宿便と悪血をとる蒸しタオル

蒸しタオル(熱刺激)

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熱刺激は、5分でできる温熱療法。蒸しタオルを冷えるまで患部にあてるだけという簡単な方法ながら、驚異的な効果を発揮します。熱そのものが癒やすのでなく、からだが自力で血行を高めるようになるからです。悪血除去に使えます。その理由や方法、注意点を解説。

肌に蒸しタオルを直接あてて熱刺激をくわえる

蒸しタオル(熱刺激)で悪血除去

アトピーにまつわる記憶でひとつ、どうしても忘れがたいことがあります。

瀉血をしていたころの話です。抜きたての血が異様に冷たいことがあったのです。真夏なのに冷蔵庫から出したばかりのようにひんやりとしている。まっ黒で、お餅のような弾力がある。そういう異常な悪血(毒素を大量に含む血液)がとれたのは、頭の後ろからでした(ほかにもあったかもしれませんが)。

「冷血」という比喩がありますが、冷たい血が存在すると身をもって知った体験でした。

医師や学者は「そんなものはない」と一笑に付すことでしょう。しかしわたしが白昼夢を見たのでなければ、「冷血」はたしかにあった。ちなみに悪血は通常、体温よりずっと低温です。みずから発熱できないからです。だから悪血をすべて除去できたかどうかの判断を、わたしは温度で行なっていました。温かい血になったら、その部位は完了というわけです。

悪血を取り除くと、患部はみるみる癒えていきました。

アトピーの原因が弱り、腸内環境が劣悪な状態に陥っていることにあります。それによって腸粘膜をすり抜けて体内に侵入した毒素、あるいは体内で産生された代謝物(老廃物)、さらにステロイドなどの残留物などが悪血となって蓄積し、身体のそこここで炎症を引きおこしている、これもアトピーの二次的な原因です。

してみると、腸の修復を行ない、同時に正しい食事によって排泄機能を高めてから、外部から悪血を直接取り除くことができれば、アトピーが治るまでの時間を飛躍的に短縮できるのではないか。当時の記憶を振りかえるたび、わたしはそう思うのです。

いちばん手っとり早い方法は、やはり瀉血です。けれども変則技です。危険です。人にすすめられるものでは到底ない。瀉血に変わる方法がないものか。わたしは考えていました。蒸しタオル(熱刺激)と出会ったのは、そんなときでした。

腰痛がひどいので整体院に行ったら、そこの先生が教えてくれたのです。初耳でした。整体師の先生から、熱刺激の解説本をすすめてもらったので、帰りに買って読んでみました。

『たった5分で体が変わる すごい熱刺激』書影

『すごい熱刺激』(井本邦昭)。著者の井本先生は、整体専門の医学博士。主宰の井本整体は、東京と山口に拠点があるようです。機会があれば一度行ってみたい。東京や山口在住の方は直接指南を受けてみるのも手です。この記事のつたない文章では、熱刺激のすばらしさがどのくらい伝えられるか不安ですから。

眼を疑いました。

蒸しタオルを患部にあてるだけで、なんでもかんでも治ってしまうというのです。

半信半疑で試してみたらまたびっくり。

これはアトピーの方なら絶対に知っておくべきだ、と強く感じました。

蒸しタオル(熱刺激)の効果と方法

とても簡単でシンプルな治療法なのです。1日1~3回、トラブルのある部位を蒸しタオルで温めるだけ。それだけで、だれもがその威力の大きさを実感できます。

あらゆる症状に効く――本にはそう書いてあります。その部分を引用します。

腰痛、頭痛、肋間神経痛、生理痛、白内障、老眼、帯状疱疹、アトピー性皮膚炎などは、患部に熱刺激を繰りかえすことで症状が緩和されるだけでなく、完治した例も多数ありました。熱刺激には自律神経の働きを改善する力もあるため、不眠、精神的イライラ、更年期障害、慢性疲労など、患部を特定しにくい症状にも有効です。

余命宣告を受けた膵臓がん患者のがんが消えた、という体験談も載っていました。胡散臭い、そんなうまい話があるものか。そう思った方はいますぐ試してみてください。必要なのはタオルと電子レンジだけ。5分でできます。判断をくだすのはそれからでも遅くない。こればかりは、試さないで切って捨てるのはあまりに惜しい。

蒸しタオル(熱刺激)のやり方

熱刺激用のタオルを電子レンジで温める

  1. タオルをにひたし、したたらない程度にしぼる。
  2. 電子レンジでチン(500W2分、600W1分半ほど)。
  3. 手のひらに乗るサイズにたたむ。
  4. 気になる部位に直接あてる。
  5. そのまま冷めるまであてつづける(3~5分)。
やけどに注意

タオルを肌にあてる際は、やけどしないように注意してください。熱すぎるなら冷まします。ただし、冷ましすぎると刺激が不足します。この点も注意が必要です。

終了後、あまり変化を感じないときは、すぐに再加熱して数回追加で実施します。これを症状が治まるまで毎日1~3回行ないます。起床後と就寝前は、熱刺激のゴールデンタイムだとか。

