この記事は個人的な備忘録の意味合いでまとめています。
引用元は『この薬、こどもに使ってはいけません!』(ジャパンマニシスト社)という書籍です。このため、子どもに使ってよいか否かが基準となっていますけれども、大人の方にも参考になります。
限定的になら使用してよい薬
子どもが抗ヒスタミン剤を使用すると、低血糖や脳症を起こす危険があります。とくにステロイドや非ステロイド系抗炎症剤を併用していると起こりやすいそうです。年齢が低いほど、リスクがあがります。
外用薬(塗り薬)
ステロイド剤
中~弱ランクの外用ステロイド剤
脱ステロイドを行なう際のみに使用します。
【参考記事】ステロイド一覧、ステロイドの副作用、使い方
保湿剤
白色ワセリン、オリーブ油
皮膚や粘膜の保護に使う保湿剤です。ヒルドイドもここに含まれます。
アズノール軟膏、ハスレン軟膏
湿疹などのびらんや潰瘍に使います。
亜鉛華、ボチシート、サトウザルベ(亜鉛華軟膏)
皮膚の保護に使います。
ザーネ軟膏(ビタミンA軟膏)
角質化した皮膚に使います。
抗ヒスタミン剤
レスタミンクリーム(ジフェンヒドラミン)
保湿とかゆみ止めが必要な場合のみに限定的に使用。
内服薬(飲み薬)
ステロイド剤
プレドニン、プレドニゾロン(プレドニゾロン)
ステロイドの長期使用により、副腎機能が低下している場合にのみ使用します。
【参考記事】ステロイド一覧、ステロイドの副作用、使い方
抗ヒスタミン剤
ベナ、レスタミン(ジフェンヒドラミン)、ポララミン、クロダミン、アニミング、ネオマレルミン、ポラジット、マゴチミン(クロルフェラルミン)
口が渇きます。眠気も出ます。前立腺肥大や緑内障、けいれんしやすい方はNGです。6歳以下の子どもは使えません。価格は安いです。
ジルテック(セチリジン)
眠気があらわれます。高価な薬。
クラリチン(ロラタジン)
過剰摂取で、不整脈の危険性がある。腎機能障害や肝機能障害のある方は服用量を減らします。眠気はやや少なめです。
アレグラ(フェキソフェナジン)
眠気が起こりにくく(多少ある)、乗り物の運転や機械の使用などの制限なしに使えます。が、過剰摂取で不整脈を起きることもあるそうです。高価な薬です。
使う必要のない薬
役に立たない、あるいはほかの薬のほうがすぐれていると考えられる薬です。
内服薬(飲み薬)
抗ヒスタミン剤
ベネン(トリプロリジン)、タベジール(クレマスチン)、ホモクロミン、パルファード(ホモクロルシクリジン)、ゼスラン、アリマン(メキタジン)
眠気が強く出ます。口が渇きます。前立腺肥大や緑内障の方は使用不可。安い薬です。6歳以下はNG。
アゼプチン(アゼラスチン)、ダレン、レミカット(エメダスチン)、タリオン(ベポタスチン)、アレロック(オロパタジン)
眠気は比較的少ない薬です。口の渇きやけいれんの危険性も少なめ。が、乗り物の運転はNGです。腎機能障害のある方、高齢者は便通が悪くなりやすいそうです。
エバステル(エバスチン)、アレジオン、アズサレオン(エピナスチン
眠気などの副作用はわりと少ないものの、不整脈の報告があるそうです。高価な薬。
避けたほうがよい薬
メリットよりデメリットのほうが大きいと考えられる薬です。
外用薬(塗り薬)
非ステロイド系抗炎症剤
ルブラゾン(ブフェキサマク)、スルプロチン、トパルジック、スレンダム(スプロフェン)、ジルダザック、ジベンザック、イワザック(ベンダザック)
ステロイドとの比較試験(2件しかない)では、1件は無効で、もう1件は有効。ただしステロイドには劣るという結果。使わないほうがいいようです。
タール剤
グリテール(脱脂大豆乾留タール)
長期使用による発がんの可能性が否定できないそうです。脱ステロイド療法で一時的に用いられることがあります。
内服薬(飲み薬)
抗ヒスタミン剤
ザジテン、ケトテン、ケトチフェン、サジフェン、サラチン、サルジメン、ジキリオン、スプデル、セキトン、デズワルト、フマル酸ケトチフェン、フマルトン、フマルフェン(ケトチフェン)
