オイルの選び方と活用方法を徹底解説

オイル

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アトピーでも使えるオイルをくわしく解説していきます。フェイシャルマッサージから全身のスキンケア、消化力や肝機能を高めるマッサージ法、さらにひまし油を使った湿布のやり方までお伝えしています。

アトピーとオイル

アトピー肌――湿疹肌、敏感肌では、市販オイルのほぼすべてが状態をより悪い方向へ向かわせる可能性があります。とくにアトピーが重症化しているときは、なにを塗っても刺激になることがあります。すみやかに使用を中止し、肌のコンディションが改善するのを待ちましょう。

そうでない場合、基本的にはオイルをうまく使えば、肌はやわらかくなめらかになります。輝きをとりもどす手伝いをしてくれます。皮膚から毒素や不純物を引きだすのに役立ち、肌からのデトックスを促進してくれます。アトピーの悪化時にみんなが経験する細菌感染を抑えるのにも役立ちます。オイルの多くは、抗菌性を持っているからです。

アトピー肌に使えるオイル

ココナッツオイル

ココナッツ

最適なスキンタイプ:乾燥肌

細胞の修復を促進し、皮膚から水分が蒸発するのを防ぐ抗酸化物質とビタミンがたっぷり。皮膚をやわらかくする性質もあります。高い抗菌性と抗真菌性、抗ウイルス性を持ち、抗炎症性にもすぐれています。乾燥肌や敏感肌、皮膚感染症やニキビに理想的な保湿オイルです。化学精製や漂白などを行なっていない(コールドプレス製法)のエクストラバージンココナッツオイルは、乾燥肌やバリア機能の改善効果があること、細菌感染を減らすことなどが研究でたしかめられています。アトピーの子どもの重症度を下げ、バリア機能を改善するのに有効であることも確認されています。紫外線からの肌の保護にも役立ちます。

オリーブオイル

オリーブ

最適なスキンタイプ:乾燥肌

クレオパトラやソフィア・ローレン(オリーブオイルバスで有名になった)が愛したオイルです。ビタミンEやヒドロキシチロソールといった抗酸化成分が豊富です。抗炎症と抗菌性が高く、アクネ菌を殺します。臨床実験では、ココナッツオイルには及ばないものの、アトピーの黄色ブドウ球菌の繁殖を抑えることがわかっています。皮膚の細胞を再生する働きがあることもわかっています。ただし、皮膚バリア機能の正常な回復に悪影響をもたらすことがたしかめられており、皮膚の発赤を起こすこともあります。ココナッツオイル同様にエクストラバージンタイプを選びましょう。

ヒマワリ種子油

ヒマワリ

最適なスキンタイプ:乾燥肌、脂性肌、老化肌

ビタミンEやベータカロテンなどの抗酸化物質が豊富。コールドプレス製法のヒマワリ種子油は塗り心地が軽やかで、毛穴を詰まらせることなく、肌に吸収されます。肌が若返ります。抗炎症性と抗菌性があるので、継続的に使用することでニキビをなくすことができるとされています。臨床試験では、アトピー患者の皮膚バリア回復促進が確認されました。主成分はリノール酸で、これは炎症を抑えると考えられています。オリーブオイルでは赤みが増すことがありますが、ヒマワリ種子油にはこうしたリスクがほとんどないそうです。肌の水分保持機能を改善します。臨床試験では、ステロイドクリームとの比較で、症状とQOLの有意な改善が見込めることがわかりました。ブタクサの仲間なので、ブタクサアレルギーの方は避けるべきです。

グレープシードオイル

ブドウ

最適なスキンタイプ:乾燥肌、脂性肌、老化肌

ブドウの種子からつくられるオイルです。強い抗菌性、抗炎症性、抗酸化作用があります。ビタミンDやE、Cが豊富で、敏感肌やごわついた肌をやわらかくしてくれます。グレープシードオイルの使用によって傷が治るスピードが速まることもわかっています。黄色ブドウ球菌などの繁殖を強力を抑制する可能性が示唆されていますが、いまのところ研究が十分には進んでいません。オイルクレンジングによく利用されるオイルです。

ひまし油

ひまし種子

最適なスキンタイプ:乾燥肌、脂性肌、老化肌

人間とひまし植物とのつきあいは4000年におよびます。わたしたちの先祖はひまし油を胃腸や腎臓、肝臓の疾患などに用いてきました。アステカ文明では皮膚疾患を癒やすために使われていたそうです。免疫を刺激する力もあると考えられています。抗炎症性と鎮痛性があることから、乾癬の治療では欠かせないものとなっています。ひまし油の9割を占める稀少な不飽和オメガ9脂肪酸のリシノール酸は、有害な微生物の繁殖を抑え、肌を修復します。皮膚のいちばん深い層にまで浸透し、毛穴の詰まりを防ぎ、古い細胞をとりのぞき、コラーゲンの産生をうながします。毎日使うことで、肌の水分レベルと柔軟性を改善することができます。ただしリシノール酸は皮膚を乾燥させることがあるので、スキンケアに用いる場合はグレープシードオイルやオリーブオイルなどと混ぜて使う必要があります。粘性が強いので、混合油にすることで使いやすくなります。