一度熱刺激を行なったら、次まで8時間空けるのがベスト。体温のバイオリズムの関係だそうです。身体が自己修復を行なう時間を与えるためです。

禁止事項が2つあります。

  • 同時に複数の部位に熱刺激をくわえること(複数部位をしたい場合は順番に)。
  • 1日3か所以上はやらないこと。

熱の刺激がきちんと患部に届いたかどうかは、皮膚にピンク色に染まったかどうかで判断できます。症状が深刻な場合、なかなか赤みがささない、まだらになる、といったことが起きます。こういう場合は、何度か蒸しタオルをあててやると血流が改善してきます。肌の色の変化だけでなく、血行がよくなった感覚が身体の奥底から感じとれるとなおいいようです。

熱刺激で、腸の痛みが雲散霧消し、宿便まで出た

わたしがはじめて熱刺激を行なったのは、上行結腸(右側の大腸、おへその右斜め下あたり)。腸のマッサージをしていたとき、ここだけ奇妙なかたちにふくらんでいて、押すと痛むことに気づいたからです。

オイルマッサージを何度かやると、ふくらみは消えました。でも痛みはなかなか消えない。もみこむと、あいもかわらず痛い。腸の一部が弱っているのか、はたまた宿便や毒素がたまっているのか。いずれにしろ、血流が停滞しているのは間違いない。そこで熱刺激の力を借りることにしたのです。

蒸しタオルをあてると、違和感のあった部位がぐるぐると音が立てて、びくんびくんと脈打ちました。そのあと、そこから何匹もの虫が外へ逃げていくような得体のしれない感覚を覚えました。タオルを外したときは痛みが消えていました。直前まで手で触れるとこわばりがあったのに、それも消えている。

蒸しタオルの威力を実感したので、わたしは翌日も朝と夕方(2回ずつ)熱刺激を同じ場所に与えました。この日は初回のような、わかりやすい反応はありませんでした。その次の日、土曜の朝のことです。キウイ2個と焼き芋1本を食べ、バターコーヒーを飲み、部屋の掃除をしていたら、いつもより遅めの便意をもよおしました。トレイに駆けこむと、なんとタールのような便が出たのです。

違和感のあった腸壁にはやはり宿便がへばりついていたのです。熱刺激、なんとも摩訶不思議です。あなどることなかれ。

蒸しタオル(熱刺激)が効く理由

蒸しタオル

1.細胞にカツを入れ、自己修復のきっかけを与える

熱を加えること自体が目的ではないのです。冷たい悪血を熱で溶かそうというのでもない。身体の免疫システムにはもともと、「発熱」という機能があります。体温を上昇させることで細胞を目覚めさせ、自分で身体を浄化し修復する働きです。体温が1度あがると、免疫力が5倍になるとよくいいます。あれです。

このスイッチを熱の刺激で身体の外からオンにしようというのが、熱刺激の真の狙いであり、真骨頂なのです。

蒸しタオルをピンポイントで患部にあてることで、細胞に極度の緊張を与える。ゆさぶりをかける。すると悪血のある場所やその周辺の細胞が目を覚まし、活動が活発になる。身体がみずから血流を改善し、痛んだ部位を修復しはじめようとするのです。

そのきっかけをつくるのが、熱刺激の目的なのです。

全身浴や運動に同じ効果はないのか?

お風呂、温泉、サウナといった全身浴や半身浴運動でも体温は上昇します。新陳代謝や内臓機能が高まり、デトックスが促進するのはたしかです。身体の芯から温まって気持ちもいい。

ただしこの場合、もともと血行のいい場所の温度だけが上昇しており、血流の悪い場所(慢性的な熱不足におちいっている場所)はさほど温度があがっていないのです。このため熱刺激と同じ効果は得られない。患部をダイレクトに刺激することができないからです。

全身浴や運動より上だといっているのではありません。身体に対する作用がまったく異なります。上手に使い分けると治癒はさらに加速する、ということですね。

蒸しタオルは、冷める過程で効果を発揮

冷える過程こそが重要なのです。前掲の書籍の文章がとてもわかりやすいので引用します。

早い人なら5分もかからずにわかるのが、熱刺激をした部位が脈打つ感覚です。症状の軽い人や熱に対する感受性の高い人なら、運動後やじっくり温泉に浸かった後のような拍動を体の奥から感じます。滞っていた血液がドッと流れるような感じがしたら、体は確実に変化し始めていると思ってください。この脈打つような感覚は、タオルが少し冷めてから強く感じます。これは単に熱しただけでは体は大きく変わらないということを示しています。

さきほどお話ししたわたしに起きた反応とその理由も、これで腑に落ちます。蒸しタオルで熱を加えると、それまでずっと硬直していた患部が緊張し、一時的に収縮する。けれど、すぐ慣れて緊張はほぐれます。血管がゆるみます。この時点で血行がちょっと改善する。さらに熱刺激は、弱った患部や周囲の元気な細胞を覚醒させます。

