アトピーの天敵、反栄養素(レクチン、フィチン酸、シュウ酸)

レクチン、フィチン酸、シュウ酸(反栄養素)

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レクチン、フィチン酸、シュウ酸、カビ毒などに代表される「反栄養素」。知らずに食べていると、毎日のからだの調子やアトピーの症状に無視できない悪影響を与えます。とくに避けるべきは、ナス科の野菜とカビ毒のリスクの高い食品です。

腸にダメージを与える反栄養素

毎日の食事に多量の毒が含まれている。

こんな話を聞けば、びっくりするのも当然。でもこれ、ほんとうなのです。この毒は「反栄養素」と呼ばれています。これがいまも腸を傷つけ、炎症を引きおこしている。

それだけではないのです。反栄養素によって腸が傷つくと、未消化の食べ物のかけらや腸内毒素、細菌などが体内に入りこみ、身体の奥でも炎症を生じます。アレルギー反応も起きる。

このプロセスがアトピーの重症化と難治化に深くかかわっていることは、このブログで何度も説明しているとおりです。

アトピーに悪い食べ物――反栄養素を含む食べ物をなにも知らずパクパクと食べているうち、もともと弱っている腸がますます破壊されていく、体内の炎症レベルあがっていく、という悪循環におちいっているのです。

反栄養素を食べつづけていると、頭の働きも鈍くなるといわれています。反栄養素による炎症がたえず体内で起こっていると、やがては炎症性物質が脳に入りこみ、思考力や集中力を低下させるからです。

ここでしっかり押さえておきたいのは、わたしたちの日々の体調に反栄養素が想像よりはるかに大きな悪影響をおよぼしている、という事実です。

反栄養素は、植物の自然毒

反栄養素はおもに、植物の成長過程で自然につくりだされる毒素。なぜ植物がそんなものが生成するのか。動物や昆虫、微生物などの捕食者たちから自分を守るためです。たくさん食べると具合が悪くなることを遺伝的、経験的に知っているから、生き物はその植物を食べすぎない。

反栄養素という武器のおかげで、特定の植物が天敵に食べつくされるのを防ぐしくみが自然には備わっているのです。

あたりまえの話ですが、植物はエサになるために進化してきたわけではありません。いかに食べられないようにするか、そのための防御機構を長い世代にわたりつくりあげてきました。

アトピーにとって、反栄養素はまさに地雷

反栄養素などいうものの存在、わたしは生まれてこのかたずっと知らずに過ごしてきました。

しかし、これはしかたない。研究自体は数十年前からあったようですが、注目が集まってきたのはここ最近。それも海外が中心です。海の向こうでは膨大な研究論文が出ている様子ですが、日本ではまだあまり知られていません。

ともあれ、食品添加物農薬などの化学物質と同様、反栄養素(を含む食品)は日々の献立からできるかぎり排除すべき「地雷」だと、わたしは認識をあらためた次第です。

反栄養素は健康なひとにも毒?

肝臓などの解毒システムが万全であれば、反栄養素は解毒できます。アトピーなどで体内に毒素がたまっていて、解毒システムもうまく働いていない場合に悪影響が出るのです。だからアトピーが治るまでは極力避けるのが正解、そうわたしは考えています。

アトピーを治すつもりなら、免疫システムに悪影響のある食べ物は可能なかぎり除去すべきです。炎症性の疾患を抱えている場合、反栄養素に敏感になっていることも多いそうです。

では反栄養素にはどんなものがあり、どんな植物や食べ物に含まれているのかについて見ていきます。

代表的な反栄養素は、レクチン、フィチン酸、シュウ酸、カビ毒

代表的な反栄養素はこの4つ。

  1. レクチン
  2. フィチン酸
  3. シュウ酸
  4. カビ毒
  5. ヒスタミン

完全に治るまで、わたしはこの4つを含む食べ物に細心の注意をはらうようにしました。

アトピーの方にとくに重要なのは、レクチンとカビ毒です。

1.レクチン

レクチンを含むのはナス科植物

レクチンは、たんぱくのひとつ。自然界に数千種類あり、いろんな食べ物に含まれています。

もちろん全部が有害というわけではありませんし、ほとんどは加熱すれば分解されてしまう。また、いろんなレクチンに対する感受性も一人ひとり異なります。友人には害のない野菜でも、わたしが食べると肌荒れしたり、頭痛が起きたりすることがある。

