄化する食事というものを理解していなかった。
- 身体を傷つける食べ物を知らなかった。
- 食物アレルギーのある食べ物を除去しなかった。
- デトックスを効率よく促進する方法を知らなかった。
このブログにまとめている健康法をしっかり押さえたうえで脱ステに着手すれば、リバウンドの症状はぐっと軽減できたかもしれません。いや、むしろ断薬より先に取り組むべきだったと感じるのです。
実際、幼少期からステロイドを使いつづけてきた方が、糖質制限を中心に上記のようなことに取り組んで体内の炎症を極力減らす努力を行なった結果、離脱症状らしい離脱症状なしに自然に断薬ができ、そのまま治ってしまったというケースがありました。このことからも脱ステ期には離脱症状の発現と同時に、アトピーそのものの炎症も爆発している、と推測することができます。
以上はわたしの仮説にすぎません。でももしこれが正しければ、苦心惨憺して断薬した脱ステ経験者たちの轍を踏む必要はなくなります。ぜひそうあってほしいと願います。