そうして数分かけて冷えていくなかで、身体は自力で熱を生みだそうと懸命に働きはじめます。だから血流がどんどん改善し、悪血も毒素も老廃物も流れだして、代わりに新鮮な血液が流れこんでくるのです。最初の「高熱」とそれが「冷める過程」に対する、身体の反作用を利用しているということでしょう。

アトピーと蒸しタオル

アトピーの皮膚症状に利用する場合は、湿疹や炎症、かゆみのある部位に熱刺激を加えます。

アトピーの友人にすすめたところ、蒸しタオルをあてた直後はかゆみが増大するが、タオルが冷めるにつれて引いていき、そのあとも長時間ぶり返さなかった、と話していました。軽い症状ならこれだけで治ってしまうかもしれない、と。

温度の目安は、患部が熱を感じるかどうか

アトピーの身体は通常、血行がかなり悪く、熱に対する反応が鈍いものです。ふつうの人が耐えられない温度でも平気なことがあります。こういう場合、通常より長くタオルを加熱すればOKだそうです。

入浴や運動などで日ごろからきちんと汗をかく習慣を身につけておくと、身体が熱の刺激を受けとりやすく、反応もよくなるようです。

わたし個人としては、アトピーが重症化している場合、腸の不調の改善や宿便排泄などに用いるほうがいいのではないかと思います。とくに全身に炎症が広がっていたりすると、肌に対する熱刺激だけでは焼け石に水のような気がします。

まず大切なのは、食事を中心とした生活習慣を見直すこと。腸壁を回復させ、体内浄化を進め、排泄力を高めること。そうでないと、部分的に血流がよくなって、毒素や老廃物が流れだしても行き場がありません。新たな出口を求めて、皮膚の別の部分から噴出してくるとか、現在の皮膚症状がさらにひどくなるということもあるかもしれません。

でも身体がある程度回復したきたら、熱刺激はかなり強力な武器。悪血を取り除くことで、治癒は確実に加速すると思います。

蒸しタオルによる熱刺激のポイント

だれでも高い効果を感じられる熱刺激のポイントが3つあります。

熱刺激の万能ポイント

後頭部

後頭部への熱刺激は、自律神経を整ええるのに役立ちます。交感神経と副交感神経のバランスを改善しますから、いろんな不調や病気の解消につながるのです。不眠の改善にもよい。体温調節の働きもよくなります。わたしは仕事前に蒸しタオルをあてています。頭部の血行が高まるからか、集中力と思考力が増すように感じます。疲れ目も軽減しました。

左右の肩甲骨のあいだ

肩甲骨のあいだの血流を改善すると、そばにある肺の働きが高まります。呼吸器にトラブルがある方に向きます。肩甲骨は首や肩、腕ともかかわりが深いので、首や肩のコリ、腕の疲れなどの解消になるそうです。

仙骨の上

仙骨は、骨盤の中央部で、尾てい骨の上にある三角形の部分。神経の通り道である背骨や腰の筋肉と密接にかかわっています。ここへの熱刺激は、腰や足の不調の改善に役立ちます。

さいごに

熱刺激のことを知って、なにより目からウロコだったのが、「血が冷たい」という現象を、第一線で活躍する医療従事者が「ある」と断言し、筋道を立てて説明していることでした。氷のように冷たい血があると、わたしは体験的に知っていましたが、医学的、科学的に納得のいく説明にこれまでお目にかかったことはなかったからです。

悪血はとても粘度が高い。吸引器で吸いだすと、すぐ固まってしまいます。皮膚からズルズルッと糸が引きだされるような感覚を覚えることもありました。症状の強い部位の血液はまっ黒。草餅のようにガチガチです。指ではさんで持ちあげることができるほど。症状が治まってくると、これが液状になる。しばらく放置して固まっても、せいぜいゼリーくらいの硬さ。つまむと崩れてしまう。

わたしのようにアトピーを長く患った方の身体には、そういう血がたくさん溜まっているはずです。早急に取り除かないといけないと思う。蒸しタオルはその一助となるにちがいない、そう確信したからご紹介したのです。

最後になりましたが、悪血が溜まりやすい部分に印をつけたイラストを載せておきます。瀉血によって全身の血脈をくまなく探った経験から、わたしはとくに悪血が溜まりやすい部位を特定しています。あくまでわたしのケースですが、参考になると思います。

悪血がたまりやすいポイント

文字の大きさは、悪血の溜まりやすさや量をあらわしています。蒸しタオルをあてるべきポイントと考えています。

苦い思い出ですが、内もものつけ根をきれいにすると足全体の炎症がなくなるとか、肩の悪血がなくなると腕全体(脇から先)がきれいになるとか、興味深い発見もいろいろありました。ぜひとも役立ててください。それでわたしは報われます。