ここでいいたいのは、レクチンにはこんなタイプのものがあるということです。

  • 腸の消化吸収を邪魔する。
  • 小腸の表面を傷つけて、炎症を引きおこす。
  • 熱に強く、加熱調理しても有害。
  • 多くの人が反応してしまう。

これらすべての条件を満たすのが、ナス科の植物に含まれるレクチンです。こんなもの。

  • なすび
  • ピーマン
  • パプリカ
  • トマト
  • じゃがいも
  • 赤唐辛子

人間はこうした野菜とともに進化してきたわけですから、もちろんレクチンをうまく解毒分解するしくみがあると思います。農薬のほうがずっと怖い。ただしアトピーが治るまでは、なるべく控えたほうがいい。

2.フィチン酸

フィチン酸を含む食べ物、穀類と種実類

フィチン酸は諸刃の剣です。利点と欠点があります。

利点は、強い抗酸化作用と解毒作用。血栓予防になるし、抗がんにも役立つ。つまり、生活習慣病の改善や予防につながるのです。

欠点は、食べ物のミネラルと結びつく性質がある点。わたしたちの健康に欠かせない鉄や亜鉛、カルシウム、マグネシウムと結合して、身体のミネラルの吸収を邪魔します。摂りすぎると、ミネラル不足におちいったり貧血になったりする。

知ってのとおり、アトピーを癒やすには、亜鉛などのミネラルが不可欠です。フィチン酸のせいで、毎日せっせとサプリメントミネラル補給しているのに、じつはまるで吸収できていなかった、というような由々しき事態が生じる恐れがあるわけです。

しかもこのフィチン酸、熱にもわりと強い。

フィチン酸の除去方法

浸水、発芽、発酵すればとりのぞけます。

フィチン酸をたくさん含むのは、穀類と種実類です。こういうものの皮や胚に多い。つまり、わたしたちがよく食べているもので注意すべきなのは、

もちろん、こうしたものをまったく食べないわけにはいきません。それに、適切な量であれば、わたしたちの身体はフィチン酸を処理できる。ようするに、フィチン酸の摂りすぎがダメなのです。

ミネラルのサプリメントを飲む場合、上記の食べ物と同時に摂取するのはやめたほうがベター。空腹時に飲めば問題ありません。

ミネラルを吸着するというフィチン酸の性質には、水銀などの有害な金属をそのまま体外へ排泄してくれる、という側面もあります。日ごろからミネラルをきちんと摂取できているなら、デメリットはさほど気にする必要はありませんね。むしろメリットのほうが大きいようです。

3.シュウ酸

シュウ酸を含む野菜

シュウ酸は、ほうれん草などの生野菜、ナッツ類、ベリー類、豆類、チョコレートなどによくみられる反栄養素。これが体内に吸収されると、血液中のカルシウムと結合し、結晶化。シュウ酸カルシウムとなります。

シュウ酸カルシウムは小さい針状。とんがっています。だから、筋肉にたまると筋肉痛、関節にたまれば関節痛を引きおこします。腎臓にたまれば腎結石になりますし、それが尿道へ移動すれば、はげしい痛みをともなう尿管結石となります。

やっかいなのは、血管や脳など、ほかの器官に影響を与える可能性がある点。腎臓病や自閉症、カンジダ症、女性の外陰部痛といった慢性疾患とのかかわりを指摘する向きもあります。

