ストレスフルで健康な心構えがアトピーを癒やす
アトピーを治すためには、たまった毒素を排泄、排出することがなにより大切です。が、じつはこれと同じくらい大切なことがある。
健康な心構えです。
否定的な感情や、破壊的な考えなどは体内で毒素を生みだします。この結果、汚染されている内臓や細胞がさらに汚れてしまう。解毒器官の肝臓や腎臓にも負担をかけている。
精神論ではありません。わたしは精神論を好みません。
これはまぎれもない真実なのです。
ストレスは確実にアトピーを悪化させる
憎しみの感情や心配事などを抱きつづけていたら、だれでもすぐ胃を壊しますね。抑えきれない怒りや嫉妬が、消化不良につながることもわれわれは経験的に知っています。
過剰なストレスが原因で、心筋梗塞や脳卒中を起こすひとがいます。ドラマなどでおなじみの光景ですが、わたしたちの周囲でも日常的に起きています。
そういう負の感情に気をもんでばかりいると、アトピーの症状はますます悪化していきます。
確実に。
ひとの思いが肉体の内部に作用することは、いまや学会でも十分に認知されているのです。
ストレスは、腸にダメージを与える
アトピーの方が目を向けるべきは腸の健康です。
じつは腸というのは、ストレスに対してとても弱いものなのです。
腸はストレスにもっとも弱い器官
慢性的なストレスにさらされていると、胃酸逆流や潰瘍性大腸炎、食物アレルギー、リーキーガットなど、さまざまな胃腸疾患につながる可能性があるのです。
わたしたちの腸は、ストレスに対してもっとも脆弱の器官のひとつであることは、科学的に証明されているのです。
ストレスが腸内細菌バランスを破壊
ストレスによって、腸内細菌の数と多様性は目に見えて減り、病原菌が増えたそうです。こうした報告はほかにもあります。
ストレスは皮膚の炎症の原因
ストレスは皮膚症状と密接にかかわっている
ここではストレスと腸の関係に関する報告を紹介するだけにとどめましたが、ストレスが悪影響を与えるのは、腸だけではありません。わたしたちはストレスによって、全身レベルでダメージを受けています。
いつか読んだ本で、ハーバード大の某博士がこんなふうなことをいっていました。
「皮膚病の原因もさまざまだが、それがなんであれ、感情面の問題が発症の頻度と深刻さを高めるケースがある。根本的な原因になることもある」「わたしたちが悪感情を抱くと、皮膚はそれに対して激怒し、報復する」
ひらたくいうと、わたしたちの心理状態はアトピーの皮膚症状をよくも悪くもするということです。治る治らないの分け目は、ひょっとすると心構えひとつにあるのかもしれない。もちろん、その反対に皮膚の症状がわたしたちの心理状態に影響を与えることもある。肌の状態が悪くなると、気分も滅入りますからね。ともかく両者の蜜月関係は否定できないと思います。
胸に刻んでおきたいのは、片方を助けることが、もう片方を救うことにつながる、ということです。アトピーを改善することと、ポジティブな心構えを身につけることはプラスの相乗効果を生む、ということ。感情を上手にコントロールする方法を身につけると、肌の回復は早まる。肌がきれいになると、今度は気持ちも明るく前向きになってくる。
このことを忘れてはならないのです。
アトピー完治のため、ストレスと上手に折り合いをつける
最初にそう書いた理由が、もう十分におわかりいただけたはず。強く思うのは、人は人生の楽しい面に目を向けるようにすべきということです。人生の暗い側面、否定的な感情、あるいはそうした負の感情を抱かずにいられないような人物とはなるべくかかわらないようにすべきなのです。
生きていればかならず嫌なことはあるもの。気にかかるものです。でも、その反応を生みだしているのは、だれでもない自分自身。たとえば通勤ラッシュで、「きょうも混んでいるなあ」とうんざり。職場の上司や同僚の心ない態度についイラッ。大事なプレゼンで「失敗したらどうしよう」と悪い想像ばかり。どれもこれも、自分で自分を憂うつにし、自分に怒りや不安、緊張を与えているにすぎません。
心はどんなときでも、つねに反応しています。日常生活のすべてが「心の反応」でできている、といってもいいくらいです。
想像してみてください。無駄な反応がなくなれば、人生がどんなにラクになるかを。
そんなこといわれても、心が勝手に反応してしまうのだからしかたないではないか、そう思われる方も少なくないと思います。
たしかにわたしたち人間は反応の生き物です。反応そのものをやめることはできません。否定的な感情をむりやり抑えこもう、無視しようとしても意味はない。負の感情が持つ力は強大です。かならずすぐ、むくむくと頭をもたげてきます。
なら、どうするか。
人生に悩みはつきものだ、という現実をまず受け入れてしまえばいいのです。わたしたちが日常的に感じている満たされなさ、生きづらさ、憂うつは、ひとの心に生まれつき「ある」と認めてしまうのです。そのうえで、マイナスの感情が湧いてきたら、そのときどきの自分の心を客観的に俯瞰する。
手順はこんな感じ。
- いまの感情を言葉で確認する。
- しばらく肉体の感覚に意識を集中する。
- 悪い感情が生まれた理由を考える。
たとえば、だれかに侮辱されたとします。
この場合、「自分はいま、かなりイラついているな」「傷ついているな」とまず言葉で確認する。いまの自分にペタッとラベルを貼ってしまう。
次は、五感に意識を集中します。
体操をしながら、四肢の動く感覚だけに集中するのもいいし、目を閉じて深く呼吸を繰りかえし、空気が身体を出入りする感覚に身をゆだねるのもいい。仏道の瞑想や座禅、最近はやりのマインドフルネスなどは、じつはこれとまったく同じことをしています。目的も同じ。肉体の感覚に意識をかたむけることで、雑念や煩悩にとらわれた頭のなかをからっぽにするのが狙いなのです。
最後に、否定的な感情が芽生えた理由を考えます。
「相手に認められたいからだ」とか「わたしのような人間がこの程度の相手にバカにされるなんて許せない」「侮辱を受けた自分を見て、みんなも笑っているにちがいない」とか「相手がまちがっていて、本当は自分が正しい」とかいろんなケースがあると思います。
けれどもその裏側には、おおむねこの3つのどれか(たいていは全部)があります。
- 欲望
- 怒り
- 妄想
