プロトピックを昔使用したから、ちょっと調べてみた

プロトピック軟膏(タクロリムス)の副作用

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その昔、プロトピックはステロイドよりはマシ(ステロイド皮膚炎のような副作用がないから)だろうと思って使っていました。が、実はそうではなかったという驚愕の事実が15年越しに判明。まあ、いまさらおののく必要もないのですが。プロトピックの副作用などが3分でわかる記事。

プロトピックはステロイドより危険!?

プロトピック=タクロリムスと聞くと、ステロイドよりはマシなと捉える向きも少なくないと思います。かくいうわたしも、当時の医師の口ぶりから根拠なしにそう思っていました。が、先日ある本を買って読んでみたら、どうもそうではないらしいのです。

この本『この薬、こどもに使ってはいけません!』(ジャパンマニシスト社)が「ステロイドよりずっとずっと危険」と警鐘を鳴らしていたからです。

この薬、こどもに使ってはいけません!

著者の浜六郎さんは医師。専門は内科学、治療学、薬剤疫学。医薬品の安全な使用の研究と啓蒙のため、1997年にNPO法人医療ビジランスセンターを設立。同センターは季刊誌『薬のチェックは命のチェック』を発行中。

著者によると、アトピーの治療薬としてプロトピックが認可されたのは、

  • 大人用/1994年
  • 子ども用(2~15歳)/2003年

とくに子ども用プロトピックの新薬承認の現場では揉めに揉めたのだとか。

プロトピックは免疫抑制剤=発がん剤!?

というのは、主成分のタクロリムスはもともと腎臓移植などの拒絶反応を抑制するために開発されたお薬。いわゆる「免疫抑制剤」と呼ばれるもので、この免疫抑制剤は発がん剤だからです。

たとえば臓器移植で使用した場合、大人で数%、子どもでは1年に最大10%、数年で最大20%がリンパ系のがんを発病するとか。ほかのがんを合わせるとその倍になるそうです。

またマウスの実験では、プロトピックの使用でがんの発症率が3倍近くに跳ねあがったらしいですし、アメリカや日本の臨床試験でも、

  • 風邪
  • 敗血症
  • 全身性感染症
  • 肺炎
  • 尿路感染

などを発症した患者がいたといいます。

ステロイドの副作用とは趣が異なりますね(あっちも免疫に作用する薬ですが、発がん性はありませんので)。ステロイドのリバウンドのような離脱症状があるかどうかも不明です。ステロイド依存症のように依存するかどうかもわからない。

ちなみにわたしは両方を時間差でやめたのですが、断薬後の悪化脱ステの離脱症状なのか、脱プロのそれなのかの区別はつきませんでした。あるいは好転反応のようなものだったのかもしれません。脱ステ医にかからず、自力でやったので真相は藪のなか。

プロトピックの副作用をめぐる議論

もちろんメーカーは否定。こう主張しています。

「そうした事例との関連はない。軟膏は大丈夫。血中濃度には影響が出ない」

が、著者はこれまた真っ向から反論を唱えています。

「ひっかき傷やただれた部分から成分が全身に吸収され、臓器移植で使うのと同じ濃度になることがあります」

ともあれ、こうしたリスクには当局も懸念を抱いていた模様。著者が理事長を務めるNPO法人の医薬ビジランスセンターらが、子ども向けの「プロトピック軟膏の不承認を求める要望書」を提出したところ、

  • 発がん性試験のやり直し
  • 処方前に発がん性のリスクを患者に知らせることを義務づける

という、異例の処置がとられることになったのだとか。

そういえば、わたしも医師から副作用の説明を受けたことがありましたね。

「皮膚がんのリスクがあるから、塗ったら日に当たらないで。塗るのは顔だけにしてね」
「え? 皮膚がん……ですか?」
「そんな心配することないわ。ほとんどないから」

まあ、結局は承認されたわけですけれど、その数年後、2010年には毎日新聞がこんなニュースを伝えています。

最近5年間で46人のプロトピック軟膏使用者が白血病などを発症。4人が死亡したと、FDA(アメリカ食品医薬品局)が発表した。

ちなみにこのうち半数が2歳未満。約40%は1年以上の連用をしていたとか。言い換えると、半数はルールを守っていて、約60%は1年も使っていなかったことになりますね。

はて、わたくし3年以上は使っていたような。大丈夫かなあ……ちょっと心配です。


『この薬、こどもに使ってはいけません!』浜六郎・著(ジャパンマニシスト社)
NPO法人医療ビジランスセンター