2016年2月4日
「アトピーが100日で完治した方法!」をすべて読んで質問があります。
無農薬野菜ですが、ニコ生の虎ノ門ニュースで武田邦彦先生が「無農薬は嘘 」と話していましたが、イチローさんはどう思われますか?
虎ノ門ニュースというのは有料会員のみに公開されているようで、わたしは会員ではないので見られませんでした。ごめんなさい。で、Wikipediaで武田邦彦さんを引いてみたら、過去にこんな発言をなさった、とありました。
「地球温暖化はとめる必要がない」
「割り箸や古紙のリサイクルはすべきでない」
「食品添加物、農薬、環境ホルモン、ダイオキシンは全部毒物ではない」
「タバコはやめないほうがいい」
どれも扇情的ですねえ(笑)。テレビ番組の『ホンマでっか!?TV』や書籍などで一風変わった所見を披露されている方なのですね。
これらの真偽のほどはわたしにははかりかねますが、以前、自然農法にとりくまれている農家の方々にお会いし、お話をうかがったことがあります。いずれも日々苦心惨憺しながら、愛情と情熱をそそいで農作物を育てておられました。手塩にかけたわが子も同然なのだろうな、そのときそういう印象をもちましたもので、あれがウソ、ということはなかろう、とわたしは思います。
まあ、食品偽装が日常化している時世ですから、なかには偽物も市場に出ているかもしれませんが。
ちなみに「無農薬」という言葉は、現在は法律で使用が禁止されていて、「無農薬」「減農薬」「低農薬」などはすべて「特別栽培農作物」で統一されています。農薬と化学肥料を使わず栽培したものをとくに「有機農作物」と呼びます。
あと、地球温暖化と煙草の件については、条件つきで賛同します(笑)。
2016年2月5日
イチローさん、返信ありがとうございます。
ニコ生のリンクは有料会員しか見れないのでYouTubeで探しましたが、11/16(月)の、武田邦彦先生が「無農薬は嘘」と話していた動画はありませんでした。
有機農法の動画はみつかりました。
「生物の体は何でできているの?」https://www.youtube.com/watch?v=6sJrnnknSAY
「森林は二酸化炭素を吸収しない」https://www.youtube.com/watch?v=zZzUeo0ywjI
です。
イチローさんの「アトピーが100日で完治した方法!」のブログにはとても感謝しています。
武田邦彦さんを批判するつもりはまったくありませんし、以下はあくまで素人の勝手な見解とお断りしたうえでわたしの感想を書かせていただきますね。
まず「有機農法といっても一部の農薬の使用は認められているのだから、本当の意味で有機ではない」という話ですが、天然系の農薬の使用が許可されていることは秘密でもなんでもなくて、よく知られた話です。いまさら大声でいうほどのことでもないかなあと……。
それから、化学的に合成した農薬について「人間のつくったもので、自然界に存在しないものはない。自然界にある材料で、自然界にある化学反応を使ってつくる」というくだりですが、だから危険ではないよ、ということなのでしょうか。だとすればなんとも腑に落ちません。
あるいは、化学合成農薬を天然農薬より危険視する向きがあるが、そんなことはない、とおっしゃりたいのでしょうか。であるなら、これはよくわかります。自然界には、生きものに有害な物質もたくさん存在します。細菌やカビのだす毒で人は食中毒や病気になりますし、フグやトリカブトの毒で人は死にます。
いずれにしろ、化学合成農薬(を使って栽培された通常の農産物)を悪者扱いし、有機農産物を礼賛する昨今の風潮に異議を唱えられておられるのだろうと思います。
農薬と聞いて、わたしの頭にまっ先に頭に浮かぶのは、レイチェル・カーソンです。
半世紀前に活躍した生物学者で、農薬など化学物質の危険性をはじめて指摘した女性。環境保護運動のいしずえを築いた人物です。精力的な取材や現地調査をおこない、実地に自分の目や耳でとらえた事実を積みあげていき、農薬や化学物質による環境汚染の恐ろしさを説きました。
武田さんとのちがいを挙げるなら、その主張が演繹によって導きだされたものか、帰納法的にみつけだしたものか、ということだと思います。既知の法則を使って机上で個別の問題を説明しようとしているのか、研究室を飛びだして実際に起きていることをつぶさに観察し、個別の事例から普遍的な真実をつきとめようとしているのか。
わたしは、自然科学の分野ではフィールドワークは欠くことができないと思います。この点から、カーソンのような帰納法的なやりかたのほうが実用性が高いとも。だから彼女のような研究者に、より真実味と説得力を感じてしまいます。それと同時に、自分の肉体と五感をフルに使い、自然界の実像を手探りする姿勢には、同じ人間として大きな共感と魅力を覚えます。
もっとも、これはあくまでわたしの考えです。アラスカさんが武田さんにシンパシーを感じでおられるのならそれでいいと思います。それが、なにかを学ぶきっかけになるのならもっといい。わたしがどう思うかなどより、アラスカさんにとってはご自分がどう感じたかのほうがずっと重要です。
自然界のほとんどの事象は、現在の科学ではきちんと説明できません。がんやあまたの生活習慣病はもとより、単なる風邪でさえ治し方がわからない。だからこそみずから情報収集し、経験し、自分の頭で考えることが大切なのだと思います。世界の手ざわりは人から与えられるものではなく、自分でつかみとるものです。カーソンの生き様も、これを地でいくものでした。
ちなみに、動画の「森林がCo2を吸収しない」というお話もよくわかりませんでした。わたしの理解力が足りないせいかもしれませんが、植物はまちがいなくCo2を固着させていますし、そもそも「地球上の森林面積は変わらない」と繰り返しておられますが、世界の森林面積は毎年500万ヘクタール以上減っています。環境省のホームページにもそう書かれています。
さらに人類は、地中深くの石油をわざわざ掘りだして燃やしており、これが大気中のCo2を増やし地球温暖化を加速させる大きな一因となっています。温暖化の是非正邪はさておき、ちょっと乱暴なレトリックだと感じた次第です。
※以上、飛ばし見なので、まちがっていたらごめんなさい。あと、武田さんがもし精力的にフィールドワークをなさっておられる方だとしたら、これもごめんなさい。
よかったら、アラスカさんご自身の見解も教えてくださいね。
あ、カーソンの『沈黙の春』はとてもいい本ですよ。古い本ですから、現在では学説の一部に瑕疵がみつかったりもしていますが、主張の根っこの部分は現代でも十分に通用するものです。思考の組み立て方や研究者としてのあり方なども勉強になります。機会があれば、一度目を通してみてください^^