ホホバオイル

ホホバ

Photo of ”Simmondsia chinensis” (jojoba) in Palm Canyon, California, taken March 2005 by User:Stan Shebs

最適なスキンタイプ:乾燥肌、脂性肌、敏感肌

厳密には、ホホバはオイルではなくワックスです。純粋なホホバオイルは低刺激。ほとんどの方が安全に使用できます。皮脂にスムーズになじむので、脂性肌に最適。保護膜を形成するので、皮膚の水分を逃がしません。が、その膜は多孔質で、肌が呼吸するのを妨げることはありません。毛穴の目詰まりを防ぎ、不純物をとりのぞき、シワを消してくれます。非常に酸化しにくく、安定しているので、日焼けどめや保湿剤などに幅広く用いられています。アトピーや脂漏性皮膚炎、湿疹、ニキビなどを修復するのにも使われます。高い抗炎症性を持ち、皮膚感染対策や老化防止に役立ちます。

シアバター

シア種子

Seed of Vitellaria paradoxa, the Shea tree. |Source=own foto |Date=200X |Author=Marco Schmidt |Permission=CC-BY-SA 2.5 |other_versions

最適なスキンタイプ:乾燥肌、脂性肌、敏感肌

強力な抗炎症性と抗酸化作用があります。ホホバオイル同様、化粧品業界では重宝されています。シアバター含有のクリームが、セラミドクリームと同等の効果を持つこともたしかめられています。セラミドとは、肌の水分を逃がさないバリアをつくる成分で、セラミドを含有するスキンケア商品は乾燥肌や敏感肌の方に愛用されています。

パッチテストは必要?

オイル使用前にはかならずパッチテストを行なう、これは基本です。どのオイルより低刺激といわれるホホバオイルでさえ、発赤や発疹、かゆみなどがあらわれることがあります。

目立たない部分(二の腕と太ももの2か所)に、10円玉ほどの範囲でオイルを塗り、半時間後にチェックします。異常があれば、使用を中止。異常がない場合も、そこへ絆創膏を貼りつけ、24時間後と48時間後にひとつずつ剥がして、問題がないかどうか確認しましょう。異常があれば、やはり使えません。

オイル活用法

  1. オイルクレンジング(フェイシャルケア)
  2. オイルによる保湿(全身のスキンケア)
  3. オイルを使ったリンパマッサージ
  4. オイルマッサージ(腸と肝臓の機能回復)
  5. ひまし油の温湿布(肝臓と腸の活性化)
  6. ①オイルクレンジング(フェイシャルケア)

    手のひらにオイルを乗せて、オイルが温まるのを待ちます。その後、オイルを顔全体に伸ばすようにしてつけ、皮脂や老廃物、不純物が溶けるまで5分間やさしくマッサージします。

    ぬるま湯で洗い流し、蒸しタオルを顔に乗せて、タオルが完全に冷えるまで座って待ちます。そのタオルで顔をやさしく拭きます。これを2~3回繰りかえします。顔をこすったりしないよう注意します。

    蒸しタオルは、を浸したあとよく絞り、電子レンジで30~60秒くらい加熱します。タオルり大きさや水分量によって加熱時間が変わりますので、調整してください。熱すぎる場合は冷ましてから使います。ヤケドしないよう十分に注意してください。

    なお、ココナッツオイルとオリーブオイルは、脂性肌には向きません。オリーブオイルは発赤を起こすことがあるので、顔への使用は控えたほうが無難です。アトピーの方のフェイシャルケアには、刺激の少ないホホバオイルかシアバターあたりを用いるのがよさそうに思います。

    ここでは海外でポピュラーな、皮膚トラブルを抱えている方に人気の方法を紹介しました。ヤマトオノコたるわたしは、フェイシャルケアなどしたことがありませんので、リポートもできません。次以降は実際に行なっていた方法です。

    ②オイルによる保湿(全身のスキンケア)

    こちらの記事を参考にしてください。

    ③オイルを使ったリンパマッサージ

    リンパマッサージにオイルを使う手もあります。以下の記事では半身浴をしながらリンパの流れを改善する方法をまとめていますが、入浴前や就寝前に寝室などでリンパをオイルマッサージするのも効果的なデトックス方法になります。

    ④オイルマッサージ(腸と肝臓の機能回復)

    マッサージ用オイル

    マッサージ用と銘打って、いろんなオイルが市販されていますが、オイルマッサージに使うのは、比較的安価なオリーブオイルやココナッツオイルで問題ありません。ただし低品質なものは避け、エキストラバージンタイプを。オーガニックだとなお可。もちろん、ほかのオイルでもOKです。