シュウ酸を多く含む食べ物はこのとおり(カッコ内は100g中の量)。

食べ物シュウ酸含有量
ほうれん草970mg
キャベツ100mg
芽キャベツ360mg
レタス330mg
ブロッコリー190mg
カリフラワー150mg
セロリ190mg
アスパラガス130mg
ニンジン500g
なすび190mg
さつまいも250mg
タピオカ126mg
ニンニク360mg
パセリ1700mg
未熟なバナナ500g
大豆80mg
緑茶1000mg
番茶670mg
ほうじ茶286mg
ココア623g
チョコレート117g
※この表は、USDA(米国農務省)、米国デイトン子ども病院ほか、複数サイトの情報をもとにまとめました。

このほか、数値は不明ですが、多くのナッツ類やベリー類にもシュウ酸が含まれているそうです。

シュウ酸をとりのぞく方法は?

お酢に漬けるか、お湯でゆがくと簡単にシュウ酸を減らせます。ただし、お酢やお湯にはシュウ酸が溶けだしていますから、捨てましょう。

表を見ると、ほうれん草はずば抜けてシュウ酸が多い。生では食べないほうがいいですね。3分間ゆでると半分くらいまで減らせるそうです。日本茶は、毎日は飲まないほうがいい模様。ペットボトルのお茶には300mg程度のシュウ酸が含まれています。

代わりにハーブティーを飲みましょう。どくだみ茶ルイボスティー柿の葉茶カモミールティーなどはアトピーを癒やしてくれます。

フィチン酸と同様、シュウ酸もアトピーの改善とも悪化とも直接の関係はありません。が、わたしはアトピーが完治するまで、生のキャベツやタマネギ(シュウ酸は50mg/100g)、ニンジンなどを大量に食べていました。当ブログ読者の方にはきっとそういう方は多かろうと思い、いちおう紹介した次第です。

4.カビ毒(マイコトキシン)

反栄養素のなかでもっとも影響の大きいものが、カビ毒。アトピーを治したいなら、レクチンとならんで注意すべき。カビ毒は摂れば摂るだけ、身体へのダメージがふくれあがっていきます。しかも、目に見えないから、避けるのが難しいときている。

汚染リスクが高いのは、輸入された穀類や野菜、果物、ピーナッツ。そういうものを食べて育った家畜の、チョコレート、コーヒーなど。カビ毒の話は長くなるので、別の記事にまとめています。

5.テオブラミン(チョコレート)

チョコレート

チョコレートは、アトピーにはよくありません。カカオには「テオブラミン」というアルカロイドが含まれています。チョコレートやココアの、あのなんともいえないほろ苦さはテオブラミンのおかげなのですが、毒性があります。

たとえば犬のようにテオブロミン代謝スピードの遅い動物にはきわめて有害で、小型犬なら板チョコ1枚で中毒症状を起こします。死んでしまうこともあります。健康な人にとっては害になるほどのものではないのですが、アトピーの方には刺激が強くて、症状が悪化することも少なくないのです。

6.ヒスタミン

ご存知のとおり、ヒスタミンはアレルギー症状を引きおこす物質。わたしたちの脂肪内にたくわえられていて、アレルゲンが身体に入ってくると血中に放出されるものです。アトピーのひどい炎症やかゆみは、このヒスタミンが体内にあふれかえることで起きています。

ヒスタミンを、特定の食べ物がたくさん含むことがあるのです。これを消化器がきちんと分解できないと、体内に入って、炎症やかゆみに拍車をかけることがあります。

といっても、ヒスタミンによる症状の増悪は一時的なもの。さほど気にする必要はありません。あれを食べるといつもかゆみが増すぞ、というように場合にこちらの記事に目を通してみてください。

さいごに

反栄養素について学び、というかナス科の危険性について知ったとき、わたしは軽いめまいを覚えました。

こしょうも赤唐辛子も大好きなのです。野菜炒めや肉料理には、これまで黒胡椒や白胡椒をドバドバとふりかけていました。一味や七味なしの蕎麦など食べた気がしない。そもそもトマトやピーマン、なすびは、ヘルシーな食べ物の代名詞だと思っていました。

白鳥の湖を踊るきれいなバレリーナのすねに剛毛が生えていたような思いがしています。