治る人と治らない人の差(成功と失敗の分かれ目)

アトピーは治らない

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アトピーを治そうと決意し、生活習慣の改善に着手する方は少なくありません。が、治る人もいれば、治らない人もいる。失敗の最大の理由は、食生活改善が不十分なことですが、それ以外にも、とりくみ方や潜在意識、医師や家族の介入、ストレス、遺伝などが挙げられます。

アトピーが治るひとと治らない人

治る人、治らない人の差はなにか

最初にお断りしておきますが、わたしはアトピーは治る、と信じています。

でも治る方がいる一方、治らない方もいる。その差はいったいなんなのか。

当ブログを開設からこちら、たくさんの読者の方とメールや掲示板でやりとりするなか、わたしが感じているのは、

  • 食事の改善が不十分、不完全
  • 必要十分な期間、継続できなかった

治らない理由はこのどちらかだということです。

失敗の原因はさまざまです。けれどもたいていのケースは、この2つにあてはまるように思います。とりあえず1か月くらいなら試してみてもいいかな、といった軽い気持ちだと成功率はがくんと落ちるように思います。そういう態度では、食生活改善にかならず手抜かりが出るからです。

アトピー完治にとくに大切な期間は、食生活をあらためてから肉体が反応しはじめるまで。

結果が目に見えるかたちであらわれると、だれでもやる気が増し、自然と継続できるからです。原因不明の悪化好転反応や新しい食べ物に対するアレルギー反応)におののいて、生活改善を中止する方や、改善のきざしが見え、そこで気がゆるんでぶり返しす、という方もかなり多い印象ですが。

それまではやるべきことをひとつ残らず淡々と実行していく必要がある。

ところがこのとき、「この程度なら平気だろう」といった自分への甘さがあると、知らず知らずのうちに食生活に影響を与えてしまう。すると、浄化のプロセスがなかなか発動しない。変化を感じとれないから、つづけることが億劫になってくるのです。

アトピーを治すには、そのための食事療養をやりきるには、かなり強烈なモチベーションが必要なのだと思います。

考えてもみてください。

外から侵入してきたり、体内でつくられたりした毒素が一つひとつの細胞、組織を汚染し、最終的に皮膚から噴出し、アトピーというかたちで表面化するまでにどんなに長い時間がかかったか。

おそらく数年単位です。

そのことを忘れてはいけない。

それでもいったん浄化プロセスが動きだせば、身体はすぐさま反応しはじめます(わたしはそうだった)。ジュクジュクした、いちばんひどい湿疹だってみるみる乾きだし、やがてスウッと消滅してしまう。

覚えておかなければいけないのは、アトピーの完治は一足飛びには行かないということ。

ローマは1日にしてならず。

わたしの知るかぎり、完治した人はみな、初志貫徹のこころざしを忘れず、十分な時間をかけ、まじめに努力された方ばかり。いいかえると、そういう心構えがなければ完治は不可能ということになるのかもしれません。

もちろん、強いモチベーションさえあれば、だれでも成功が約束されている、というわけではありません。が、真剣にとりくめば、成功の可能性は無限に広がってくる。少なくとも症状は劇的に改善する、そうわたしは思う。

このほかの治らない理由

治らない理由として、ほかに考えられるパターンというのがいくつかあるように思います。

治らない理由その1.
自分で考えない

アトピーによいとされる食べ物は、書物やネットでもいろいろ紹介されています。

けれども、だれかの病に効いた食べ物が、自分にも効くとはかぎりません。もしかしたら、その食べ物には潜在的に食物アレルギーがあるかもしれない。

他人からの情報を鵜呑みにしてはならないのです。

アトピーを完治させるうえでもっとも大事なのは、新しい食べ物をとりいれたとき、自分に合うかどうかを注意深く観察することです。

食生活改善をはじめると、治っていく過程で何度もつまずく瞬間があります。わたしもそうでした。妙だな、こんなはずは……と思ったとき、その理由をとことんつきとめる探究心は欠かせません。

トライアルアンドエラーを繰りかえす。試行錯誤をやめない。

そうすれば、やがて自分にベストマッチする方法が見つかるのです。

これができないと、この病を完全に克服するのは困難です。

治らない理由その2.
医師や家族に出鼻をくじかれる

食事療法について理解や知識のない人から影響を受ける。かかりつけの医師や家族にやる気をそがれてしまう。こんなケースも少なくない様子。

わたし自身も昔、経験したことがありますから、気持ちはよくわかります。

治してやる、と息込んでいるのに、周囲が「アトピーは遺伝や体質による先天的な病」「不治の病であり、治そうとするのは時間の無駄」と口をそろえるのを見ているうち、「そんなものかな」という諦観(あきらめの気持ち)が心を満たしてしまう。

こうしたケースへの対処(というほどでもないのですが)については、こちらの記事に書きました。

治らない理由その3.
家族の協力が得られない

食事の改善に、母親や家族が協力してくれないということもままあります。

高校生の方から相談を受けたことがありますが、学生さんはご両親の庇護下にあります。なかなかむずかしい問題です。

親御さんが「治らない」と決めつけていたり、思いこんでいたりするケースもあれば、1日2食や小食、断食といった食生活が育ちざかりの子どもの発育に悪影響を与えるのではないか、と心配されるケースもあるでしょう。

