瀉血には驚くほどの効果があるが、続けると死ぬ

瀉血

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東洋医学では、アトピーの原因は悪血(瘀血)とされています。これを強制的に抜き去るのが、瀉血療法。自己流で行なった方法と効果の高さ、注意点をお話しします。さらに長期間瀉血を行なった結果、最後になにが起きたのかも赤裸々にお伝えします。

瀉血の道具

瀉血に必要なのは、カップと吸引器。

悪血

血流が滞った場所には、老廃物や毒素、二酸化炭素などが溜まっています。本来ならすみやかに処理、排泄されるべきものですが、それがうまくいかないと毛細血管や細胞のあいだにどんどん蓄積していきます。血液やリンパ液にくるまれたこの体内のゴミを、東洋医学では「悪血」と呼びます。

皮膚はふつう、28日周期で入れ替わります。肝臓は10日、腸壁はわずか1日です。ところが血行が停滞し、悪血が溜まっていると、いつまでたっても死んだ細胞はそこに留まりつづけています。これも悪血です。

悪血も死んだ細胞もみずからは発熱しません。だから冷えます。そして周囲の健康な細胞から熱を奪いつづける。ほかの細胞へ体液が流れるのを阻害、循環器に負担をかけ、内臓の機能を低下させています。

悪血があるかぎり、傷んだ部位の修復も一向に進みません。血液や体液は時間がたつと固まってしまい、もはや簡単には解消できない状態になってしまうのです。

老廃物ってなに?

わたしたちの身体は食べ物からエネルギーや肉体の材料を得るため、食べた物を消化吸収し、代謝します。その過程でできる不要物(代謝物)です。薪を燃やしたら炭が残る、ガソリンを燃やしたら排気ガスが出る、これと同じ。

本来なら老廃物は体外に捨てなければいけないのですが、血液や体液の流れが悪いとうまくいきません。流れの詰まった下水管に溜まるゴミと同じですから、ほうっておけば腐臭を放ちはじめます。そして周囲の健康な細胞を汚染する。毒素をたっぷり吸った血ですからね。

実際、悪血はとてもくさいです。そして驚くほど冷たい。夏場なのに冷蔵庫から取りだしたばかりのように冷たかったこともあります。触ると指先がピリピリすることもありました。

現代医学では、血液が酸性化するというようなことは「ない」とされますが、わたしは経験から「ある」と考えています。もちろん全身を流れる血液が酸性化することはないでしょう。ホメオスタシス(恒常化機能)によって弱アルカリに保たれています。そうでないと命にかかわります。

酸毒は血管の外へ押しだされ、それが悪血化しているのではないか。むろん医師は否定するでしょう。しかしわたしにはこれが真実なのです。

瀉血

瀉血というのは、悪血を強制的に抜きとることで、体内の有害物もまとめて取り除き、健康を取り戻そうという治療法です。

中国や韓国などでは鍼の一環として行なわれ、わりとポピュラーだそうですが、日本は、医師免許をもたない者が患者の身体を傷つけることを禁止しています。このため、鍼灸師が瀉血を行なうと医師法違反となります。昔は瀉血を行なう治療院が日本にもあったようです。

18世紀末ごろまでは欧米でも一般的な治療法でした。アメリカ初代大統領のワシントンやモーツァルトは瀉血のやりすぎで亡くなったそうです。

カミソリで切開する方法などがありますが、わたしは、患部に針で小さな傷をつけ、陰圧にしたカップをとりつけ、血を吸いだす方法を採用しました。針を刺すといってもわずかな傷なので、痛みはありません。

開始当初、わたしは悪血が全身に大量に蓄積した状態でした。漢方医のアドバイスなどもあって、

など、自分で調べたものも含めて次々に取り組みました。煙草もやめました。でも一向に改善の目処が立たず、途方に暮れていたことを思いだします。

syaketu cup

カップは、大小いくつかのカップと手動式減圧器がセットになったものを使用しました。

瀉血

針は、ランセット(血糖値を測定に使うもの)を利用。カップ内を負圧にする吸引器は、手動だと疲れるうえ、背中などはうまく吸引できないため、電動タイプを使うことに。

瀉血でアトピーの症状が消えた

瀉血で、症状は劇的に改善しました。

吸いだすたび、まっ黒なヘドロ状の血塊がたくさんとれ、次第にかゆみが減ってきます。炎症が治まっていくのです。肌はきれいに修復されていきます。ステロイドよりずっと効く。かゆみで眠れない日々はウソのようになくなって、毎夜、熟睡できるようになりました。時折、ジャンクフードを食べたりファミレスで食事したりして炎症が顔をだしても、瀉血をすればすぐに治るのです。

しかし行く手に大きな落とし穴が待ち構えていました。

瀉血で症状を抑えられたことで、原因は悪血と考え、生活改善がおろそかになったのです。しかも、瀉血のやめどきがわからない。どの時点で悪血がなくなったのか判断がつかないのです。根本的な原因を断たないかぎり、悪血はあとからあとから湧いてくるからです。

最初、瀉血は根治療法だと思っていましたが、いまは「違う」とわかります。瀉血はあくまで対症療法なのです。始めた当初は、溜まりに溜まった悪血を除去するのに奏功したのでしょうが、いつからか悪循環に陥っていったわけです。やがて重度の貧血となったわたしは、肺水腫や心肥大、心不全を起こし、最後はトイレにも行けなくなって、明確に死をイメージしました。

瀉血でアトピーは完治しない

絶対に自己判断で実践しないでください。

この記事を書いた目的はそこにあります。手痛い経験だし、読んで真似される方がいたら困ると考え、紹介するかどうか本当に悩みました。けれど、わたしの二の舞にならないでほしい、という思いから書くことにしたのです。

ネットにはアトピーを瀉血で治そうとする掲示板があり、方法もくわしく説明しています。わたしも参考にしました。気軽に始められるだけにとても怖いです。リスクの説明はありませんからね。なにか問題が起きても、自己責任で行なっている以上、医療機関には相談しづらいということもあります。

わたしが駆けこんだ病院でも、酷薄な言葉を投げつけてくる先生が若干名いました。その方たちはアトピーでした。薬を忌避し現代医療を放棄する患者が許せないといったご様子でした。もちろん親身になってくれる先生方や看護師さんもたくさんいました。

個人での瀉血は禁忌です。どうしても興味があるという方は、瀉血療法を行なっている医療機関に相談してください。医師免許を保有し、東洋医学に造詣の深い医師も探せばおられます。なかには治療に瀉血を取り入れているケースもあるそうです。瀉血目的で韓国へ行くツアーなども開催されていると聞きます。

とにかく瀉血は、個人が気軽にできる治療法ではないのです。根治療法でもありません。事実、瀉血をやめると、わたしのアトピーはぶり返しました。

アトピーの方にいま必要なのは、悪血が溜まるような生活習慣をあらためること、アトピーの原因である腸を治すこと、そして自然治癒力によってデトックス――体内の毒素を排泄することです。

その方法はここにまとめました。