    オイルマッサージの目的は、2通りあります。

    • 腸のマッサージ(排泄促進)
    • 肝臓のマッサージ(デトックス促進)

    スキンケアを目的としたものではありません。このオイルマッサージは、アトピーの原因に直接アプローチするために行なっていました。

    それぞれ毎日5分の計10分行なうだけで、わたしは腸と肝臓の健康状態がどんどんよくなっていくことを実感しました。便通が改善。腸内環境の健全化と、全身のデトックスがぐっと加速するのを感じました。便秘がちの方にはうってつけ。アトピーの治癒をさらに加速させたい方におすすめです。最初は面倒ですが、習慣化すれば難なく続けられます。

    腸(排泄促進)

    オイルを手にとって、おへその周囲を念入りにマッサージします。わたしがとくに重点的に行なったのは、右の脇腹です(下のイラストでは左側)。老廃物や毒素(宿便)は、この部分によく溜まるようです。

    腸のマッサージ

    1. 仰向けに寝転がり、膝を立てる(腹部から力が抜ける姿勢)
    2. 右脇腹を下から上へ、右の肋骨の下までゆっくりともみあげる。
    3. そこから左肋骨の下へ移動。
    4. 今度は、左脇腹を下へとゆっくり移動していく。
    5. 恥骨までいったら、また最初から。

    腸に沿って、手を動かします。腸内の宿便や老廃物を移動させて、排泄するためです。右から左へ円を描くようにゆっくりマッサージしていくと、であるのぜん動運動が活発になります。血行が滞りがちな大腸上部の血液の流れもよくなります。

    マッサージのコツ

    片手だとうまくいきません。両手を添えて行なうことで、うまい具合にマッサージできるようになります。リンゴダイエットとあわせて行なうのも効果的です。

    30~60分くらいしっかりと揉めば、週1回でも十分です。でも1回にそれだけ時間を割くのは大変。わたしは入浴前後に5分間、肝臓のマッサージと合わせて行なうようにしました。始めてのときは、はっきりと便通がよくなったのを感じました。

    浣腸と組み合わせるとなお効果的です。大腸内がある程度すっきりしていると、詰まっている(ねじれている?)部分が見てわかります。ぽっこりふくらんでいるのです。「あれ、そういえば前からここはたまにふくらんでいたぞ」と思いだして、翌日はそこを重点的にマッサージしました。そしてまた浣腸。すると、たちまちへっこんでしまったのです。

    その後もしばらくは同じ場所を押すと痛みを感じました。だからいっそう念入りに揉むようにしました。それを繰りかえしているうちにアトピーが治りました。痛みは消えていました。宿便が出ていったのか、それとも腸のねじれが治ったのか、真相はわかりませんが、オイルマッサージによって腸内のトラブル部位がわかる、ということを知りました。

    肝臓(デトックス促進)

    大事なことを「肝心」(肝腎と書くことも)といいます。心臓が大切なのは当たり前ですが肝臓と腎臓もそれと同じくらい大切。肝臓の働きはおもに、

    • 腸が吸収した栄養を身体が再利用できるよう化学変化させる。
    • 余ったエネルギーを体内に貯蔵する。
    • 解毒する。
    • 体内の水分を調節する。
    • 大腸の働きを高める。
    • 脂質の消化に必要な胆汁を分泌する。
    • ビタミンを活性化する、蓄える。

    ほかにも数えきれない働きがありますが、もっとも重要な機能は「解毒」です。外界からとりこんだり、体内で生成した有害な物質を無害なものへと分解し、腎臓や腸から排出しています。肝臓へ送りこまれる血液の量は、(安静時でも)10分間に12リットル。来る日も来る日もそれだけの血液をろ過してくれているのです。

    だからこそ肝臓が疲弊すると、さまざまな健康トラブルが発生するのです。アトピーの方の体内には大量の毒素がある。それは健康を害するだけではなく、気づかないうちに精神状態にまで悪影響をおよぼしています。

    肝臓が衰弱する最大の原因は、食生活です。アトピーの治癒に食事改善が不可欠なのはこのため。身体に悪いものを入れず、肝臓を修復するための栄養を正しく摂取する、この2つがとても重要です。

    弱った肝臓を蘇らせる、もっとも有効な方法は、肝臓をマッサージすることです。肝臓全体をやさしく時間をかけてマッサージするのです。

    肝臓のオイルマッサージ

    1. 椅子に座り、右の乳首から肋骨の下までをよく揉む。
    2. 身体の前から側面、背面へと手を移動させていく。
    3. これを5分間繰りかえす。

    ⑤ひまし油の温湿布(肝臓と腸の活性化)

    ひまし油の温湿布については、この記事でくわしくお話ししています。

    さいごに

    身体の器官はすべて、たがいに影響しあっています。ある器官を浄化すれば、ほかの器官も浄化されていきます。肌をきれいにするためには、全身の浄化に目を向ける必要があるのです。

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