いずれにしろこういう場合、家族間できちんと話し合うか、家を出てから――毎日の献立を自分で管理できるようになってから食生活改善に着手するしか道はないと思います。

治らない理由その4.
本人が治ることを無意識に拒否している

わたしたちは動物ではありません。自由意志をもった人間です。みずからの意志ですすんで病気になれる生き物だということを忘れてはいけません。

意識の表層の部分ではみんなアトピーを治したいと考えています。でも、潜在意識が病気を正当化していると、まず治ることはない。

潜在意識は、フロイト心理学では「下意識」とか「無意識」と呼びます。

意識は、海面から突きでている氷山の一角のようなものです。水面下には「下意識」あるいは「無意識」がひそんでいます。ここにはわたしたちが抑圧したすべての思考があります。意識や倫理観が拒絶する、まちがった願望や欲求が押しこめられています。

だれでも日常的にこのしくみを働かせているのですが、なかにはこのしくみが負担になり、病気になる人もいるといいます。抑圧した願望や欲求はくりかえし意識にのぼろうとするからです。この衝動を意識の批判から隠すのには、大変なエネルギーがいるからです。

たとえばこんな考えが頭をよぎったことがある、という方は要注意。

  • アトピーだと、親がかいがいしく世話を焼いてくれるな
  • 周囲が同情してくれるな
  • 働かなくていい(学校を休める)のはうれしいな
  • 健康になっても、親から離れて生活するのは嫌だな
  • 学校や職場に復帰するのは嫌だな
  • アトピーのままのほうがいろいろラクかもしれない

こうした考えは自分でもまちがっているとわかっています。だから、すぐに心の地下室に押しこんでしまう。

でも無意識は、わたしたちの感情や行動を陰から強力に操っています。自分でも気づかないうち、アトピーの完治に役立つことを避けていたり、治さないための行動をとったりしてしまうのです。

さらに心は身体に対し、非常に強力な支配力をもっています。身体が癒えようとしていても、それを押しもどす力があるのです。

こういう場合、まちがった願望や欲求をむりやり無意識に追いやろうとしないことが大切。心の健康を保つには、意識と無意識のあいだのドアをちょっと開けておくことです。心理カウンセラーの仕事のひとつも、その手助けをすることにあります。

動物は人間とはちがう、自由意志がない、などど書きましたが、英国の博物学者が書いた本『ラ・プラタの博物学者』を先日読んでいたら、キツネのこんな生態について書いてありました。

キツネは生命の危機に直面すると、死んだふりをするのですが、その術がすこぶる巧妙で、犬なんか完ぺきにだまされてしまうそうです。

なかには演技が真に迫りすぎ、本当に死んでしまうキツネもいるそうです。自分は本当に死んでいると心が信じこむことで、肉体がそれを実現してしまうということのようです。

彼らの死に様の演技があまりにもリアルなものだから、ある人が本当に死んでいるのか胴体を切ってみたら、完全に切断されるまで死んだふりをつづけたそうです(ひどい話ですが)。

動物であっても、ことほどさように心の持つ力というのは強大なのです。

治らない理由その5.
ストレスフルすぎる生活

ストレスには、人間を病気にしてしまうほどの負のエネルギーがあります。四六時中、ネガティブな感情が頭を満たしていたら、治る病も治らない。アトピーにかかわらず、です。仕事が多忙すぎる方や、人間関係にトラブルを抱えているという方は要注意。

ストレスについてはこの記事がくわしいので、ここでは割愛します。

治らない理由その6.
遺伝(アトピー体質、アトピー素因)

アトピーが治らない理由として最後に挙げられるのは、遺伝です。「アトピー体質」とか「アトピー素因」と呼ばれるものです。そんなものが本当にあるのかどうか知りませんが、病院ではおなじみの言葉。わたしも耳にタコができるくらい聞かされました。

はっきりしたことはいえませんが、アトピーの原因である、という点をわたしは疑っていません。これは大人も子どもも同じ。腸がしっかりと機能していれば、アトピーの症状は消える、そう信じています。

が、腸内環境が生得的に脆弱で(腸粘膜の透過性がもともと高く)、つまりバリア機能が弱く、異物をブロックできない体質というものの存在は否定できません。あるいは、腸内細菌のバランス(母親から受け継ぎます)がもともと崩れている(ビフィズス菌が少ないなど)という可能性。

そういうケースをアトピー体質やアトピー素因と呼ぶのなら、まあわかる。

アトピー体質、アトピー素因とは?

アトピー体質やアトピー素因というのは一般には、乾燥しやすく敏感な肌体質や、アレルギーの反応を引きおこすIgE(免疫グロブリンE)という抗体をつくりやすい素因を持っていることをいいます。

いずれにしろ、どんな治療法をもってしても治らないケースがあるのかないのか、ここはわたしにはわからない部分です。生まれて以来ずっとアトピーだという方で完治された方がおられたら、コメント欄かメールなどで体験談をお聞かせくださいますとありがたいです。

ちなみに乳幼児のアトピーへの対処について、わたしは以下のように考えています。

まとめ

わたしの経験則からというと、人生というのは、それがたとえどんな困難な問題であっても、まじめに答えを探せば解決できるものです。

そして、なにごとにおいても成功を手にする秘訣は、継続と忍耐。この2つがなければ、当ブログに書いている、どの治癒の原理原則も成立しません。

当ブログの方法は、即席療法ばかりに目がいってしまう方には向きません。アトピーは、たんなる皮膚の病気ではないからです。全身的にとらえるべき、全身性の病気だからです。

しかし、ひとたび全身的な見方ができるようになれば、おのずと結果はついてくる、とわたしは考えています。

さあ、まずはゆったりと音楽でも聴いて、肩の力を抜いてください。