アトピーを治すと決めたら、
親や家族にやる気をくじかれた
生活習慣の改善、とくに食事改善をはじめようと決意したとき、ひとり暮らしならスムーズにとりかかれるのですが、親や家族(配偶者を含む)と同居している場合、まず彼らに理解と協力をあおぐ必要があります。
このとき問題が起きやすいのが、食事の世話をしてもらっているケース。
- そんなことをしてもムダではないのか?
- ほかにもっといい方法があるのではないか?
- 小食で身体を壊したらどうする?
- 偏食で栄養がかたよったらどうする?
- 勝手なことをして、うまくいかなかったらどうする?
- 食事指導をしてくれる医療機関をあたったほうがいいのでは?
言い分はいろいろだと思います。
注意したいのは、こうした言葉が、やる気満々でいる本人のモチベーションをいちじるしくさげることがある、ということ。書物やサイトなどを読み、意気揚々としていたのに、なにも知らない親や家族の発言に落胆し、意欲をそがれてしまうことは少なくないように思います。
大切なのは、強い覚悟と正しい見識
しかし、アトピーの問題にかぎらず、なにかをはじめようとして親に出鼻をくじかれたり、水を差されたりした経験は、だれにでもあるはず。食事改善をはじめてからも、この問題はつきまといます。
本人の正しい見識と強い覚悟が問われる部分です。それがないと、親や家族のちょっとした言葉でも、やる気をそがれたり、自信を失ったり、メンタルをやられたり、ストレスを感じたりしてしまいます。
親や家族の側の事情をくむのも大事
親や家族だって、病に苦しむあなたを見てなんとかしてあげたいとこれまでなにかと手を尽くしてきたはず。アトピーの患者さんたちに評判の高いクリニックがあると聞けば足を運び、アトピーに効くサプリメントや健康食品があると聞けば買い求め、よさそうな治療法があれば試してみる。もちろん、毎日の献立にもできる範囲で気を配ってきたことでしょう。
けれども、なにをしても治らない。こうした経験はおそらく、「アトピーは不治の病」という固定観念をより強固なものにしています。
そんな折、ふいに食生活の改善でアトピーが治るなどという話を聞かされても、にわかに信じがたいのは人情というもの。「胡散臭い」と一蹴するのも、「時間の浪費ではないのか」「ほかを当たってみたらどうか」と反対するのもうなずける話です。
全面的なサポートを得るための、親や家族の説得術
しかし実際のところ、アトピーの方は、アトピーでない方より、アトピーやアトピーの手当てに関する知識の点において、はるかにまさっています。
半面、親や家族と同居している場合、彼らの協力がないと正しい食生活を適切につづけていくことは困難ですし、味方になってくれれば、こんなに心強い人たちはいない。やはり、膝をつきあわせてきちんと話し合うほかないと思います。
このとき心がけるべきなのは、
- 冷静であること
- 生活習慣の改善がなぜ必要なのかを論理的に伝えること
- 新しい食事の中身を整理してわかりやすく伝えること
- これまでの食事が不適切だったと感じさせないこと
- 徹頭徹尾、お願いをしている立場であることを忘れないこと
家族相手にアトピーについて語るとき、ともすれば感情的になりがちですが、それはいけない。あくまで協力をあおぐ立場なのです。平身低頭して臨むべき。
これまでの食べ物がいけなかった、という口ぶりにはけっしてならないよう細心の注意をはらう必要もある。毎日一生懸命、あなたのために食事の支度をしてきたのです。気持ちよく力を貸してもらうためにもそのくらいの配慮はあって当然ですね。
ステロイドは使わないでほしかった。もっとこうしてほしかった、ああしてほしかった、そう思うのは、あなたがアトピーで、アトピーについてよく勉強しているからです。それに、いまはネットがありますから情報収集も容易ですが、昔は医師に相談するくらいしか手がなかったのです。
だれかのせいにしてもアトピーは治らない。それどころか、否定的な感情は病をますます悪化させます。すっぱり手を切るのが得策。親御さんのためではない。ご自分のためです。
事前に話の要点を整理し、紙に書きだしておくのも大切。そうすることで、自分自身もアトピーの原因から食事改善のポイントまで理解を深めることができます。手を使って紙にまとめていく過程で、頭が整理されてすっきりします。
こうして家族と歩調を合わせることに成功すれば、アトピー完治への第一歩を踏みだせたことになります。
親や家族がわかってくれない場合
一度でダメなら、二度三度と日を変えてトライしてみるべきです。その価値はあります。それでもダメなら、学生さんの場合はいまはまだその時機ではないと考え、毎日の献立を自分でコントロールできるようになってからやればいいのです。
生活力のある大人なら、「不言実行」という昔のことわざにしたがう手もあります。黙って実行し、結果が出てから打ち明ける、というやり方もときにも有効かもしれません。