アトピーの身体はとてもデリケート。添加物(化学調味料)は厳禁です。腸粘膜からそのまま血流に侵入してしまいます。
手間ひまかけてとったお出汁は、化学調味料に特有の、とんがっていてパンチの効いた風味とはまるで別物です。とてもやさしい。かけ値なしにうまいです。
うちの娘は小さいころからわたしの手製出汁で育っています。飲食店の化学調味料たっぷりの味噌汁を飲むと「これ、おいしくないね」と耳打ちしてきます。「こら、お店の人に聞こえるよ」とわたしはちょっとドギマギ。でもうれしい。
食事のたび、律儀に出汁をとっているわけではありません。手間がかかりますからね。時間のない日は市販出汁を利用することもあります。
ただし無添加の安全なものです。そういうものも最後にご紹介しますけれど、まずは出汁をとるコツ、いろはをお話しします。
出汁のとり方
まずは本物のお出汁のとり方から。昆布とかつお節を贅沢に使った、本物志向の出汁です。煮物からみそ汁まで何に使っても美味ですが、ちょっと手間がかかります。コスパもあまりよくない。あとで、もっと簡単かつコスパのいい方法も説明します。
- 水1リットル
- 昆布10グラム
- かつお節20グラム
1.昆布の汚れをふきとる
テレビで以前、昆布漁のドキュメンタリーをたまたま観ました。昆布を海から引きあげ、浜辺か自宅の庭でそのまま天日干し。作業場で選別。それがそのまま家庭の台所に届いています。
だから小さなゴミや砂粒が混じっている可能性が高い。まずはキッチンペーパーや布巾でざっと汚れをふきとります。
水洗いはNG
表面の白い粉などはうま味成分のグルタミン酸です。水で洗うと落ちてしまいます。固く絞った布巾で拭くくらいでOK。
2.30分(できたらひと晩)煮だす
昆布と水を鍋に入れ、(夏場は冷蔵庫で)ひと晩放置します。時間がないときは省略してもOKですが、火を入れるまえに最低でも30分くらいは置いておきましょう。
3.火にかける
鍋を火にかけて、昆布を煮だします。ずっと中火です。中火というのは、炎の頭が鍋の底につくくらいの火加減です。
4.昆布をとりだす
沸騰する直前に、昆布をとりだし、火をとめて2~3分待ちます。差し水をしてもOK。
かつお節を投入するまえにお湯の温度を少しさげておくのが、おいしい出汁をとるコツ。コーヒーや日本茶と同じ。温度が高すぎると、味と香りをうまく抽出できません。
沸騰したら弱火にして、5分くらいアクをとりつづけます。5分くらいで昆布をとりだし、火をとめます。面倒ですが、すっきりした風味にしあがります。
5.かつお節を入れる
かつお節を鍋に入れます。そのまま2分間待ちます。
ふたたび火(弱火)にかけ、沸騰したらアクをとりながら30秒、煮だします。
鰹削り節(かつお削りぶし、花かつお)を使う
かつお節は2種類あります。
- 鰹節削り節(かつお節削りぶし、かつおかれぶし削りぶし、かつおかれぶし削り、鰹削り節)
- 鰹削り節(かつお削りぶし、花かつお)
鰹節削り節は、カビつけと天日干しを繰りかえし行ない、数か月間熟成させたかつお節(枯節、本枯節)を削ったもの。コクとうま味、香りが格段にいいのが特徴です。
鰹削り節には、この工程がありません。ただのかつおの燻製(荒節)を削ったものです。安価で、いぶし臭が残っています。市場に出回っているものの大半がこちらです。
アトピーの方は鰹削り節(安いほう)を選ぶとベターです。「かつお削り節」とか「花かつお」と表記されています。
理由はいうまでもありませんが、カビにアレルギーの反応が起きる可能性が高いからですね。
6.濾す
キッチンペーパーでかつお節を濾します。
7.完成
おいしい出汁のできあがり。
お吸い物や味噌汁に使うもよし、煮物に使うもよし。いつもの和食の風味がとびきりよくなります。毎日やるのが面倒な場合、数日分(2~3リットル)の出汁をまとめてとってしまってもOK。大量につくったほうがおいしいです。フリーザーバッグに入れて冷凍保存できます。
かつお節をたっぷり使うのはもったいないので、お味噌汁などには煮干しを使っています。出汁をとったあとの煮干しは、最良のカルシウム補給源。成長期の娘に食べさせています。
煮干し利用時のポイントは、頭と内臓の部分をとりのぞくこと。このひと手間で、えぐみが消えて、ぐっとおいしくなります。200ミリリットルの水に煮干し2匹でOK。
かつお出汁と異なり、煮干しは昆布といっしょに最初から鍋に入れます。ひと晩(時間がないときは最低30分間)置いておくのは同じ。鍋を火にかけて沸騰したら、弱火にしてアクをすくいながら5分くらい煮だします。それから昆布と煮干しをとりだす、これで完成です。
ここまでお話ししてきた方法では、料亭で使えるようなゴージャスな出汁がとれます。ここぞ、というときはこのやり方ですが、ふだんのわたしはもっと簡便にやっています。それでも十分おいしいです。
これを小鍋にそのまま放りこみ(頭も内臓もとらない)、水と具材(ワカメ、ネギ、豆腐、油揚げなど)を入れて、蓋をして火にかける。沸騰したら弱火で3分ほど。味噌を溶いたら完成です。いつもはこんな感じ。
出汁がら活用術
ふりかけにするとおいしいです。こまかく刻んでフライパンで乾煎りするだけ。わが家ではゴマをプラス。味つけはしょうゆとお酒のみ。
市販の無添加出汁、無添加スープの素
ここまで読んできて、「自分にはちょっとむずかしそう」とか「時間的に厳しい」と感じた方は、無添加調味料(市販だし)を利用する手があります。出汁をとるような時間的、精神的余裕のない日、わたしもこんなお助けアイテムの手を借りています。
さいごに
食べ物は健康の基本。アトピーを克服するための核心部ともなります。家庭でのお出汁のとり方をマスターするいい機会。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
よろしければわが家のレシピも参考にしてください。