抗ヒスタミン剤ですが、抗アレルギー剤にも分類されていて、値段の高い薬です。が、抗ヒスタミン剤以外の効果があるかどうかは不明とのこと。副作用は個人差が大きく、人によっては異常なだるさや眠気を覚えることも。けいれんの危険性もあります。
抗アレルギー剤
キプレス、シングレア(モンテルカスト)、オノン、プランルカスト(プランルカスト)
ロイコトリエン受容体拮抗剤と呼ばれるもので、アトピーには効かないそうです。
クロモグリク酸
インタール細粒(クロモグリク酸)
効能があるというエビデンスがないそうです。
絶対に避けるべき薬
どんな状況にあっても使うべきでない薬です。
外用薬(塗り薬)
免疫抑制剤
プロトピック軟膏(タクロリムス)
プロトピックは免疫抑制剤。悪性リンパ腫などの発がん性と感染症の危険があります。治癒が遅れます。長期にわたって使用すると、皮膚炎がひどくなります。
ステロイド剤
強~最強ランクの外用ステロイド剤
リバウンド(離脱)の症状が強く、やめるのが困難になります。
【参考記事】ステロイド一覧、ステロイドの副作用、使い方
内服薬(飲み薬)
ステロイド剤
デカドロン、リンデロン
効き目が強く、リバウンド(離脱)の症状が強くなります。やめるのが困難になります。
【参考記事】ステロイド一覧、ステロイドの副作用、使い方
ステロイド剤+抗ヒスタミン剤
セレスタミン(ベタメタゾン+クロルフェニラミン)
ステロイド入りであるにもかかわらず、抗ヒスタミン剤として安易に処方されることもしばしば。リンデロン錠と同じステロイドが半量、入っています。1日2錠で副腎機能が抑制されて、ステロイド依存になります。
抗ヒスタミン剤
ペリアクチン(シプロヘプタジン
眠気が出ます。脳への影響があると考えられています。
ピレチア、ヒベルナ、小児用PL顆粒(プロメタジン)
眠気が出ます。けいれんを引きおこす危険性が高いそうです。現在でも2歳以下には使えませんが、それ以上の年の子どもも使うべきではないそうです。
アリメジン(アリメマジン)
眠気が出ます。子どもへの規制はありませんが、欧米では抗ヒスタミン剤として子どもに投与することはないそうです。
セルテクト、アデコック、アトピクト、アレトン、イワトミド、オキサトーワ、オキサトミド、オキロット、ガーランド、スパクリット、セキタール、セルトミド、ペペシン、メクテクト、ヒシレタン、デルトーマ(オキサトミド)
抗アレルギー剤として使われていますが、抗ヒスタミン剤です。筋肉の異常緊張や月経不順、高齢者ではパーキンソン症状などの副作用があるそうです。子どもの場合、子宮の発達が阻害される心配があるそうです。
抗アレルギー剤
リザベン(トラニラスト)
抗アレルギー作用がある半面、アレルギーを促進する働きもあるそうです。膀胱炎や肝機能障害といった重い副作用もあります。
さいごに
この記事をまとめていて、ひとつ思いあたる節がありました。
通院していたころ、内服薬は抗ヒスタミン剤しか使っていないと思っていたのですが、たしか一時期、わたしは「セレスタミン」を服用していた気がするのです。前述のとおり、セレスタミンは、抗ヒスタミン剤にステロイドがミックスしてある薬です。ステロイドをそれと知らず、内服していたわけです。
医師からは抗ヒスタミン剤だという説明があっただけで、ステロイドが入っていることは教えてくれませんでした(聞いていたら絶対に飲んでいない)。十数年前のことですし、もはや時効ですが、わたしが強いステロイド依存と離脱症状に苦しんだ背景にはそういうことも関係していたのかもしれません。自分の無知がいまさらながら悔やまれます。
ちなみに脱ステのリバウンドなるものを一般の医師は認めていません。脱ステ医のみが「存在する」と考えています。わたし自身は「あるともいえるし、ないともいえる」――グレーゾーンと考えています。
抗生物質を処方されることがありますが、アトピーの直接の治療薬ではありませんので割愛しています。漢方も除外しました。
NPO法人医療ビジランスセンター