「他人に認められたい」というのは欲望(自己承認欲)ですし、「許せない」は怒り。「周囲も自分をバカにしている」というのは妄想。「自分が正しい」というのも妄想です。世の中には本当に正しいこともまちがっていることもありません。あるのは人間の判断だけ。正しいとか正しくないと判断しているのは人間です。それは立場によって変わるものなのです。
ここまでくると、否定的なその感情が、じつは自分の心のあり方に起因しているのがわかってきます。すると、その感情にふりまわされることもなくなってきます。
といって、自分の心のあり方を否定する必要なんてありません。人間とは生来、そういう生き物なのです。ただそういう状況がそこにある、と認識するだけでいいのです。
これを、自己相対化といいます。
お寺の修行僧の人たちの目的も、じつはここにあります。彼らも欲望や怒りや妄想から自由になるために厳しい修行を行なっているのです。
仏教では自己相対化を、こんなふうに呼んでいます。
- 悟りの境地
- 解脱(げだつ)
- 涅槃(ねはん)
どれも聞いたことのある言葉ですね。
もちろん、自己相対化へ到達するのはなかなかにむずかしいものです。でも、けっして不可能ではない。毎日そういう考え方をするよう心がけていれば、やがては身についてきます。
いつも肩の力が抜けていて、どんな場所に行っても動じないひと、周囲にいませんか? 自分らしく、楽に生きている感じの人。うらやましいなあ、わたしもあんなふうに生きたいなあ、でも無理だわ、なんて感じる相手。彼らは、自己相対化の習慣を身につけているだけなのです。
2500年前にある賢人が説いたのも、自己相対化の教えでした。
心の無駄な反応をとめることで、人間はいっさいの悩み、苦しみから抜けられる。
そのためにこの賢人が実践したのが、瞑想でした。
瞑想
瞑想の効果は科学的に証明されています。欧米を中心に注目が集まっており、ゴールドマン・サックスやインテル、アップル、グーグルといったグローバル企業も取り入れています。スティーブ・ジョブズが熱心な実践者だったこともよく知られていますね。
いろいろ作法があって難しそうですが、ほんとうはとても簡単。
- 座って背筋を伸ばす。
- 眼を閉じる。
- ただ呼吸に集中する。
- ゆっくりと吸って、ゆっくりと吐く。
大気(地球のエネルギー)を肺に取りこみ、身体のすみずみに行きわたらせる。次は全身からエネルギーを送りだし、外界と溶けあう。こんなイメージ。鼻呼吸です。うまくいくと、自分と世界との垣根が取りはらわれるような感覚が味わえます。目安は15分。時間の無いときは3分でもOK。電車のなかでもできますね。
瞑想の目的は心をからっぽにすることです。それによって心の反応をとめる。わたしたちは起きている間中、なにかを考えつづけています。その多くは人間関係の悩みや生活上の雑事、トラブルへの対処、あるいは何々がほしい、何々をしたいといったこと。人間の心の大部分はいつも、欲望や怒りや妄想に占拠されているのです。
そうした雑念から一時でも自分を解放すると、頭がスッキリします。心が軽やかになります。身体が健康になります。眠りの質も高まりますので、眠れないときにやると睡眠導入剤のような効果が得られます。
瞑想というと、座禅、そして禅宗という連想が働きますが、もともとはヨーガがルーツです。さきほどの賢人はインド仏教の信者でしたから、熱心に瞑想を行なっていました。そうして仏教を拓いた。
そう、賢人とはブッダです。お釈迦様。
笑顔はひとを幸せにする
毎日をハッピーに生きているひとは、いつもくったくのない笑顔で笑っています。明るい笑顔は、自分だけでなくまわりの人にとっても救いになるものなのです。
そう昔から言い伝えられています。わたしはアトピーが治るまで、治ってからもこの言葉を忘れないようにしています。
この記事では、健康な心をつくるためのメンタルケアの方法について書いています。
STRESS AND THE GUT: PATHOPHYSIOLOGY, CLINICAL CONSEQUENCES,DIAGNOSTIC APPROACH AND TREATMENT OPTIONS. Department of Medicine, Thuringia Clinic Saalfeld, Teaching Hospital of the University Jena, Germany; 2Department of Physiology, Jagiellonian University Medical College Cracow, Poland
Stress at the intestinal surface: catecholamines and mucosa-bacteria interactions. Lyte M, Vulchanova L, Brown DR.
Stressor Exposure Disrupts Commensal Microbial Populations in the Intestines and Leads to Increased Colonization by Citrobacter rodentium. Michael T. Bailey, Scot E. Dowd, Nicola M. A. Parry, Jeffrey D. Galley, David B. Schauer, and Mark Lyte
Exposure to a Social Stressor Alters the Structure of the Intestinal Microbiota: Implications for Stressor-Induced Immunomodulation. Michael T. Bailey, Scot E. Dowd, Jeffrey D. Galley, Amy R. Hufnagle, Rebecca G. Allen, and Mark Lyte
Acne vulgaris, probiotics and the gut-brain-skin axis – back to the future? Whitney P BoweEmail author and Alan C LoganEmail